しぃー
DONE8/9 お題『ハグ』お借りしました! +3hそばに 最近、オロルンの姿を見ていない。
あいつのことだ、どうせミツムシの巣でも覗いてて手が離せないんだろう。……いや、野菜の世話かもしれない。大根だの、豆だの。
イファは診察が終わり、診療所の窓際で書類を片付けながら、頭上でせっせと医療器具を運ぶ相棒を見上げた。
「なあ、カクーク。最近、オロルン見てないけど、アイツ大丈夫かな……」
「しんぱいだ、きょうだい」
カクークは、小さく首を傾げて鳴いた。ふわふわした羽毛を揺らしながら、イファの頭に乗っかる。
「だよな……アイツ、ちょっと放っておくと、すぐ塞ぎ込むし……」
その時、くるくると回りながら入ってきたのは、花びらのような羽を持った式神だった。見慣れた模様──これはシトラリの使いだ。
1969あいつのことだ、どうせミツムシの巣でも覗いてて手が離せないんだろう。……いや、野菜の世話かもしれない。大根だの、豆だの。
イファは診察が終わり、診療所の窓際で書類を片付けながら、頭上でせっせと医療器具を運ぶ相棒を見上げた。
「なあ、カクーク。最近、オロルン見てないけど、アイツ大丈夫かな……」
「しんぱいだ、きょうだい」
カクークは、小さく首を傾げて鳴いた。ふわふわした羽毛を揺らしながら、イファの頭に乗っかる。
「だよな……アイツ、ちょっと放っておくと、すぐ塞ぎ込むし……」
その時、くるくると回りながら入ってきたのは、花びらのような羽を持った式神だった。見慣れた模様──これはシトラリの使いだ。
しぃー
DONE7/26 お題『海』『タトゥー』お借りしました。遅刻です💦 +2h
さっきまで治療していた竜の鳴き声が、満足そうに尾を振る音に変わっていた。
やれやれ、と息をついて、イファは潮の香りを含んだ風に顔を向ける。
夕方だが日が延びていて、町全体がまだ明るくゆったりとした時間が流れている。
「イファ?」
聞き覚えのある声に振り返ると、籠を提げたオロルンが立っていた。
「よう、きょうだい!」
甲高い声がして、イファの背後からもふもふの羽を揺らしながら、カクークが顔を出す。
「おまえ……なんでここに?」
「流泉の衆の宿に頼まれて、野菜の配達をしてたんだ。君は?」
「海際のコホラ竜の調子が悪くて診てた。もう、だいぶ落ち着いたよ」
ふっとイファが笑むと、オロルンも自然と頬をほころばせる。
1474やれやれ、と息をついて、イファは潮の香りを含んだ風に顔を向ける。
夕方だが日が延びていて、町全体がまだ明るくゆったりとした時間が流れている。
「イファ?」
聞き覚えのある声に振り返ると、籠を提げたオロルンが立っていた。
「よう、きょうだい!」
甲高い声がして、イファの背後からもふもふの羽を揺らしながら、カクークが顔を出す。
「おまえ……なんでここに?」
「流泉の衆の宿に頼まれて、野菜の配達をしてたんだ。君は?」
「海際のコホラ竜の調子が悪くて診てた。もう、だいぶ落ち着いたよ」
ふっとイファが笑むと、オロルンも自然と頬をほころばせる。
しぃー
DONEお題『ファストフード』お借りしました。しあわせ 診療所の一日は、思いのほか長い。
窓辺に夕暮れの赤が差し込む頃、イファはようやく器具を洗い終えて椅子にもたれた。カクークがカウンターの上でふよふよと羽を広げ、目を細める。
「おつかれさま、きょうだい!」
「カクークも疲れただろ」
イファは十字の形に焼いたクッキーをバスケットに移し、もう一度ショコアトゥル水の鍋をかき混ぜた。
濃く溶かしたショコアトゥルの香りが、部屋いっぱいに広がる。
「んー、いい匂い。ちょうど焼けたし、食べるか」
そのとき、羽音とともに窓辺に影が落ちた。長身の影が、風に乗ってふわりと着地する。すぐに木の扉が控えめに叩かれた。
「……オロルンか?」
問いかけるまでもなく、扉の隙間から漆黒の服が覗く。腕にはいくつもの紙包みが抱えられていた。
1274窓辺に夕暮れの赤が差し込む頃、イファはようやく器具を洗い終えて椅子にもたれた。カクークがカウンターの上でふよふよと羽を広げ、目を細める。
「おつかれさま、きょうだい!」
「カクークも疲れただろ」
イファは十字の形に焼いたクッキーをバスケットに移し、もう一度ショコアトゥル水の鍋をかき混ぜた。
濃く溶かしたショコアトゥルの香りが、部屋いっぱいに広がる。
「んー、いい匂い。ちょうど焼けたし、食べるか」
そのとき、羽音とともに窓辺に影が落ちた。長身の影が、風に乗ってふわりと着地する。すぐに木の扉が控えめに叩かれた。
「……オロルンか?」
問いかけるまでもなく、扉の隙間から漆黒の服が覗く。腕にはいくつもの紙包みが抱えられていた。