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    太郎

    nashireonnn

    DONE一個前のやつの続き。
    間に合わなかった鬼太郎と親父が水木の肉と骨をせっせと集めてる話。
    ほぼ鬼太郎しかいない。鬼→水への愛を語るだけの話。
    このままならずっと一緒にいられるけどやっぱり生身の身体にも触れたい、心がふたつある〜!って話。
    もう一個オマケが出来たらまとめるかもしれない
    美味なるものよ、此処へ ──カラン、カラン。
     蛙がゲコゲコと鳴き、鈴虫がリィリィとさざめく。天辺には青白く輝く満月がいて、薄暗闇の世界を照らし続けている。
     ──カラン、カラン。
     小さな生き物たちの声だけが支配する空間に、鉄の筒に木を打ち付ける軽快な音が響き渡る。使われなくなって久しい廃工場のタンクの上に、一人小柄な少年が座って夜空を眺めていた。
     何かを待っているような、ただただぼんやりとしているような、どちらとも取れる様子の少年はカランカランと一定のリズムで足に履いた下駄の踵をタンクに打ち付けて鳴らす。
     ──カラン。
     足を動かすのを止めれば、途端に世界の音は自然のものだけになる。ゲコゲコ、リィリィ、さざめく音と、ザァとゆるやかに吹く風が少年の髪を揺らす。それらをジッと肌で感じながら、少年は腕に抱いた桐の箱をするりと撫でた。
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    Xpekeponpon

    DOODLEエフェクト練習する侠太郎
    青天の霹靂とか。 ●

     表向きカヴァーとしては、侠太郎は猟師として活動することにした。それにあたって、かつての愛銃は怨敵との決戦で崩れ落ちてしまったので、時代に見合ったライフルを用いる。
     関西人で、やけに若くて、しかし銃の腕がやたらめったら良くて、山と猟に関する知識も随一で――少々目立つ要素が強めだが、侠太郎は持ち前の愛嬌で地元の猟師コミュニティに問題なく馴染めていた。

    「八代くんは学生なのかい? 大学生?」
     これは物凄くよく聞かれる質問で。だが、侠太郎にとっては必勝パターンであった。
    「いえ、お恥ずかしながら小卒ですわぁ! ガキん頃に事故で大怪我してもうてえ……ちょっと学校どころやのうなったんですわ」
     家族も死んでしまい身寄りがないこと、後遺症でずっと苦労してきたこと、名医に出会って後遺症が治ったので、一念発起して関西の田舎から上京して、ずっと憧れだった父の稼業である猟師に……といった旨を感情たっぷりにドラマティックに語れば、大体の『年上』達は目頭を熱くして「大変だったんだなぁ」「そうかそうかぁ」「えらいなぁ、一緒に頑張ろうなぁ」と侠太郎の肩を叩いてくれた。特別かわいがってくれた。
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