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    もこ

    hiromu_mix

    DONEワーパレ。
    ファ切で、4「星だけが見ていた」 不安そうな/分からない/期待した

    なんかこう、お題が綺麗すぎて、綺麗な話を書こうとして撃沈しましたw
    でもこういうシチュ好きです。
    星だけが落ちた、という記憶はある。
    山岳地帯でのヴィランとの追っかけっこ、捕まえた、という手ごたえと同時に、足もとが急に何もなくなる感覚。後ろから聞こえた叫び声。捕まえたヴィランを、それでもこのまま落ちたら殺してしまうと思って俺は、とにかく必死に背後に放り投げた。自分は、硬化で何とかなるだろうと思ったからだ。けれど、思いのほか落下時間が長く、そうしているうちに脳震盪を起こしたみたいに意識は飛んだ。

    そして今、目が覚めた。

    周りは闇だけれど、視界は一面の星。星明り、というどこかで見た言葉を唐突に思い出すくらい、それは明るく、眩しく見えた。目を眇め、ぶるりと首を振る。俺は記憶をたどり、今の状況を想像した。落ちたのは多分渓谷、転がり落ちたというより落下だったから。手のひらに触れる感触は砂利、岩。どこかからさらさらと流れる水音。指先、足先、確かめるように少しづつ体を動かしていく。硬化は落下のせいで気を失ってもぎりぎりまで保っていたのだろう、どこかを痛めた感じはしない。身体を起こし、俺は空を仰ぎ見る。着けていたインカムはどこかに落としたようで、ポケットに突っ込んでいた通信機器が、今回の唯一の犠牲だった。まあでも、生きていた、それだけでほっと息が零れる。少しだけ、ひやりとしたのが本音だから。
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