EastBudTree
MOURNINGでんでん太鼓のお話でんでん太鼓どうして彼にでんでん太鼓を贈ったのか。
降りしきる雪の中、惜しげもなく笑顔をこちらに与える彼に、自分が与えられるものが他に何も持っていなかったからだ。
それでも彼はでんでん太鼓をじっと見つめると嬉しそうにこちらに笑いかけてくれた。
その笑顔によくわからない胸の軋みを感じて、ひどく慌てた。
とっさに何も言葉が浮かばず、身を翻すとその場を駆け出してしまった。
雪の街中を走ってはいけないと、強く叔父に窘められていたのに、彼は走って探し人を見つけた。
「兄上」
兄の藍 曦臣は彼の姿を見つけると、ほっとしたようにこちらにやってきた。
「忘機、何処に行っていたんだい」
彼は兄の差し出された手を強く引いた。
「こちらへ」
「何かあったのかい、忘機」
906降りしきる雪の中、惜しげもなく笑顔をこちらに与える彼に、自分が与えられるものが他に何も持っていなかったからだ。
それでも彼はでんでん太鼓をじっと見つめると嬉しそうにこちらに笑いかけてくれた。
その笑顔によくわからない胸の軋みを感じて、ひどく慌てた。
とっさに何も言葉が浮かばず、身を翻すとその場を駆け出してしまった。
雪の街中を走ってはいけないと、強く叔父に窘められていたのに、彼は走って探し人を見つけた。
「兄上」
兄の藍 曦臣は彼の姿を見つけると、ほっとしたようにこちらにやってきた。
「忘機、何処に行っていたんだい」
彼は兄の差し出された手を強く引いた。
「こちらへ」
「何かあったのかい、忘機」
EastBudTree
MOURNING長かったのでまとめました。音「今日はここまで」
含光君の言葉が蘭室に響き渡ると同時。
スパーー―ン!
蘭室の扉が勢いよく開かれた。
何事かと各世家の子弟たちが扉を一斉に振り向いた。
「魏嬰?」
藍湛は扉の前にいる魏嬰の行いに眉を顰めた。
大きな音を立てないという規則破りを犯したために顰めたわけではない。
普段奔放な行動を起こす魏嬰だが、彼なりに雲深不知処での弁え方を心得ている。
そんな彼が、蘭室の授業が終わったと同時に乱暴に戸を開け、いつもの明るい表情を俯け隠しきって、ふらりふらりと藍湛のもとへ歩んでいた。
「魏嬰?」
返事の返さない魏嬰に藍湛は胞の裾を払って立ち上がると、それに気づいたように魏嬰は歩みを止めて倒れこんだ。
わぁとなる子弟たちの声を制し、藍湛は魏嬰を受け止めると、その胸に魏嬰は何かを囁いた。その言葉に少し小首をかしげる藍湛。
2208含光君の言葉が蘭室に響き渡ると同時。
スパーー―ン!
蘭室の扉が勢いよく開かれた。
何事かと各世家の子弟たちが扉を一斉に振り向いた。
「魏嬰?」
藍湛は扉の前にいる魏嬰の行いに眉を顰めた。
大きな音を立てないという規則破りを犯したために顰めたわけではない。
普段奔放な行動を起こす魏嬰だが、彼なりに雲深不知処での弁え方を心得ている。
そんな彼が、蘭室の授業が終わったと同時に乱暴に戸を開け、いつもの明るい表情を俯け隠しきって、ふらりふらりと藍湛のもとへ歩んでいた。
「魏嬰?」
返事の返さない魏嬰に藍湛は胞の裾を払って立ち上がると、それに気づいたように魏嬰は歩みを止めて倒れこんだ。
わぁとなる子弟たちの声を制し、藍湛は魏嬰を受け止めると、その胸に魏嬰は何かを囁いた。その言葉に少し小首をかしげる藍湛。
杜宇(とう)/乙葵
MOURNING物書きするにあたって、イメージ浮かんだりするとたまにクロッキーに描いてますが、描いたままになってしまうのでここで供養。魏無羨は藍氏の校服着てるのと、髪型は小説のネタです。小説は書き上げたら、支部にあげます。saltsalt__shio
SPUR ME不死身の生命体として研究所に収容されている魏無羨を研究員藍忘機が逃がそうとする話。⚠️人体実験の描写あり
運命の果実を一緒に食べよう① 藍忘機は戦慄した。
研究職に就いて十三年。遂に国の極秘機関に配属されたこの日、表情が全く変わらないと噂されているその顔に隠しきれない興奮を滲ませながら新しい職場に入った。厳重な扉、建物の隅々まで映し出すように設置された監視カメラと窓が一切ない密閉された空間が、この研究の重要さを物語っていた。
「さぁ、ここだ」
新しい上司に連れられて立ったのは、研究所の中で最奥地にある研究室のドアの前。登録しておいた生体情報を読み込ませると、認証が成功したことを知らせる軽やかな機械音が鳴り響き、ゆっくりと扉が開かれていく。
埃一つ落ちていない真っ白な廊下とは一転し、室内は薄暗かった。
「今は『就寝』の時間だから照明は落としているんだ。それは踏むなよ」
4167研究職に就いて十三年。遂に国の極秘機関に配属されたこの日、表情が全く変わらないと噂されているその顔に隠しきれない興奮を滲ませながら新しい職場に入った。厳重な扉、建物の隅々まで映し出すように設置された監視カメラと窓が一切ない密閉された空間が、この研究の重要さを物語っていた。
「さぁ、ここだ」
新しい上司に連れられて立ったのは、研究所の中で最奥地にある研究室のドアの前。登録しておいた生体情報を読み込ませると、認証が成功したことを知らせる軽やかな機械音が鳴り響き、ゆっくりと扉が開かれていく。
埃一つ落ちていない真っ白な廊下とは一転し、室内は薄暗かった。
「今は『就寝』の時間だから照明は落としているんだ。それは踏むなよ」
sgm
DONEなれそめ曦澄。後半部分です。大分書き始めてから時間が経ちましたが終わりました。感想いただけると嬉しいです!
R18のその後の二人を追加してP4P予定です。
読みにくければPixivへどうぞ。
追憶相相 後編 六
藍曦臣の目は覚めたが法器の影響を受けていることで、俄に雲深不知処は慌ただしくなった。藍啓仁、藍忘機が寒室に到着したのと入れ替わるようにして江澄と魏無羨は寒室から静室に移動した。魏無羨の手には藍思追が金麟台から持ち帰って来た温氏の目録がある。
目録を紐解けば江澄の記憶の通り、あの簪についての記述があった。
温若寒から遡ること三代前の温宗主の時代に、拷問、自白目的で作られた法器で人間の生命力を栄養分として花を咲かす物だった。栄養分にされた人間は活屍となり死んだことに気がつかずに身体に残った陽の気を吸われ続け、最終的にはカラカラに干乾びる。養分となった人間が干乾びるか、首を切られたり、折られたりなどすると咲いた花は枯れていく。
44086藍曦臣の目は覚めたが法器の影響を受けていることで、俄に雲深不知処は慌ただしくなった。藍啓仁、藍忘機が寒室に到着したのと入れ替わるようにして江澄と魏無羨は寒室から静室に移動した。魏無羨の手には藍思追が金麟台から持ち帰って来た温氏の目録がある。
目録を紐解けば江澄の記憶の通り、あの簪についての記述があった。
温若寒から遡ること三代前の温宗主の時代に、拷問、自白目的で作られた法器で人間の生命力を栄養分として花を咲かす物だった。栄養分にされた人間は活屍となり死んだことに気がつかずに身体に残った陽の気を吸われ続け、最終的にはカラカラに干乾びる。養分となった人間が干乾びるか、首を切られたり、折られたりなどすると咲いた花は枯れていく。
sgm
DONE去年の交流会でP4P予定してるよーなんて言ってて全然終わってなかったなれそめ曦澄。Pixivにも上げてる前半部分です。
後半は此方:https://poipiku.com/1863633/6085288.html
読みにくければシブでもどうぞ。
https://www.pixiv.net/novel/series/7892519
追憶相相 前編一
「何をぼんやりしていたんだ!」
じくじくと痛む左腕を抑えながら藍曦臣はまるで他人事かのように自分の胸倉を掴む男の顔を見つめた。
眉間に深く皺を刻み、元来杏仁型をしているはずの瞳が鋭く尖り藍曦臣をきつく睨みつけてくる。毛を逆立てて怒る様がまるで猫のようだと思ってしまった。
怒気を隠しもせずあからさまに自分を睨みつけてくる人間は今までにいただろうかと頭の片隅で考える。あの日、あの時、あの場所で、自らの手で命を奪った金光瑶でさえこんなにも怒りをぶつけてくることはなかった。
胸倉を掴んでいる右手の人差し指にはめられた紫色の指輪が持ち主の怒気に呼応するかのようにパチパチと小さな閃光を走らせる。美しい光に思わず目を奪われていると、舌打ちの音とともに胸倉を乱暴に解放された。勢いに従い二歩ほど下がり、よろよろとそのまま後ろにあった牀榻に腰掛ける。今にも崩れそうな古びた牀榻はギシリと大きな悲鳴を上げた。
66994「何をぼんやりしていたんだ!」
じくじくと痛む左腕を抑えながら藍曦臣はまるで他人事かのように自分の胸倉を掴む男の顔を見つめた。
眉間に深く皺を刻み、元来杏仁型をしているはずの瞳が鋭く尖り藍曦臣をきつく睨みつけてくる。毛を逆立てて怒る様がまるで猫のようだと思ってしまった。
怒気を隠しもせずあからさまに自分を睨みつけてくる人間は今までにいただろうかと頭の片隅で考える。あの日、あの時、あの場所で、自らの手で命を奪った金光瑶でさえこんなにも怒りをぶつけてくることはなかった。
胸倉を掴んでいる右手の人差し指にはめられた紫色の指輪が持ち主の怒気に呼応するかのようにパチパチと小さな閃光を走らせる。美しい光に思わず目を奪われていると、舌打ちの音とともに胸倉を乱暴に解放された。勢いに従い二歩ほど下がり、よろよろとそのまま後ろにあった牀榻に腰掛ける。今にも崩れそうな古びた牀榻はギシリと大きな悲鳴を上げた。
sgm
DONE江澄誕としてTwitterに上げていた江澄誕生日おめでとう話江澄誕 2021 藍曦臣が蓮花塢の岬に降り立つと蓮花塢周辺は祭りかのように賑わっていた。
常日頃から活気に溢れ賑やかな場所ではあるのだが、至るところに店が出され山査子飴に飴細工。湯気を出す饅頭に甘豆羹。藍曦臣が食べたことのない物を売っている店もある。一体何の祝い事なのだろうか。今日訪ねると連絡を入れた時、江澄からは特に何も言われていない。忙しくないと良いのだけれどと思いながら周囲の景色を楽しみつつゆっくりと蓮花塢へと歩みを進めた。
商人の一団が江氏への売り込みのためにか荷台に荷を積んだ馬車を曳いて大門を通っていくのが目に見えた。商人以外にも住民たちだろうか。何やら荷物を手に抱えて大門を通っていく。さらに藍曦臣の横を両手に花や果物を抱えた子どもたちと野菜が入った籠を口に銜えた犬が通りすぎて、やはり大門へと吸い込まれていった。きゃっきゃと随分楽しげな様子だ。駆けていく子どもたちの背を見送りながら彼らに続いてゆっくりと藍曦臣も大門を通った。大門の先、修練場には長蛇の列が出来ていた。先ほどの子どもたちもその列の最後尾に並んでいる。皆が皆、手に何かを抱えていた。列の先には江澄の姿が見える。江澄に手にしていたものを渡し一言二言会話をしてその場を立ち去るようだった。江澄は受け取った物を後ろに控えた門弟に渡し、門弟の隣に立っている主管は何やら帳簿を付けていた。
5198常日頃から活気に溢れ賑やかな場所ではあるのだが、至るところに店が出され山査子飴に飴細工。湯気を出す饅頭に甘豆羹。藍曦臣が食べたことのない物を売っている店もある。一体何の祝い事なのだろうか。今日訪ねると連絡を入れた時、江澄からは特に何も言われていない。忙しくないと良いのだけれどと思いながら周囲の景色を楽しみつつゆっくりと蓮花塢へと歩みを進めた。
商人の一団が江氏への売り込みのためにか荷台に荷を積んだ馬車を曳いて大門を通っていくのが目に見えた。商人以外にも住民たちだろうか。何やら荷物を手に抱えて大門を通っていく。さらに藍曦臣の横を両手に花や果物を抱えた子どもたちと野菜が入った籠を口に銜えた犬が通りすぎて、やはり大門へと吸い込まれていった。きゃっきゃと随分楽しげな様子だ。駆けていく子どもたちの背を見送りながら彼らに続いてゆっくりと藍曦臣も大門を通った。大門の先、修練場には長蛇の列が出来ていた。先ほどの子どもたちもその列の最後尾に並んでいる。皆が皆、手に何かを抱えていた。列の先には江澄の姿が見える。江澄に手にしていたものを渡し一言二言会話をしてその場を立ち去るようだった。江澄は受け取った物を後ろに控えた門弟に渡し、門弟の隣に立っている主管は何やら帳簿を付けていた。
sgm
DONE兄上誕としてTwitterに上げてた現代AU兄上おめでとう話。兄上誕2021 誕生日と言えば、弟や叔父から祝ってもらうのが主で、それももちろん嬉しいのだけれども特別誕生日に思い入れはなかった。生まれたことに生んでくれた母親に感謝はすれども幼い頃から誕生日を特段楽しみにしてはいなかった。特に成人になってからは前の一年に成し得たことを振り返り、これからの一年をどう過ごすべきかをぼんやりと考える日、程度だった。
けれど、今年は生まれて初めて誕生日を恋人に祝ってもらうことになった。幸いなことに誕生日当日が金曜日であったために夕食を江澄ととり、その後も一緒にいられる。それだけで藍曦臣の心は浮足立ってしまう。
誕生日当日は江澄がいろいろと計画をしてくれているらしく、貴方は普段通りに仕事をし、連絡を待っていろとだけ言われた。何を計画してくれているのかそれを考えるだけでも心が暖かくなるし、わくわくとしてくるし、顔がにやけてしまう。
3876けれど、今年は生まれて初めて誕生日を恋人に祝ってもらうことになった。幸いなことに誕生日当日が金曜日であったために夕食を江澄ととり、その後も一緒にいられる。それだけで藍曦臣の心は浮足立ってしまう。
誕生日当日は江澄がいろいろと計画をしてくれているらしく、貴方は普段通りに仕事をし、連絡を待っていろとだけ言われた。何を計画してくれているのかそれを考えるだけでも心が暖かくなるし、わくわくとしてくるし、顔がにやけてしまう。
はゆや
SPUR MEオメガバース忘羨匂わせ程度のすけべな描写あり
設定はこちら
https://twitter.com/soushokukoebi/status/1483004515385507840?s=21 2605
名護屋乃(なごやん)
DONE08藍湛(小藍湛)×18魏嬰(大師兄)年齢操作IF
ro様のイラストに添えたSSを短編に書き換えました。
(ro様了承いただいてます)
https://twitter.com/moyngyn/status/1483676616924426240 12
はゆや
SPUR MEオメガバース忘羨魏無羨の巣作り
少しすけべな描写あり
設定はこちら
https://twitter.com/soushokukoebi/status/1483004515385507840?s=21
魏無羨の巣作り編 ふわりと蓮の香りがして、藍忘機は目を覚ました。
「魏嬰」
「藍湛、起こしてごめん。悪いんだけど今着ているその服を貸してくれないか?」
魏嬰と番になって半年が経った。
どうやら彼は巣作りをしようとしているようだ。巣作りが始まったのであれば、もうすぐ発情期がやってくるのだろう。
「こちらへ」
「本当にごめん。気持ち悪いだろ? でも本能に逆らえないんだ。許してくれ」
藍忘機はベットから身体を起こし、服を脱ぎ始めた。顔色が暗いが頬だけは異様に赤い魏無羨は拙い足取りでベットへ向かう。
魏無羨が伸ばした手を藍忘機は掴み、そのままベットの中に引き摺り込んだ。
「……藍湛?!」
魏無羨の服をビリビリと破き、火照りで熱い身体が露わになっていく。
1628「魏嬰」
「藍湛、起こしてごめん。悪いんだけど今着ているその服を貸してくれないか?」
魏嬰と番になって半年が経った。
どうやら彼は巣作りをしようとしているようだ。巣作りが始まったのであれば、もうすぐ発情期がやってくるのだろう。
「こちらへ」
「本当にごめん。気持ち悪いだろ? でも本能に逆らえないんだ。許してくれ」
藍忘機はベットから身体を起こし、服を脱ぎ始めた。顔色が暗いが頬だけは異様に赤い魏無羨は拙い足取りでベットへ向かう。
魏無羨が伸ばした手を藍忘機は掴み、そのままベットの中に引き摺り込んだ。
「……藍湛?!」
魏無羨の服をビリビリと破き、火照りで熱い身体が露わになっていく。