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    yoshida0144

    DONE忘バワンドロライ
    お題「卒業」書かせていただきました
    地元商店街から応援される中3こくとくん
    お題「卒業」 見える景色はいつも同じだった。
     駅前の古い商店街の通りに入ってすぐ右手にあるのが私の店、「やおすえ」。果物を中心に生鮮食品とほんの少しの生活雑貨を揃える、私の母の時代から続く古いこの店には今日も近所のじーさんばーさんがちょろちょろ彷徨いている。彼らは買い物に…まあ来てはいるのでしょうけど、一番の目的は「顔を見せること」である。じいさんばあさんにスマホといったハイテク機器はない。三日来なければ病気を噂され、一週間も顔を見なければ孤独死を疑う。この店は、いやこの寂れた商店街はいわば町の生存確認の場でもあるのだ。
     そんな店の入り口から少し入った場所に置いてあるパイプ椅子が私の定位置だ。ここから見える景色は一年中同じ。じじいとばばあと店の前の乾物屋で、乾物屋のじじいもあっちから私をじっと見ていた。じじい、歳をとったな。ウン十年前は同じ小学校に通い「てっちん」と呼んでいたけど、彼を最後ににそう呼んだのはいつだろう。最近はもっぱらじじいよばわりしてる。あっちもばばあよばわりだし別にいいだろう。
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