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    無敵

    KAYASHIMA

    DONE💛💜♀。学パロ。
    可愛くなりたいと思った瞬間の女の子は無敵。
    【Lucashu♀】はじめてのパンプス。

    頭のてっぺんから、爪先まで鏡で確認して、ため息をついた。学校の女子トイレで佇んで、自分の姿をはじめて、「これはないな」って思った。無地のTシャツに履きなれたジーンズ。綺麗で羨ましいっていわれてる髪だってポニーテールで高く結うだけ。そりゃ、そう。あんなこといわれても仕方ないんだ。
    「シュウって、かわいいけど、女には見えねえよなあ」
    「そうなんだよな。残念すぎ」
    「な。付き合っててもあんな感じなら美人でもすぐ別れる」
    げらげらとした笑い声と、クラスの女子をランク付けする言葉。教室のトビラの前で、僕は入ろうに入れず立ったまま。その流れていくランキングを聞き流そうとしていた。廊下。見下ろした自分のつま先。スニーカーなんか、ちょっと履き潰してる。無性に恥ずかしくなった。まるで女子力がない。三姉妹の真ん中で、姉と妹は可憐で可愛いのに、僕はテコンドーして、ヘラヘラ笑って男の子と平気で遊んで、数学解いたりして。まるで男の子みたいな生活してて。思い返しても、僕って。ああそうだ、「僕」なんていってる時点でなんだかもう手遅れな気がした。足元がぐらぐらして、僕は唇かんで教室に入るのを諦めた。その足で駆け込んだ女子トイレで、化粧っ気のないなんの努力もない顔を撫でて、泣きそうになってる自分が恥ずかしくなった。こんなんじゃ、僕はルカに愛想つかされてしまう。
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    Lei

    DOODLE強い🦊が見たくて書きました。名無しモブがいます。👹に愛されて、自信のつけた無敵🦊
    哀れなヤツカツンカツンと俺が歩く音だけが響く。それに怯えたように後ずさりする男は、自称ヴォックスの1番の信者らしい。

    事の発端は、1通の手紙からだった。中には大量の俺が黒く塗りつぶされた、ヴォックスとの写真。一筆箋には“あの方に近づくな”と、ご丁寧に新聞の切り貼りで作られたメッセージ。付き合う前の俺だったら怯えていたかもしれないが、残念ながら俺はあいつの愛を知ったんだ。表情を変えずに手紙に入っていたもの全てを、細かくバラバラにする。こんもりと山になったものをまとめて袋に入れて、ゴミ箱に放り投げる。放物線を描いてスポンと入ったのを確認したら、おれの頭の中からはその手紙のことは消え去っていた。

    特に変わらずヴォックスと会い、食事を共にし、夜を一緒に過ごす俺が気に食わなかったのか手紙は毎日届いた。メッセージも段々と過激さを増し、最新のものには“別れなければお前の仲間まで殺す”とまで書かれている。仲間とはおそらくルカやシュウ、アイクのことだろう。馬鹿なやつだ。彼らに手を出せば、お前が心酔しているヴォックスが怒り狂うこと間違いないというのに。かと言って彼らに手を出すと言われ、俺も許せるわけはない。だから、直々に俺が会ってあげようじゃないか。
    1962