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    #ディルガイ

    luckae枭羽枭羽

    のくたの諸々倉庫

    DONE黎明よ、どうか断罪を(完)/ディルガイ
    おわり!
    「残念ながら別人だぜ、あいつは」
    「……本当、なのか」
    「ああ、見た目は俺そっくりだけどな。なんなら俺の生まれ変わりかもしれないが、記憶の引き継ぎに必要な『俺』は今ここにいる。
     つまりは姿形だけそっくりな他人だよ」
     白い部屋。僕が贈ったものだけが、色を持ってそこに佇むこの場所で──僕を見るガイアの目は、さも愉快そうに弧を描いた。
    「ちなみにな、お前今結構危うい状態にあるぞ。ここにいるほんの短い時間以外、前からずっと寝てなかったもんな」
    「……そんな、ことは」
    「あるんだよ、過労死しかけてもなお気付かないとか余程だぞ。
     それとも俺と、ここで一緒に楽しく暮らすか?」
     ──あるいはそれは、僕がそれを拒むのだろうという確信と共に放たれた言葉だったのかもしれない。
     それでもひどく、心は揺れた。彼と一緒に、ここで、永遠に。
    「……それも、いいかもしれないな」
    「っ……おいおい、どうしたんだよお前。そんなにお疲れだったのか」
    「言い出しておいて慌てるな……疲れているのは確かだが、君と過ごせるならそれも、悪くないと思っただけだ」
    「冗談だろ……そうなればお前、もう二度と目を覚ますことなく死ぬ 3518

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    PROGRESS黎明よ、どうか断罪を(1)/ディルガイ
    現パロ。捏造まみれ。
     夢を見る。
     お前は嘘つきだな、と。片目の隠れた男が笑い、白い部屋で目を覚ます。そんな、夢だ。
    「……ここはどこだ。そして、君は」
     夢の中であると分かっているはずなのに、背を伝う汗の感触すらリアルだった。いつの間にか座っていた椅子の上、目の前に佇むのは青い髪の男。
    「俺か? 俺はガイア、ガイア・アルベリヒ。この部屋の主を始めて大方300年くらいだ。そしてお前はディルック。俺の、にいさん」
    「僕に弟はいないはずだが」
    「まあまあ、言っただろ? 俺はこの部屋に300年住んでるって」
     言いながら、広げられた両手が白一色の室内を示す。その中央に向かい合う形で、やはり白い椅子がひとつずつ。それらに僕たちは腰掛けていて、僕をにいさんと呼ぶ彼以外には何も、本当に何もない部屋だった。
    「言いたいことはいくつかあるが……窓ひとつない部屋なのに、時間の経過なんて分かるのか」
    「そこらへんはまあ、なんとなくだから間違ってるかもな。いわゆるフィーリングってやつだ」
    「……それ以前に、君は人間なのか? 300年もこんな、何もない部屋に閉じ込められて……退屈だとかそれ以前に、人間としての寿命はどうなっている 8002

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    DONE「たとえ話だよ、そんな顔しないでってば」/ディルガイ(+ウェン)

    こういう不穏な神様いっぱい吸いたい
     グラスの中の氷がからん、と軽やかな音を立てた。
    「そういえば今日、お前のことを『神に愛されし存在だ』……なんて言ってるやつがいたなあ」
    「……なんだそれは。褒めているのか?」
     酒を片手にニヤニヤと、やけに機嫌のよさそうなガイアに目をやる。その肌の色のせいで分かりにくいが、上気した頬ととろけた声は酔っぱらっている証だった。
    「まあ前後の話からするに、神に愛されて色んなものをもらった人だ、とかいう感じだったな」
    「……そうか。その全てを否定するわけではないが……妙な気分だな」
    「お前は努力家だもんなあ。その実力は神なんかが与えてくれたもんじゃない、って言いたいんだろ?」
    「……『なんか』とは思わないがな。ある程度生まれ持ったものがある上に、研鑽を重ねた結果だよ」
    「ふうん……」
     不愉快、とまではいかないものの、さもつまらなさそうにまた、ちびちび酒を口にする。そうしてガイアはまた、「それじゃあきっと、俺はとんでもなく神に嫌われてるだろうなあ」と。
    「……理由を訊いても?」
    「いいぜ、とはいっても別に俺自身が不幸だとか思ってるわけじゃない。いつものことだろ、俺とお前は昔から何もかも反対だ 1114

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    CAN’T MAKE※現パロ
    ディルガイ遊園地デート話

    兄弟喧嘩のその後的な。書きたいところだけ書きました!!!!!!!!!!!!!!
     ……視界がぐるぐる回っている。
    「ガイア、大丈夫か? 酷いようなら職員を呼ぼう」
     言われて顔を上げた先、さも心配そうに俺の背をさするのはディルックだ。大丈夫だとも離してくれとも言えず、呻く羽目になった原因は分かっている。
    「……何か、飲み物が欲しい。買ってきてくれるか」
     だからあえて、遠ざけるために笑顔を向けた。ほんの数秒迷ったようだったが、頷き駆けていく義兄を見送る。そうしてひとつ、深いため息をついた。
    「帰りたいなあ……」
     遊園地のペアチケットをもらった、一緒に行こうだなんてディルックが言い出したとき、俺はどんな顔をしていたのだろう。断りきれずに来てしまったが、俺の三半規管はジェットコースターを前に無力だった。
     別に吐きそうなほどひどいわけではないが、心は存外めちゃくちゃで。ああ俺にもまだ、こんなにも悩めるほど執着するものがあったのか、と。
     分かっている。あの義兄だ。
     それなりに長い間、すれ違って傷付け合った。それでもずっと抱えてきた恋心だけは、墓まで持っていくつもりなのに死んではくれない。俺のことはどうせ、チケットの期限が近くてもったいなかったから、勘違いなんかしそ 2662

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    DONEあるいはひどく遅効性/ディルガイ 毒を、飲んだ。
    「……はは、なるほど……これはすごい、な」
     味がひどいとか喉が焼けるようだとか、そういった点からすればそれは、ディルックが嫌う酒と同じようなものだったのかもしれない。けれど自らの体内を確実に蝕む感覚に、ああこれでと目を閉じる直前。
     横たわったベッドのすぐ近く、暗闇にそっと溶けるように──そこに誰かがいるような気がした。



    「みつけたよ、にいさん」
     言われて慌てて、ディルックは顔を上げる。そうすれば大きな目を細め、笑う義弟の──とうに死んだはずのガイアが、在りし日の姿でこちらを見つめていた。
    「これでかくれんぼは僕の勝ちだね、次は何して遊ぼうか!」
     慌てて辺りを見回した。いつかのワイナリーの敷地内だった。そして視界に映る自らの手足もまだ、随分と小さい。
     ……今ならば分かる、これは夢だ。走馬灯と言ってもいいかもしれないが、あまりにもディルック自身の願望が含まれ過ぎているとも思った。
     けれど、ならば。抱えていた膝を離して立ち上がる。どうせ全て夢だと分かっているのだ、最後に楽しく過ごすのも悪くない。
     伸ばした手は存外はっきりした感覚と共に、ガイアの頬に触れる 2709

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    DONE転生ネタディルガイ(ディは不在)「ガイアはさ、いつディルックに記憶があることを話すの?」
     言った途端に隣のガイアが、音もなく片眉を上げる。どうせ昼食時の教室で何を言ったところで、周りに全てかき消されてしまうだろうに──あくまで静かに、彼は俺へと向き直った。
    「……空、なんでそれを」
    「んー、蛍には止められてたんだけどさ。そろそろ俺も限界感じてきたから言っちゃうね。少なくとも俺たち、テイワットでの記憶あるよ」
     ペットボトルの蓋を開け、中身を喉へと流し込む。そうして一息ついた俺が、次に目にしたのはなぜか、やけに悲しそうなガイアの顔だった。
    「そう、か。それであいつにも記憶があるって、お前は踏んでるわけか」
    「うん、だって入学した時に声かけてきたのはディルックの方だったからね。ガイアが留年してるって教えてくれた時の顔、どう見ても全部覚えてる感じだったよ」
    「はー……まあそうだよなあ……せっかく年度離れたくて留年したってのに……」
    「聞こえてる聞こえてる。まあそれでガイアと一緒に学べるのは俺も嬉しいけどさ、色々はっきりさせとかないとダメなんじゃないの?」
    「……分かってる。だがなあ空、思わず初対面のフリしたくなるくらい… 1246