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    ビーム

    きたまお

    TRAININGビームライフル少年の挫折と父との会話地元では誰にも負けたことがなかったし、北海道・東北ブロック大会にでても自分より強いものはいなかった。「今年の東北は男鹿アキタがいる」大人たちが自分の名を誇らしげに口にするのを聞いた。「しばらく東北の天下が続くだろう」「小学校三年生で全国優勝すれば、噂になって東北のビームライフル人口が増えるのではないか」
     文字通り負けなしで全国大会へ駒を進めた。そこで初めてライバルとなる存在に出会うことになった。神奈川県の男子だ。彼もビームライフル競技を始めて半年で、神童と言われていた。
    「同い年なんだ、よろしくね」
     彼は同年齢では背が高いほうだった。アキタの目線の上から手を伸ばしてきた。アキタは軽くうなずくだけにとどめた。試合前に戦う相手と手を組むつもりはなかった。
     アキタと彼は当然のようにファイナルへ進出した。ふたり以外は小学校五年生がひとり、残りは六年生で占められていた。最初の十二発で五年生が脱落した。五十秒で一発を二回繰り返すごとに、六年生が脱落していく。最後に残ったのはアキタと彼のふたりの三年生だった。
     ビームライフルは呼吸ですべてが決まる。身体の動きを止めるための重くて固いライフルコ 3181