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    一月

    せ・あーむ

    DONE小説書けるようになりたいから一月中は一日三十分小説書こーう!って決めたやつ、とりあえず五日続いたから誉めて。1/1/21 7:48 (628)

    寂雷がどぽもちを拾う話(元旦だから)

    時刻は午後九時過ぎ。
    患者やその付き添いの人たちが忙しなく出入りしていた昼間と違い、シンジュク中央病院は静まり返っていた。こんな時間に正面入り口から病院を訪れる人はほとんどいない。
    神宮寺寂雷は、非常灯だけ光る待合室を通り自動ドアを抜け外に出た。
    そのままいつもの通り駐車場まで歩こうとし、ふと足を止める。

    病院入り口の周りに植えてある茂みに隠すように、所々よれている段ボールが置かれていた。

    寂雷が気になったのは、その段ボールから微かに聞こえる声。
    まるで小動物のような消え入りそうな声は、子猫や子犬のそれとは少し違う。きっと夜遅くの静かな時間帯でなければ聞き逃していたことだろう。何か生き物が捨てられているのではと思い、駆け寄ってその段ボールの中を覗き込んだ。
    するとそこには、申し訳程度に水の入った小皿と、一匹の小さなもちが入っていた。

    もちとは、手のひらサイズのぽてっとした体系とまるでお餅のような質感、そして「もち!」という鳴き声が特徴的の生き物で、H歴になってからペットとして買う人が急増していた。

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