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    もこ

    hiromu_mix

    DONEワーパレ。
    ファ切で、4「星だけが見ていた」 不安そうな/分からない/期待した

    なんかこう、お題が綺麗すぎて、綺麗な話を書こうとして撃沈しましたw
    でもこういうシチュ好きです。
    星だけが落ちた、という記憶はある。
    山岳地帯でのヴィランとの追っかけっこ、捕まえた、という手ごたえと同時に、足もとが急に何もなくなる感覚。後ろから聞こえた叫び声。捕まえたヴィランを、それでもこのまま落ちたら殺してしまうと思って俺は、とにかく必死に背後に放り投げた。自分は、硬化で何とかなるだろうと思ったからだ。けれど、思いのほか落下時間が長く、そうしているうちに脳震盪を起こしたみたいに意識は飛んだ。

    そして今、目が覚めた。

    周りは闇だけれど、視界は一面の星。星明り、というどこかで見た言葉を唐突に思い出すくらい、それは明るく、眩しく見えた。目を眇め、ぶるりと首を振る。俺は記憶をたどり、今の状況を想像した。落ちたのは多分渓谷、転がり落ちたというより落下だったから。手のひらに触れる感触は砂利、岩。どこかからさらさらと流れる水音。指先、足先、確かめるように少しづつ体を動かしていく。硬化は落下のせいで気を失ってもぎりぎりまで保っていたのだろう、どこかを痛めた感じはしない。身体を起こし、俺は空を仰ぎ見る。着けていたインカムはどこかに落としたようで、ポケットに突っ込んでいた通信機器が、今回の唯一の犠牲だった。まあでも、生きていた、それだけでほっと息が零れる。少しだけ、ひやりとしたのが本音だから。
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    Orr_Ebi

    TRAINING沢深ワンライお題「横顔」で書いたんですが、また両片思いさせてるしまた深は叶わない恋だと思っている。そして沢がバカっぽい。
    全然シリアスな話にならなくて、技量が足りないと思いました。いつもこんなんでごめんなさい。
    横顔横顔

     沢北栄治の顔は整っている。普段、真正面からじっくりと見ることがなくても、遠目からでもその端正な顔立ちは一目瞭然だった。綺麗なのは顔のパーツだけではなくて、骨格も。男らしく張った顎と、控えめだが綺麗なエラからスッと伸びる輪郭が美しい。
     彫刻みたいだ、と深津は、美術の授業を受けながら沢北の輪郭を思い出した。沢北の顔は、全て綺麗なラインで形作られている。まつ毛も瞼も美しく、まっすぐな鼻筋が作り出す陰影まで、沢北を彩って形作っている。
     もともと綺麗な顔立ちの人が好きだった。簡単に言えば面食いだ。それは、自分が自分の顔をあまり好きじゃないからだと思う。平行に伸びた眉、重たい二重瞼、眠そうな目と荒れた肌に、カサカサの主張の激しすぎる唇。両親に文句があるわけではないが、鏡を見るたびに変な顔だなと思うし、だからこそ自分とは真逆の、細い眉と切長の目、薄い唇の顔が好きだと思った。それは女性でも男性でも同じで、一度目を奪われるとじっと見つめてしまうのが悪い癖。だからなるべく、深津は本人に知られないように、そっと斜め後ろからその横顔を眺めるのが好きだった。松本の横顔も、河田男らしい顔も悪くないが、1番はやっぱり沢北の顔だった。
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    hibaru_q

    DONE【電子特異点4_Re/展示作品】
    既刊の宣伝を兼ねた書き下ろし小話です。
    原城は「はるのじょう」「はるのしろ」とも読み、春には今も桜が咲き誇ります。

    本もこんな感じの甘めほのぼの+少しシリアスな短編集です。ご興味ありましたら宜しくお願いいたします。
    パスワードはピクリエにて公開しております。
    天ぐだ♀/その心はまだ、春待つ庭に――そうか、皆いないんだった
    無機質な天井に向かって呟いた言葉が暗闇に吸い込まれる。
    年末年始、カルデアのサーヴァントたちはそれぞれの故郷へ里帰りをしていた。
    出立前に挨拶をとマイルームに入り浸るサーヴァントも数多く、ここ数日は毎晩お泊り会のような賑やかさだった。彼らが全盛期だった頃の思い出話は明け方まで尽きることなく。
    「マスター、良いお年を!」
    「うん、またね!」
    そして、祭りの後のように、空っぽになった部屋に静けさが訪れた。
    まるで、人類最後のマスター・藤丸立香はもう必要なくなったかのように。

    皆、自分に明確な悪意を持っているわけではない。
    言葉の端々から、彼らなりの気遣いを感じるのも確かだった。
    あの時は、何もできない自分に任せるしかなかった。それ以外に選択肢がなかったのだ。
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