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    自重

    すぺ2

    TRAININGAmonさん(@hell_rider_a13)の素敵絵に小説付けさせていただきました。
    とても自由にオリキャラを出してしまい、かつ、喧嘩する牛天がテーマなので苦手な方はご注意ください。
    アーミー若利と悩みましたが、アーミー若利はもっと話が長くなってしまいそうで💦自重しました!
    【覚醒の時】

    「は?」
    思わず俺は声を低くしていた。
    「ウシワカ、今、なんつった?」
    ほぼゼロ距離まで近付いてその瞳を覗き込む。どんな場面でも動揺を見せないそのオリーブグリーンの瞳が僅かに揺れているのにも気付かないくらい頭の中が煮え立っている。にもかかわらず、俺の表情は冷え冷えと無表情になっていくのが自分自身でも他人事のようにわかった。場の空気まで凍ったのも普段だったら気遣う所だが、今はそれどころじゃない。
    「もういっかい、いってみろよ? いま、なんつった?」
    幼少期に自分が妖怪と言われたのを思い出させる底冷えする声が自分の声帯から発せられているのを一枚隔てた膜の向こうで見ていた。

    * * *

    白鳥沢学園は全寮制ではない。希望者のみ寮生活なのだが、実家が遠い者、特に強豪であるバレー部などの運動部に入っている生徒の多くが寮生活を希望していた。
    ただ、世の中、例外というものはいくらでもある。いくらバレー部部員でも事情がある者はもちろん、寮に入らない。入れない者も居る。
    竹下祐樹は後者だった。中学の大会でもそれなりの成績を収めていたらしい彼は、一般入試で白鳥沢に入り、バレー部に所属した 4398