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    281289s

    PASTチート💀短編
    ※卒業後、事業家💀と支配人🐙

    💀🐙既刊
    「蛸はエイドスを丸呑みにする」より再録。


    ※紙本(数冊在庫あり)▼
    https://sainome.booth.pm/items/3017970
    「蛸はエイドスを丸呑みにする」「ビルは今、全面封鎖の状態です。皆、外には出ないように。外回りの者には連絡を。足止めしたお客様には、管理システムのテストの影響で、すぐ解除されるので心配ないとお伝えして。それから、至急、全監視カメラの映像の準備を頼みます」
     アズールは的確な指示を出しながらも眉間に皺を刻み、苛立たしげに手袋の上から親指を噛んで、大股で部屋の端から端を、行ったり来たりしていた。
     アズールが人前で表情を崩すことは珍しいが、今回ばかりは致し方ないことだと言えよう。
     イデアとアズールが付き合い始めて、丁度四ヶ月ばかりたった頃。アズールは、忌まわしき学園時代から数えて二度目の、金庫破りの被害にあっていた。
     アズールは、自身の魔法の質との関係もあって、重要な書類は電子化せず、紙媒体として手元に保管していた。電子と違い、物理であれば、接触手段は限られてくる。奪おうとすれば必ず、犯人はその場に姿を現さなければならない。金庫室一帯の魔法を無効化してしまえば、さらに盗み出すことは困難になる。
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    zenryoudeyasasi

    INFO遅刻と未完成申し訳ありません、前半のみ一度掲載致します。

    2023/06/03
    支部の方に完成版上がりました!
    ヴェール・ダウン 蛸の研究をして、十五年経った。ハワイで生物の祖とされる蛸は、その生態も知性も、未だ解明されていない。devil fishという名が表す通り、その恐ろしい印象は特に海外諸国で顕著であり、生物の名を冠する悪魔達の中で、「蛸の悪魔」はひときわ強力な能力を発揮し続けている。

     

     ドアをノックされ、私は立ち上がり、扉を開けた。奇妙な青年が、親指と人差し指で名刺をぶら下げ、此方に見せていた。
     「どうも。研究協力として派遣された、Yです。よろしくお願いします」
     私は虚を突かれた心地がして、黙ってしまった。彼は、墨を注入した様な、底まで黒い目をしていた。本来ならば、そんな瞳の色はあり得ない。人間の瞳の色素は限られているし、また、それとは別に、メラニン量によっても変化する。太陽光に晒されるほど、人の虹彩は黒く染まる。だがそれでも、完全に真黒な瞳というのはあり得ない。彼は肌が真っ白なのに瞳だけが黒い。それは生物として、ちぐはぐで、不自然な有り様なのだった。肌が日に焼けず、瞳だけが焼かれるなど、そんなことがある筈ないのだから。
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