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MOURNINGワンドロお題「猫」事務所の近くにいる猫に懐かれている百々人の話。
猫/百々秀「にゃ~ん」
甘えるような鳴き声で、少し小柄な猫が足元に擦り寄ってくる。
この猫は事務所の近くに住むおばあさんに飼われている猫らしいが、日中は自由に外を出歩き、こうやって近所の人たちに甘える。夕方のご飯の時間になると帰宅して、ご主人であるおばあさんに甘やかしてもらう。
美しく青みを帯びたグレーの毛並みに、少し深みのある透き通った海のような青い瞳。僕はこの猫を『しゅーくん』と呼んでいた。
もちろん、飼い主であるおばあさんが名付けた本当の名前があるけど、そのおばあさんとは面識がないし、この子の名前は分からない。
だから、その青く大きな瞳と、小さくて愛らしいところが、なんとなく僕と同じユニットに所属する彼に似ている気がして、そう呼んでいる。
628甘えるような鳴き声で、少し小柄な猫が足元に擦り寄ってくる。
この猫は事務所の近くに住むおばあさんに飼われている猫らしいが、日中は自由に外を出歩き、こうやって近所の人たちに甘える。夕方のご飯の時間になると帰宅して、ご主人であるおばあさんに甘やかしてもらう。
美しく青みを帯びたグレーの毛並みに、少し深みのある透き通った海のような青い瞳。僕はこの猫を『しゅーくん』と呼んでいた。
もちろん、飼い主であるおばあさんが名付けた本当の名前があるけど、そのおばあさんとは面識がないし、この子の名前は分からない。
だから、その青く大きな瞳と、小さくて愛らしいところが、なんとなく僕と同じユニットに所属する彼に似ている気がして、そう呼んでいる。
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MOURNING2人のオフの日に秀を水族館に連れ出す百々人の話。※ちょっと暗い
回遊魚/百々秀「先輩は知ってますか? マグロは泳ぐのをやめると死んでしまうらしいですよ」
水族館内に設置されたドーナツ型の大きな水槽を勢いよく泳ぐマグロを眺めながらしゅーくんはそんな話をした。
展示物の魚たちが映えるようにあえて照明を落とされた館内は薄暗かった。その中で、水槽のマグロたちは水面の上から降り注ぐ光を一身に浴びてギラギラと青光りしていた。
常に猛スピードで泳ぎ続けるマグロを水族館に展示するのは難しく、大きな水槽を必要とする。常設で展示している水族館は全国でも数箇所しかないらしい。今日訪れた水族館は偶然その一つだった。
「その話なら僕も知ってるよ」
マグロは、泳いで口に海水を入れ、それをエラに通すことで呼吸している。そのため、泳ぐのをやめると窒息して死んでしまうらしい。
992水族館内に設置されたドーナツ型の大きな水槽を勢いよく泳ぐマグロを眺めながらしゅーくんはそんな話をした。
展示物の魚たちが映えるようにあえて照明を落とされた館内は薄暗かった。その中で、水槽のマグロたちは水面の上から降り注ぐ光を一身に浴びてギラギラと青光りしていた。
常に猛スピードで泳ぎ続けるマグロを水族館に展示するのは難しく、大きな水槽を必要とする。常設で展示している水族館は全国でも数箇所しかないらしい。今日訪れた水族館は偶然その一つだった。
「その話なら僕も知ってるよ」
マグロは、泳いで口に海水を入れ、それをエラに通すことで呼吸している。そのため、泳ぐのをやめると窒息して死んでしまうらしい。
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MOURNINGワンドロよりお題「シャンプー」をお借りしました。お誘い/百々秀 僕たち2人のオフが被る前の日に、しゅーくんは僕の家に泊まりに来る。
僕の家の洗面所には2人分のコップと歯ブラシが仲良く並ぶ。
元々3人分置いてあったそれは、お父さんとお母さんが家を出て行ったあの日から僕1人の分だけ取り残されていた。
その光景も当たり前になってきた頃、キミの分が追加された。
家族が戻ってきてくれたみたい、ううん、新しい家族が増えたみたいで、なんだか嬉しかった。
シャンプーも僕が使うのとは別のものを、しゅーくんが自分で用意して持ってきたんだよね。僕は、キミが同じものを使ってくれるのが、嬉しかったんだけど。
しゅーくん曰く、僕たちはアイドルだから、シャンプーの香りひとつでも気をつけた方がいいって言ってた。
1028僕の家の洗面所には2人分のコップと歯ブラシが仲良く並ぶ。
元々3人分置いてあったそれは、お父さんとお母さんが家を出て行ったあの日から僕1人の分だけ取り残されていた。
その光景も当たり前になってきた頃、キミの分が追加された。
家族が戻ってきてくれたみたい、ううん、新しい家族が増えたみたいで、なんだか嬉しかった。
シャンプーも僕が使うのとは別のものを、しゅーくんが自分で用意して持ってきたんだよね。僕は、キミが同じものを使ってくれるのが、嬉しかったんだけど。
しゅーくん曰く、僕たちはアイドルだから、シャンプーの香りひとつでも気をつけた方がいいって言ってた。
Kisakibear
MAIKING百々秀短編。特殊設定で百々人が吸血鬼です(微ホラーかもしれんべったーで読む人はこっち→ https://privatter.net/p/9926644
「吸血鬼は同じ人間の血を二度吸ってはいけない」
今は昔、吸血鬼が人々に恐れられていたらしい頃の古い古い掟。食卓に置かれた真っ赤なスープに映る生気のない自分の顔を見ながら、百々人はなぜかそんなことを思い出した。
母親にどんなに急かされても「それ」を美味しそうには思えない。黙っているとしばらくして、母親はため息をついた。失望の目を向けながら、口を開く。
「あなたはスポーツも勉強も……、「これ」もダメなのね」
■
とある日、秀は談話室で学校で配られたらしいプリントをめくっていて、百々人はその向かいに座ってぼんやりと、Pとの打ち合わせの時間を待っていた。痛っ、という声で秀に目を向けると彼は自身の人差し指を見つめていて、その指の腹に走った赤い線がじんわりと太くなる。
1421今は昔、吸血鬼が人々に恐れられていたらしい頃の古い古い掟。食卓に置かれた真っ赤なスープに映る生気のない自分の顔を見ながら、百々人はなぜかそんなことを思い出した。
母親にどんなに急かされても「それ」を美味しそうには思えない。黙っているとしばらくして、母親はため息をついた。失望の目を向けながら、口を開く。
「あなたはスポーツも勉強も……、「これ」もダメなのね」
■
とある日、秀は談話室で学校で配られたらしいプリントをめくっていて、百々人はその向かいに座ってぼんやりと、Pとの打ち合わせの時間を待っていた。痛っ、という声で秀に目を向けると彼は自身の人差し指を見つめていて、その指の腹に走った赤い線がじんわりと太くなる。
Kisakibear
DONE読み聞かせする(される)百々秀。めっちゃ前ですがhttps://poipiku.com/939216/7823176.html を漫画版に清書しました2023/9/7:前半部分追加 4枚目は投稿時のものです 4
onsen
DONE百々秀百々秀未満の百々人と天峰の話です。自己解釈全開なのでご注意ください。
トラブルでロケ先にふたりで泊まることになった百々人と天峰。
初出2022/2/17 支部
夜更けの旋律 大した力もないこの腕でさえ、今ならへし折ることができるんじゃないか。だらりと下がった猫のような口元。穏やかな呼吸。手のひらから伝わる、彼の音楽みたいに力強くリズムを刻む、脈。深い眠りの中にいる彼を見ていて、そんな衝動に襲われた。
湧き上がるそれに、指先が震える。けれど、その震えが首筋に伝わってもなお、瞼一つ動かしもせず、それどころか他人の体温にか、ゆっくりと上がる口角。
これから革命者になるはずの少年を、もしもこの手にかけたなら、「世界で一番」悪い子ぐらいにならなれるのだろうか。
欲しいものを何ひとつ掴めたことのないこの指が、彼の喉元へと伸びていく。
その日は珍しく、天峰とふたりきりの帰途だった。プロデューサーはもふもふえんの地方ライブに付き添い、眉見は地方ロケが終わるとすぐに新幹線に飛び乗り、今頃はどこかの番組のひな壇の上、爪痕を残すチャンスを窺っているはずだ。日頃の素行の賜物、22時におうちに帰れる時間の新幹線までならおふたりで遊んできても良いですよ! と言われた百々人と天峰は、高校生の胃袋でもって名物をいろいろと食べ歩き、いろんなアイドルが頻繁に行く場所だからもう持ってるかもしれないな、と思いながらも、プロデューサーのためにお土産を買った。きっと仕事柄、ボールペンならいくらあっても困らないはずだ。チャームがついているものは、捨てにくそうだし。隣で天峰は家族のためにだろうか、袋ごと温めれば食べられる煮物の類が入った紙袋を持ってほくほくした顔をしていた。
6475湧き上がるそれに、指先が震える。けれど、その震えが首筋に伝わってもなお、瞼一つ動かしもせず、それどころか他人の体温にか、ゆっくりと上がる口角。
これから革命者になるはずの少年を、もしもこの手にかけたなら、「世界で一番」悪い子ぐらいにならなれるのだろうか。
欲しいものを何ひとつ掴めたことのないこの指が、彼の喉元へと伸びていく。
その日は珍しく、天峰とふたりきりの帰途だった。プロデューサーはもふもふえんの地方ライブに付き添い、眉見は地方ロケが終わるとすぐに新幹線に飛び乗り、今頃はどこかの番組のひな壇の上、爪痕を残すチャンスを窺っているはずだ。日頃の素行の賜物、22時におうちに帰れる時間の新幹線までならおふたりで遊んできても良いですよ! と言われた百々人と天峰は、高校生の胃袋でもって名物をいろいろと食べ歩き、いろんなアイドルが頻繁に行く場所だからもう持ってるかもしれないな、と思いながらも、プロデューサーのためにお土産を買った。きっと仕事柄、ボールペンならいくらあっても困らないはずだ。チャームがついているものは、捨てにくそうだし。隣で天峰は家族のためにだろうか、袋ごと温めれば食べられる煮物の類が入った紙袋を持ってほくほくした顔をしていた。
ichica0504
DOODLEなんでもない日の百々秀。あと何年後かのお互いの家を行き来する百々秀とか。まだなんもわかっていない時に書いたので後で書き直したい。
無題自分を天才と称して憚らず、その言葉通りに才能を発揮するキミがとてもとても眩しかった。それは僕が欲しくてたまらず、手に入れられなかったものだから。
時折その自信が揺らぐのを知っている。それでも、ファンの前でカメラの前で僕らの前で、溢れんばかりの光の中で得意そうに笑う顔を見て、僕は。
寝苦しさを感じてうっすらと目を開く。見えたのは見知った天井。仕事を終えて早めに帰宅し、疲れからソファで仮眠を取っていたのだ。
ずいぶん懐かしい夢を見たな、と思う。
まだ結成したてで右も左もわからなかった頃の夢だ。それをもう懐かしいと思えるくらいにはあの頃から時間が過ぎている。
それにしても、なんだか体が重くてだるい。
なんとなく原因に当たりをつけながら少し視線を落とすと、そこに綺麗な青みがかった髪が見えた。
2198時折その自信が揺らぐのを知っている。それでも、ファンの前でカメラの前で僕らの前で、溢れんばかりの光の中で得意そうに笑う顔を見て、僕は。
寝苦しさを感じてうっすらと目を開く。見えたのは見知った天井。仕事を終えて早めに帰宅し、疲れからソファで仮眠を取っていたのだ。
ずいぶん懐かしい夢を見たな、と思う。
まだ結成したてで右も左もわからなかった頃の夢だ。それをもう懐かしいと思えるくらいにはあの頃から時間が過ぎている。
それにしても、なんだか体が重くてだるい。
なんとなく原因に当たりをつけながら少し視線を落とすと、そこに綺麗な青みがかった髪が見えた。