Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    いっき

    nbsk_pk

    DOODLE香水の話。思いっきり過去を捏造しています。
    ヴィジペナ永遠にいちゃもだしててくれ…
    香水 レオントゥッツォは自分が未熟な人間であることを理解している。特に幼いころから姉と慕う彼女のことについては。

    「ラヴィニア姉さんは香水とかつけないのか?」
     どうしてそんな余計なことを言ってしまったのかというと、レオントゥッツォ――いや、ここロドスではオペレーター・ヴィジェルであるのだからヴィジェルと名乗るのが正しいのだろう――がその日に受けた任務ともいえない雑用で、療養庭園という場所に行ったからだった。その庭園の主は自らを調香師であると名乗り、急ぎの荷を届けてくれたお礼にとヴィジェルに手製のハーブティーを振舞ってくれた。そして流れで新作だという香水の品評を頼まれ、数種類のムエットを目の前に並べられたのだった。上耳付きの種族の中でも、ペッローとループスの鼻の良さは別格だ。しかしヴィジェルはそこまで香水に、しかも女性ものの香水に詳しいわけではなかったので内心ひどく困惑した。だからこそ無意識に指標としたのはただ一人の女性のことで、『彼女』が纏うのならばとあれこれ考え込んでしまった表情から庭園の主にはすべてお見通しであったのだろう、プレゼントの相談が必要ならいつでもお気軽にどうぞ、と帰り際にハーブティーのパックを手渡されながらにっこりと微笑まれ、ヴィジェルはすごすごと自室への道を歩いたのだった。
    2907