yellow, yellow, yellow「あれ、また花束か?」
数日前に貰ったものがまだ萎れないうちに、またもクロが花束を持って現れた。前回よりも本数が少なく、大輪のひまわりが3本、それをくるんだだけのシンプルな花束。前は7本だった。
「先生、今日が何の日か覚えていますか?」
カレンダーを見る。7月13日。何の日か。祝日ではないし、なにかの記念日? ここ数年のこの時期に起きたことを、記憶から引っ張り出して、並べる。
「……お前の怪病が完治した日か!」
「はい」
クロの口が嬉しそうに綻んだ。
「そっか。もう丸7年になんのか。早えな」
出会った時はガリガリで死にかかっていて、治った時もまだ歳のわりに小柄で幼い少年だったクロも二十歳になって、すっかり大きくなって体格も良くなった。患者が元患者に変わって、関係性が師匠と弟子だけになってから、あの時生まれた子どもが小学生になるほどの時間が過ぎて、クロも大学生になった。正直あっという間だった気がする。毎日が忙しすぎて、楽しくて。
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