chiocioya18
DONE銀の卵屋イベ後のifです。いちごスプーンがわからない若い子はググッてくれよな!オーエン+カインですが普段腐脳の奴が書いてるのでCPの匂いはするかもしれません。
「へぇ。これが銀の卵か。これだけでも綺麗だな」
北と東の魔法使いたちが銀の卵屋から持ち帰ってきた卵。任務に同行しなかったカインはまあるい卵をまじまじと眺める。しかし卵の持ち主、オーエンは隠すように卵を両手で包み込んでしまった。
「ちょっと。僕のなんだから勝手にさわるなよ」
「さわってないさ。見てただけだ」
「騎士様は視線が馴れ馴れしいから、見るのも駄目」
屁理屈に肩をすくめたカインを鼻で笑いながら、オーエンは卵を撫でる。持ち主の魔力で孵化すると聞いたが、小さな卵を大事そうに抱える様子は存外熱心で、本人に言ったら怒るだろうがカインにはほほえましく思える。
「あ」
不意にオーエンが小さく声をあげて、カインもつられてそちらを向いた。かすかに卵が震えたかと思うと、ピキッと乾いた音を立てて卵に亀裂が入る。
2501北と東の魔法使いたちが銀の卵屋から持ち帰ってきた卵。任務に同行しなかったカインはまあるい卵をまじまじと眺める。しかし卵の持ち主、オーエンは隠すように卵を両手で包み込んでしまった。
「ちょっと。僕のなんだから勝手にさわるなよ」
「さわってないさ。見てただけだ」
「騎士様は視線が馴れ馴れしいから、見るのも駄目」
屁理屈に肩をすくめたカインを鼻で笑いながら、オーエンは卵を撫でる。持ち主の魔力で孵化すると聞いたが、小さな卵を大事そうに抱える様子は存外熱心で、本人に言ったら怒るだろうがカインにはほほえましく思える。
「あ」
不意にオーエンが小さく声をあげて、カインもつられてそちらを向いた。かすかに卵が震えたかと思うと、ピキッと乾いた音を立てて卵に亀裂が入る。
きいろ
DONEきょうはミミの日ですよ↓れたさんが素敵なミスファウSSを
書いてくださいました!
https://twitter.com/mhdakretta/status/1499364487190642689?s=21
かべうちのかべ
DONE冬春オンリー開催おめでとうございます。喧嘩の話の続きを新しくかきました。かきたい事が沢山出てきていつの間にかこの長さに……。
季節外れの9月頃のお話です。
『無視できないこころ』「はぁ」
重苦しい溜息は何度目か、周りがこんなに綺麗な色をしているというのに、少しも気分が晴れない。ここは春の国で一番見晴らしの良い丘の上、ネロが好んで昼寝に使っている場所だった。普段なら穏やかにそよぐ風と花の香りがまどろみを誘ってくるところだが、今はその穏やかさは欠片も訪れてくれない。心が淀んでいるせいだ。
「はぁ……」
「あ、ネロ兄様! お帰りになってたんですね!」
「ルチル、ただいま」
お帰りなさい! と言って飛び込んできた身体を受け止めると、その笑顔につられて少し心も穏やかになる。
「明日戻るって言われていたのに、何かあったんですか?」
「あー、ちょっと、な」
「兄様?」
「……なんでもねぇよ」
「そうですか。ふふ。でも、当日に伝えられるなら私は嬉しいです。誕生日、おめでとうございます!」
5540重苦しい溜息は何度目か、周りがこんなに綺麗な色をしているというのに、少しも気分が晴れない。ここは春の国で一番見晴らしの良い丘の上、ネロが好んで昼寝に使っている場所だった。普段なら穏やかにそよぐ風と花の香りがまどろみを誘ってくるところだが、今はその穏やかさは欠片も訪れてくれない。心が淀んでいるせいだ。
「はぁ……」
「あ、ネロ兄様! お帰りになってたんですね!」
「ルチル、ただいま」
お帰りなさい! と言って飛び込んできた身体を受け止めると、その笑顔につられて少し心も穏やかになる。
「明日戻るって言われていたのに、何かあったんですか?」
「あー、ちょっと、な」
「兄様?」
「……なんでもねぇよ」
「そうですか。ふふ。でも、当日に伝えられるなら私は嬉しいです。誕生日、おめでとうございます!」
かべうちのかべ
DONE再掲・初めて激オコしたネ君と何が悪かったか分かってないブの話
第1回ブラネロ冬春ワンドロライ、4回目のお題:喧嘩 より。
2021.8.30にTwitter掲載済。
『らしくない』「……」
「ネロ?なんだそんな恐い顔して」
「これ……、どうした?」
「お、それな。美味かったぜ!」
「……食ったのか?」
「おう」
「昨日、これだけは食うなって、言っといたよな?」
「そう……だったか?まぁ、でもこんな美味そうなもん我慢できねぇし、また作ればいいだろ?」
悪びれもせずにそう言って笑うブラッドリーとは反対に、ネロは感情を落としたように無表情だ。何度か耐えるように呼吸を繰り返していたが、どうにも収まらない怒りがあふれ出す。
唇をかみしめ、顔をゆがめてブラッドリーをにらみつけるとキッチンから荒々しく駆けだした。感情にまかせた言葉を吐き捨てて。
「てめぇは……野菜でも食ってろ!」
「は? おい、ネロ!」
涙こそ出てはいないが、明らかに傷ついた表情で去って行ったネロに困惑するブラッドリーは、何がなんだかさっぱりと分かっていなかった。そのまま呆然と扉を見つめ考え込むが、何度思い返してみてもいつものつまみ食いとなにも変わらない行動だったと思う。
2146「ネロ?なんだそんな恐い顔して」
「これ……、どうした?」
「お、それな。美味かったぜ!」
「……食ったのか?」
「おう」
「昨日、これだけは食うなって、言っといたよな?」
「そう……だったか?まぁ、でもこんな美味そうなもん我慢できねぇし、また作ればいいだろ?」
悪びれもせずにそう言って笑うブラッドリーとは反対に、ネロは感情を落としたように無表情だ。何度か耐えるように呼吸を繰り返していたが、どうにも収まらない怒りがあふれ出す。
唇をかみしめ、顔をゆがめてブラッドリーをにらみつけるとキッチンから荒々しく駆けだした。感情にまかせた言葉を吐き捨てて。
「てめぇは……野菜でも食ってろ!」
「は? おい、ネロ!」
涙こそ出てはいないが、明らかに傷ついた表情で去って行ったネロに困惑するブラッドリーは、何がなんだかさっぱりと分かっていなかった。そのまま呆然と扉を見つめ考え込むが、何度思い返してみてもいつものつまみ食いとなにも変わらない行動だったと思う。
umemhyk
DONE【1話前編】ブラッドリー×モブ(名前無し)の夢小説のようなものを初めての小説として書いてみました。もしもあなたが、違うかたちでブラッドリーに出逢ったら?
真っ白な大地を背に飛ぶ魔法使いへの憧れ。胸の奥にあるそのきらめきを、盗賊は必ず見つけ出す。どこでどんなふうに生まれても、“太陽”はきっとあなたを照らしてくれる…
そんな祈りを込めてこの物語をお届けします。
名も無き花はひだまりに揺れて 一輪目・名も無き銀細工師 〜前編〜カランカラン。
その魔法使いは前触れもなくやって来た。
まるで私の旅立ちを見計らったかのように。
漆黒と白銀の髪、射抜くような夕闇色の瞳。
「ようじじい」
「いらっしゃいませ…おお、これはこれはブラッドリー様。久方ぶりですなあ」
「あ、お前あん時のちっちゃいのか」
「ははは、こんな老いぼれにちっちゃいのは止してくださいよ」
「よく言うぜ。俺様の半分も生きてねえのによ」
お師匠が何やら親しげに話しているのは、数十年ぶりにうちの店に来た“常連”だ。
西の国の北東部、北の国との国境に近いこの銀細工屋は北からの来客も多い。なかでも盗賊を名乗る魔法使いの太客が数十年に一度来るとは聞いていたけれど、まさかたった一年修行に来ている私がその姿を見られるなんて。しかもここから旅立つ前日に。
1790その魔法使いは前触れもなくやって来た。
まるで私の旅立ちを見計らったかのように。
漆黒と白銀の髪、射抜くような夕闇色の瞳。
「ようじじい」
「いらっしゃいませ…おお、これはこれはブラッドリー様。久方ぶりですなあ」
「あ、お前あん時のちっちゃいのか」
「ははは、こんな老いぼれにちっちゃいのは止してくださいよ」
「よく言うぜ。俺様の半分も生きてねえのによ」
お師匠が何やら親しげに話しているのは、数十年ぶりにうちの店に来た“常連”だ。
西の国の北東部、北の国との国境に近いこの銀細工屋は北からの来客も多い。なかでも盗賊を名乗る魔法使いの太客が数十年に一度来るとは聞いていたけれど、まさかたった一年修行に来ている私がその姿を見られるなんて。しかもここから旅立つ前日に。