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    刺青

    おかわり

    DOODLE[ハジトシ]いつも忘れがちな刺青と褌について書きました。
    浴場「なんでコッチに居るんすか」
    滴る髪を手拭いでぬぐっていた土方が、声の先に視線をやる。見廻りを終えたその流れだろう、三番隊をぞろぞろと連れ立ってやってきたのは斎藤だった。上司の声に反応したのか数名の視線が集まって、ただ風呂を済ませに来ただけだと言うのに注目されて居心地が悪くなる。が、顔には出てないだろう。
    「あっちの風呂は修理中だ。借りたぜ」
    『あっち』とは、一応幹部用として用意されている浴場のことだ。幹部用ではあるが、組長達は斎藤のように隊を引き連れて風呂に行くことが多い為、近藤と山南そして土方の、局長・副長の三名が使用することが常だった。自分たちが居ては寛げないだろうという隊士たちへの配慮もあるのだが、近藤はたまにコミュニケーションを兼ねてだろうか隊士風呂の方も利用している。だから、誰かに了承を得ることでもないだろうと深く考えずこちらの浴場へ足が向かった。そして先ほどの様に集まる視線と畏まる空気に居心地が悪くなったので、湯に癒されるのは早々に諦めた。さっさと済ませてお暇しようと焦れば余計に疲れて、更に視線は向けずとも意識が向けられている空間に落ち着かず、湯に浸かって居られたのはせいぜい一、二分。脱衣所でもそそくさと下帯を身につけて、軽く髪を拭いて、ほどなく後にしようしていたところだった。
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