Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ミヤ

    moonrise Path

    DONEお誕生日のお祝いです。くわまつとは……。受け付けなかった時は「これは駄目」と一言教えてください。すみやかに消去いたします。
    誂さんの現パロくわまつの二次創作(鶴をそえて) 春の彼岸は桜の咲き初めにはまだ早い、が、童謡にもあるように季節は山からやってくる。長い石段を登る間に松井はちらほらと蕾をほころばせた桜の木を見た。それは純白と言ってもよかった。ソメイヨシノとはまた違う、この土地で育ってきた木なのだろう。そう思う。
     勤め先の関係で春秋の彼岸は物故者供養の法要が行われ、社員はそれに参加せねばならない。全員、では現場が回らなくなってしまうから、よほど春分の日の開催でない限りそれぞれ代表を一、二名出す程度だけれど今日は随分集まった。
     その中で一際目立っていたのが白髪の男だった。齢は自分よりいくらか上か、しかしそれでも若いはずだ。押しつけられた面倒ごとをひとりでこなしてきた結果今のポジションにいるのだと上司らの軽口の中に聞いたことがある。会社所有の不動産を管理しているということで、松井は自分が仕事をする周辺で彼の姿を見かけたことは一度もない。だが、この彼岸の法要では必ず、年に二回、見る。
    3117