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    りま

    GegyoGWT

    MOURNINGぼんやりと思い浮かんだネタです。マレビトのコンセプトとデザインが好きで、ミニミニのマレビトを育成できたらなと思った話です。
    黒土女のデザインが一番好きなので黒土女が真っ先に浮かびましたが、人によって育つマレビトが違うやつです。
    ※全員生存if時空で、暁人くんとKKがバディをしている設定です。
    ※このお話にカプ要素はありませんがK暁を生み出す人間が書いております。
    マレビト育成キット 女の喘鳴が聞こえる。
     肺に水が溜まっているような、酷い音だ。
     がらんとしたワンルームは明るかった。住む人間のいない部屋は、今まで経てきた生活の跡が全て除去されて、何も無い展示ケースのように淡々として静謐だ。だがそこに、濡れそぼった女の放つ濁った喘ぎ声だけが繰り返されている。
     暁人はためらいつつ、リビングに足を踏み入れた。すぐ後ろでKKも息を潜めている。
     カーテンの無い掃き出し窓から、昼下がりの柔らかい光が部屋を照らしている。
     女は壁の隅にいた。住人が残した忘れ物のように、脈絡もなく倒れ伏していた。
     暁人が近づくと、女はゆっくりと顔を上げた。
     ごぼごぼと篭ったような水音がする。こんなにも明るい部屋にいながら、濁った深い水底を思わせる。重く、暗く、茫洋とした水。それはこの女の、胸腔にあたる所から聞こえる音だ。
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    hamco1228

    DONEサガオンリーWebイベント「Parallel Gate」様での展示用作品。リブロフのハリエレ。むしろ、ハリ姫を応援したいエレンの話かも。
    諸王の都関係の話は過去にもいろいろなパターンで書いてますが、今回はこういう味付けになりました。ここ一年くらいほとんど文章書かない生活をしていたので、リハビリも兼ねて。
    2024/5/11~5/12「Parallel Gate」限定展示 * * *

    「ね、あたし悪い酔い方しなくなったでしょ」
     ――からん。
     エレンが左隣へ目くばせしたのと同時に、グラスの中で氷の転がる音が響いた。偶然にしては、まあまあ洒落ている。
     氷は貴重品だ。安定して提供できる飲食店は少ない。商都リブロフのメインストリートに連なる店の中でも、このバーは高級店の部類に入る。席は七、八割ほども埋まっているのに、溶けかけの氷がグラスの中で音を立てるのさえ、よく聞こえるほど静か。普段なら滅多に足を踏み入れることのないような場所ではある。こんな日くらいは特別にいいだろうと、左隣の男に許してもらって今夜はここにいるのだった。
     カウンター席に陣取ってから、かれこれ二時間くらいになるだろうか。そろそろ就寝時刻を気にしなければならない――何せ隣の男はこう見えて、生活リズムにはうるさいのだ、少なくともエレンに対しては。その証拠に、ほら。エレンよりも大きめのグラスを傾けつつ、にこりともしないでこちらへ横目を向けてくる。
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