Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    #保鳴

    squealing

    ma_ji_ko

    MAIKINGできてる保鳴/完結後謎時空
    ほしなの昔のアルバムを見て結構楽しそうななるみに、なるみさんもアルバムつくろ!と提案するほしなの話
    君のよすがになりたい夏の終わりに差し掛かっても、東京を包む空気はいまだに暑い。海に臨む有明基地は都心の立川とはまた違い、湿気た風が穏やかに吹いている。いくらか淡くなった青空が窓越しに広がっていても、鳴海は見向きもしなかった。ところせましと棚が並ぶ隊長室の中、唯一がらんとした窓際に腰を下ろして、膝に置いた一冊のアルバムを熱心にめくっている。
    保科はその様子を眺めつつ、照れくささにむずむずと口元を緩めた。鳴海の視線の先、すべてのページの中には、遠い記憶の中の自分がいた。
    くしゃくしゃの笑顔で竹刀を握る少年。兄にぶら下がるようにして歩く七五三。思春期らしいぶっきらぼうな学ラン姿。どれも気恥ずかしくも懐かしい。

    それにしても、鳴海はこの何の変哲もない写真たちをあまりにも真剣に眺めていた。最後のページにたどり着いてはまた戻って、を繰り返している。道場の風景、名前も覚えていないクラスメイトと写った保科、おくるみに包まれた赤ん坊、そのあたりを何度も見返しては、ふうん、と気のない息を吐いて目の前の保科をのぞき込む。どうやら紙の中の保科と自分の知る保科を見比べているようだ。目が合うたび薄紅色の瞳がきらめく様子に、保科はふわふわと落ち着かない気分になる。
    3107