last_of_QED
BLANK七夕はいつも雨。ヴァルアルの小話。星の在処【星の在処】
「給料(イワシ)倍増」
「世界征服」
「立派なラスボスになりたいデス」
「父上のような魔界大統領になる」
「いい加減主人が血を飲みますように」
色とりどりの短冊がはためく今日。世に言う七夕であるが、魔界から星に祈ってはならぬという決まりはない。それどころか、一流の悪魔ともなれば星魔法を使いこなすのだから、むしろ星の廻りとこの地は縁深いと言えるかもしれない。
短冊の飾りとして指先で小さな星を作る傍ら、「一流の悪魔」へと話し掛ける。
「吸血鬼さんはどんなお願い事を?」
「大の悪魔(おとな)が今更願掛けするような夢など持ち合わせていると思うか」
お前を恐怖に陥れる……それは己の力で叶えれば良いだけの話だしな。なに、すぐに叶えてみせるさ。そう男が笑えば、こちらもつられてはにかんだ。
640「給料(イワシ)倍増」
「世界征服」
「立派なラスボスになりたいデス」
「父上のような魔界大統領になる」
「いい加減主人が血を飲みますように」
色とりどりの短冊がはためく今日。世に言う七夕であるが、魔界から星に祈ってはならぬという決まりはない。それどころか、一流の悪魔ともなれば星魔法を使いこなすのだから、むしろ星の廻りとこの地は縁深いと言えるかもしれない。
短冊の飾りとして指先で小さな星を作る傍ら、「一流の悪魔」へと話し掛ける。
「吸血鬼さんはどんなお願い事を?」
「大の悪魔(おとな)が今更願掛けするような夢など持ち合わせていると思うか」
お前を恐怖に陥れる……それは己の力で叶えれば良いだけの話だしな。なに、すぐに叶えてみせるさ。そう男が笑えば、こちらもつられてはにかんだ。
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DONE魔界の転生システムについて。執事閣下🐺🦇はじめまして、私の想い人。
はじめましてを何度でも【はじめましてを何度でも】
転生。悪魔がより強大な力を得ることを目的として、代々魔界に伝わる禁忌術。現代となってはそのシステムは仔細解明され、下級悪魔ですら当然のように享受し、利用することの出来る術式となっている。最早確立されたこの仕組みを疑う者は魔界広しといえど、いないだろう。
しかし、どんなシステムにも瑕疵(バグ)は付き物。転生して、本当にまた"自分として生まれ変われるか"……そんな不安が時折よぎると言ったら、貴方は笑うだろうか。
此処は魔界、暗黒議会前。間も無く議会は閉会となり、重々しい扉が開くその時を迎えようとしている。曲がりなりにも暗黒議会を通すのだ。友好的だった議員の裏切り等の一定の不確定要素はあれど、力で捻じ伏せることがない限り、議会による決定は絶対。再び同じ者として転生出来ることは頭では分かっている、分かっているのだが。
2432転生。悪魔がより強大な力を得ることを目的として、代々魔界に伝わる禁忌術。現代となってはそのシステムは仔細解明され、下級悪魔ですら当然のように享受し、利用することの出来る術式となっている。最早確立されたこの仕組みを疑う者は魔界広しといえど、いないだろう。
しかし、どんなシステムにも瑕疵(バグ)は付き物。転生して、本当にまた"自分として生まれ変われるか"……そんな不安が時折よぎると言ったら、貴方は笑うだろうか。
此処は魔界、暗黒議会前。間も無く議会は閉会となり、重々しい扉が開くその時を迎えようとしている。曲がりなりにも暗黒議会を通すのだ。友好的だった議員の裏切り等の一定の不確定要素はあれど、力で捻じ伏せることがない限り、議会による決定は絶対。再び同じ者として転生出来ることは頭では分かっている、分かっているのだが。
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CAN’T MAKE皿の上の鰯、それは愛する主人のために。執事閣下🐺🦇御馳走とはなにか。
御馳走の作り方【御馳走の作り方】
「また鰯かよ! ボクは魚は嫌いだって言ってるだろ!」
「お前らの分はついでだ。ヴァル様が『同じ釜の飯を食わせたい』と仰るから作ってやっているが……まさかそのご厚意を無下にする訳ではないだろうな?」
「いや美味しいのよ? 美味しいんだけどこう鰯続きで喜ぶのはアンタのご主人様ぐらい……って……うん?」
隣の席から此方を見やり、プリニー帽の少女は首を傾げた。此処は泣く子も黙る魔界のどん底、地獄。仲間たちとの賑やかな食卓に、にわかに静寂が訪れる。
「なんかヴァルっち……具合悪い?」
「……お口に合いませんでしたか?」
「なっ、なんのことだ。美味いぞイワシは。味付けも申し分ない」
そう言った割に、皿の上の鰯ソテーはほとんど減っていなかった。誤魔化すように一口、その身を口に運ぶ。バターの香ばしさは勿論のこと、香草が鼻を抜け、臭みは消えている。安価な魚は良い料理人により工夫され、風味豊かに調理されていた。
6212「また鰯かよ! ボクは魚は嫌いだって言ってるだろ!」
「お前らの分はついでだ。ヴァル様が『同じ釜の飯を食わせたい』と仰るから作ってやっているが……まさかそのご厚意を無下にする訳ではないだろうな?」
「いや美味しいのよ? 美味しいんだけどこう鰯続きで喜ぶのはアンタのご主人様ぐらい……って……うん?」
隣の席から此方を見やり、プリニー帽の少女は首を傾げた。此処は泣く子も黙る魔界のどん底、地獄。仲間たちとの賑やかな食卓に、にわかに静寂が訪れる。
「なんかヴァルっち……具合悪い?」
「……お口に合いませんでしたか?」
「なっ、なんのことだ。美味いぞイワシは。味付けも申し分ない」
そう言った割に、皿の上の鰯ソテーはほとんど減っていなかった。誤魔化すように一口、その身を口に運ぶ。バターの香ばしさは勿論のこと、香草が鼻を抜け、臭みは消えている。安価な魚は良い料理人により工夫され、風味豊かに調理されていた。
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BLANK【5/24 キスを超える日】ほんのり執事閣下【524】かつてキスをせがまれたことがあった。驚くべきことに、吸血対象の人間の女からだ。勿論、そんなものに応えてやる義理はなかったが、その時の俺は気まぐれに問うたのだ。悪魔にそれを求めるにあたり、対価にお前は何を差し出すのだと。
女は恍惚の表情で、「この身を」だの「あなたに快楽を」だのと宣った。この人間には畏れが足りぬと、胸元に下がる宝石の飾りで首を絞めたが尚も女は欲に滲んだ瞳で俺を見、苦しそうに笑っていた。女が気を失ったのを確認すると、今しがた吸った血を吐き出して、別の人間の血を求め街の闇夜に身を隠したのを良く覚えている。
気持ちが悪い。そう、思っていたのだが。
──今ならあの濡れた瞳の意味がほんの少しは分かるような気がする。
「閣下、私とのキスはそんなに退屈ですか」
「すまん、少しばかり昔のことを思い出していた」
「……そうですか」
それ以上は聞きたくないと言うようにフェンリッヒの手が俺の口を塞ぐ。存外にごつく、大きい手だと思う。その指で確かめるよう唇をなぞり、そして再び俺に口付けた。ただ触れるだけのキスは不思議と心地が良かった。体液を交わすような魔力供給をし 749
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DONE⚠︎注意⚠︎R18 閣下執事 バイブ あやしい触手 首絞め要素があります
【春、呪いが解けゆくような】
足で雄を扱かれる。痛みだけではない何かが奥から込み上げてきて、もっと、と強請るような視線を送ってしまう。自分のものであるはずの感情が自分でコントロール出来ない。
どうしてこんなことになったのだったか。それは改めて自問するまでもない、俺が問いの答えを誤魔化したせいだ。
「次は俺の何を褒めそやすつもりだ?」
主人の冷たい声でまた絶頂を迎える。ちかちかと視界が白み、何も考えられなくなっていく。幾度目かも分からぬ吐精と共に、耳を塞ぎたくなるような自身の喘ぎ声も、制御出来ず漏れ出ていった。
◆
「フェンリッヒ、お前は俺をどう思っている」
地獄と言えど季節感というものはある。例えば今、執務室でアイテム整理をしているのも季の変わり目の風物詩と言えるだろう。防具としての効果はともかく、この時期にガウンなど暑苦しくてとても着られたものではない。倉庫室の薄手の防具と移し替えて……という衣替えとも言える作業をこなしている時のことだった。
7545足で雄を扱かれる。痛みだけではない何かが奥から込み上げてきて、もっと、と強請るような視線を送ってしまう。自分のものであるはずの感情が自分でコントロール出来ない。
どうしてこんなことになったのだったか。それは改めて自問するまでもない、俺が問いの答えを誤魔化したせいだ。
「次は俺の何を褒めそやすつもりだ?」
主人の冷たい声でまた絶頂を迎える。ちかちかと視界が白み、何も考えられなくなっていく。幾度目かも分からぬ吐精と共に、耳を塞ぎたくなるような自身の喘ぎ声も、制御出来ず漏れ出ていった。
◆
「フェンリッヒ、お前は俺をどう思っている」
地獄と言えど季節感というものはある。例えば今、執務室でアイテム整理をしているのも季の変わり目の風物詩と言えるだろう。防具としての効果はともかく、この時期にガウンなど暑苦しくてとても着られたものではない。倉庫室の薄手の防具と移し替えて……という衣替えとも言える作業をこなしている時のことだった。
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DOODLE主人に危機感を持って貰うべく様々なお願いを仕掛けていくフェンリッヒ。けれど徐々にその「お願い」はエスカレートしていって……?!という誰もが妄想した執事閣下のアホエロギャグ話を書き散らしました。【信心、イワシの頭へ】「ヴァルバトーゼ閣下〜 魔界上層区で暴動ッス! 俺たちの力じゃ止められないッス!」
「そうか、俺が出よう」
「ヴァルっち! こないだの赤いプリニーの皮の件だけど……」
「フム、仕方あるまいな」
何でもない昼下がり、地獄の執務室には次々と使い魔たちが訪れては部屋の主へ相談をしていく。主人はそれに耳を傾け指示を出し、あるいは言い分を認め、帰らせていく。
地獄の教育係、ヴァルバトーゼ。自由気ままな悪魔たちを良く統率し、魔界最果ての秩序を保っている。それは一重に彼の人柄、彼の在り方あってのものだろう。通常悪魔には持ち得ない人徳のようなものがこの悪魔(ひと)にはあった。
これが人間界ならば立派なもので、一目置かれる対象となっただろう。しかし此処は魔界、主人は悪魔なのだ。少々横暴であるぐらいでも良いと言うのにこの人は逆を征っている。プリニーや地獄の物好きな住人たちからの信頼はすこぶる厚いが、閣下のことを深く知らない悪魔たちは奇異の目で見ているようだった。
そう、歯に衣着せぬ言い方をしてしまえば、我が主人ヴァルバトーゼ様は聞き分けが良過ぎた。あくまでも悪魔なので 7025