kfkf_aoko
DOODLE東セクターWebオンリー展示作品②ベスティ(notカプ)
これまでの軌跡を振り返って、また新たな日々を見据える二人の話。
悪友の隣で「ベスティ〜!」
やけに陽気な声が聞こえるたびに、俺はいつもうるさいのがきたって思うんだよね。勝手に俺のことベスティとか呼んでるし。でもお金とか利益があれば大抵の無理難題でも聞いてくれるし、必要以上に踏み込んでこない。それが心地よかった。
アニキと俺を比較して見下してくる人たちみたいに、他人と関わりを持ちたいって顔をして、自分が可愛いだけの人とは違う。そういうやつに俺は一緒にいる意味を感じないし。そういう意味ではビリーが近づいてきてよかったかも。俺にそこまで価値ってものがあるように思えないんだけど。女の子に情報を勝手に売ったりするの、ホントはやめてほしいんだけど、それで俺に利益が返ってくるなら、まあいいかなって思ってる。
2692やけに陽気な声が聞こえるたびに、俺はいつもうるさいのがきたって思うんだよね。勝手に俺のことベスティとか呼んでるし。でもお金とか利益があれば大抵の無理難題でも聞いてくれるし、必要以上に踏み込んでこない。それが心地よかった。
アニキと俺を比較して見下してくる人たちみたいに、他人と関わりを持ちたいって顔をして、自分が可愛いだけの人とは違う。そういうやつに俺は一緒にいる意味を感じないし。そういう意味ではビリーが近づいてきてよかったかも。俺にそこまで価値ってものがあるように思えないんだけど。女の子に情報を勝手に売ったりするの、ホントはやめてほしいんだけど、それで俺に利益が返ってくるなら、まあいいかなって思ってる。
NARUHA
MOURNINGいつものように朝帰りしたフェイスは、突然特別任務の招集を受ける。特別任務の詳細は、とある子どもの護衛をするというもので……。書きかけだったベスティメインの事件ものですが、展開や設定をハニーキャンディ・ペパーミント味の方で使うことにしたので、こちらは未完&ボツです。でも結構な熱量で書いていたのでこちらに上げときます。
海の瞳、記憶の水底忘れられない顔がある。
記憶の中に広がる景色がある。
ずっと残る傷痕みたいに、良いことも悪いことも深く脳髄に刻み込まれて蓄積していく。
頭の中を埋め尽くす膨大な記憶たちに埋もれていると、ある瞬間には途方もない虚しさの中に身体を放り出されたみたいな気がして、それはそれは寂しい心地がしたものだ。
教えられたことや見たものは全て全て覚えていた。
初めこそ、周りのみんなはそんな僕を神童だ、天才だと褒めそやした。
けれど時間が経つにつれ、どこか気味の悪い目で僕を見るようになった。
たぶん、本当は知られてはいけなかったんだろう。
なにも、口にしてはいけなかったのだろう。
――リセットしよう。プツンと繋がっていた糸を切るみたいにして、記憶の箱を海の底に沈めたのはいつだったか。なぜなの、だったか。
17951記憶の中に広がる景色がある。
ずっと残る傷痕みたいに、良いことも悪いことも深く脳髄に刻み込まれて蓄積していく。
頭の中を埋め尽くす膨大な記憶たちに埋もれていると、ある瞬間には途方もない虚しさの中に身体を放り出されたみたいな気がして、それはそれは寂しい心地がしたものだ。
教えられたことや見たものは全て全て覚えていた。
初めこそ、周りのみんなはそんな僕を神童だ、天才だと褒めそやした。
けれど時間が経つにつれ、どこか気味の悪い目で僕を見るようになった。
たぶん、本当は知られてはいけなかったんだろう。
なにも、口にしてはいけなかったのだろう。
――リセットしよう。プツンと繋がっていた糸を切るみたいにして、記憶の箱を海の底に沈めたのはいつだったか。なぜなの、だったか。
れんこん
DONE第16回ベスティ♡ワンドロ用お題「部屋」
グレイから見たベスティのお話
※ビリー出てきません ちいさく、キラキラ光るガラス瓶。
複雑な形にカットされたそれは、ハートの形状を形作っていて、その表面は光が反射しやすくなるようにさらに細工が入っている。
蓋は黒くシンプルで、根本には濃いピンク色のリボンが巻かれていた。
中に入っている液体は何色なんだろう。ガラス瓶の色なのか中身の色なのか、隣のスペースからは判別できない。
わりとナチュラルなテイストで纏められたビリーくんの部屋には少しだけ不釣り合いに思えるような……というか、まるで女の子の持ち物のようなそれが、つい目に入ってくる。
きっちりと本が並べられたデスクの上にちょん、と置いてあるそれの隣にはなにか小さな音楽プレーヤーみたいなもの。これも、濃いピンク色。ハッキリと存在を主張するそれになんだか動揺して、見なければいいのに目がチラチラとデスクの方に向く。……ううん、友達って……、難しい。
「ビリー、いる?」
「ヒィッ!?」
「……っ!?」
突然ぱしゅんと音がして部屋の扉が開いて、突然の訪問者にびくっと背中を震わせてしまった。
なんとなく気になって仕事で留守にしているビリーくんの部屋を勝手に覗いていたから、そのやまし 4368
れんこん
DONE第14回ベスティ♡ワンドロ用お題「契約」
フェイビリ風味ですこ難しく短い眉を寄せたり、緩く特徴的なカーブを描く唇に当てられた手袋越しの指がトントンとそこを叩いて、何かに悩むような考えてるような素振り。スマホを何度かスクロールして、なにかを見つけたのか、寄せられていた眉が緩んで、口角も緩んだ。
同じような光景は今まで視界の隅で何度も見てきたような気がするけれど、改めてその様子をまじまじと見つめると、なるほど、ゴーグルをして謎めいてわからない印象を抱いていたけれど、案外その表情も、醸し出す空気すら、わりと豊か。
「ふ〜……、って、なぁにDJ〜〜!?こないだからオイラの顔見過ぎじゃな〜い?……さては〜、今更俺っちに惚れちゃった!?」
「まさか。……アハ、もしそうだったらどうするの。」
「エ〜!?絶世のイケメンに言われちゃ考えちゃうナ〜♡」
「はいはいっと。せめてゴーグル外してから言ったら?」
「ンッフッフ、ゴーグルの下はベスティ♡にはトクベツ価格でご案内シマース♡」
「……アハ。」
ビリーは、変わった。
今見ていたのもただただ金を巻き上げるためだけの情報でなく、誰かを喜ばせる為の下調べ。おおよそ……、前話していたジェイの子供のことだろうか。謎の胡 3408
れんこん
DONE第13回ベスティワンドロ用お題「祈り」「未来」
未来捏造のベスティ(notカプ)のお話。 まるで絵の具をこぼしたみたいな真っ青に塗り込められた雲ひとつない空に、正反対のオレンジ色が映える。
そこそこ強い風にその髪の毛が煽られて、太陽の光を受けてきらりきらりと光った。
「……いいの?」
その相変わらず若干細っこい背中に声をかける。
すると、その肩が少しだけぴくりと動いて、でもこちらを振り返らずに、ただ青い空を見つめたままだった。
「いいの。」
ふ、と一息ついたかと思うと、ビリーの手からぽんぽんといつもみたいに花が溢れ出る。赤、青、黄、白、紫、橙……色とりどりの花には共通点もなんにもなくて、ただ持っていた全ての花をそのまますべて出したというのが正しいのかもしれない。
その花は強い風に吹かれて花弁になって散っていく。その様は、きれいで、そして寂しい。
彼と出会って何年経ったろう。
アカデミーの頃まで含めると、多分最早腐れ縁だねと言えてしまうくらいの年月。
それなのに噂だけでしか知らなかった彼の父親の葬儀に呼ばれたのは少し意外だった。
元々重病だったのに、余命宣告よりもずっとずっと長生きしてくれたんだヨ、とぽつりぽつりと聞いたことないトーンでビリーが喋 3822
れんこん
DONE第7回ベスティワンドロ用バレンタインイベ、カドスト等を踏まえたお話。
not カプハッピーバースデー&バレンタイン
ここ数日で山のように贈られたその言葉と気持ちに、珍しくちょっと流されてうわついて。
「……。」
なんとなく目が覚めてふわふわと浮くような腹のあたりを触る。
むず痒いような、でも嫌じゃない感覚に、なんとなく高揚させられているのも混じっている。
……いろんなことがあったから、かな。
まだ、日付の変わる手前の時間。
LOMからの外出続き、祝われ倒しのパーティ続きでさすがに疲れ果てて、帰り着いた途端眠っていたらしい。同室のおチビちゃんはもうおねむの時間だから、隣からすやすやと気持ちよさそうな寝息が聞こえてくる。
……いつもガミガミと口うるさいのは変わらないのに、なんだかんだパーティでは生演奏を披露してくれた。パーティのための準備もみんなで考え尽くしたらしい。その時のことを思い出すとまた胃のあたりがふわりとして、ふふ、と口元につい笑みが浮かぶ。……こんな感覚は初めてかも。らしくないけど、たまにはいいよね。
自分が上機嫌なのを客観的に感じて面白くなっていく。
……でも、なんとなく何か変な感じがする。
ふわふわの中にお腹が空いたような変な感 5277
れんこん
DONEビリーが居なくなってしまった話。未来ごりごり捏造しています。すっかり慣れ親しんでしまったタワー。
最早実家よりも馴染んでしまうくらいになったそこでの生活。
パトロールが終わって、後は眠るだけの時間。
……今日は夜から出掛けるのはやめよう。
昔程は毎日のように夜遊びという無茶はしない。
まぁ頻度がほんの少し減っただけ。特に大きくも変わらない。相変わらず女の子からの連絡は沢山くるしね、むしろ昔よりさらに増えたくらい。
理由と言えば、少しだけ明日のヒーロー活動のために睡眠を取らなきゃいけないかな、なんて思った時だけ眠るようにしている。
今日の理由はほんのちょっと、違うけれど。
最早見慣れてしまった街でパトロールをしていた。
ただいつもと変わらないその日常で、今日は背景のひとつだったキャンディショップが目に入った。綺麗にまるで花束みたいにラッピングされたロリポップが明るいオレンジ色のリボンで纏められて。恐らく誰かへのプレゼント用か、ただのディスプレイなのか。わからないけど。
あの時渡したそれにすごく似ていたな、なんて思ったらぽっかり空いていた穴みたいなものに久しぶりに引き摺り込まれてしまったような感覚に陥った。ずっと、その気持ちにわざと知らぬフリ 4821
春柊
DONE第五回 俺たちベスティ♡ワンライ参加作品お題「隣」
いつもより少しだけ穏やかな時間を過ごすベスティの話
『Love your neighbor, yet pull not down your fence.』 4
れんこん
DONEアカデミー時代ベスティ出会い捏造のお話です。『こんなことも出来ないのか?お兄さんのブラッドはー…』
『フェイスくん、カッコいい、全部好き!』
『…ー兄弟なら、お前も優秀なはずじゃねーの?』
『ねぇ、私と付き合ってよ、』
頭の中に交互に響くのは自分への否定と肯定の言葉。いろんなものがごちゃ混ぜになった地面のない世界のど真ん中に放り出されたみたいな心地がして、びくりと体を震わせて目が覚める。
……うたた寝ってろくな夢を見ない。
なんとなく蒸し暑くなってきたから、校舎の隅の木陰で横になっていたけれど、失敗した。
陰で水分を含んだ芝が制服を湿っぽくして、まるで今の俺の状態を仲間と認めて誘ってくるような。……やだな。
でもそれでもサボっていた授業に戻ろうなんて気も起きなくて。かといって自分と違ってやる気のあるヒーロー志望の子と同室の寮に戻る気だって起きない。
好きと嫌いの感情のマーブルチョコは今は受け付けられなくて、女の子に会って気晴らしをしようという気にもならない。
この無駄にただイライラと……いや、しゅんと落ち込んでいくような気持ちを抱いている時間が無駄だというのはわかっている。
……こういう時には音楽を聴くのが良い。
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れんこん
DONE第二回ベスティ♡ワンライカプ無しベスティ小話
お題「同級生」「はぁ……。」
「んんん? DJどうしたの?なんだかお疲れじゃない?」
いつもの談話室でいつも以上に気怠そうにしている色男と出会う。その装いは私服で、この深夜帯……多分つい先ほどまで遊び歩いていたんだろう。その点を揶揄うように指摘すると、自分も同じようなもんでしょ、とため息をつかれて、さすがベスティ!とお決まりのような合言葉を返す。
今日は情報収集は少し早めに切り上げて帰ってきたつもりが、日付の変わる頃になってしまった。
別に目の前のベスティと同じ時間帯に鉢合わせるように狙ったつもりは特に無かったけれど、こういう風にタイミングがかち合うのは実は結構昔からのこと。
「うわ、なんだかお酒くさい?」
「……やっぱり解る?目の前で女の子達が喧嘩しちゃって……。」
「それでお酒ひっかけられちゃったの?災難だったネ〜。」
本当に。迷惑だよね、なんて心底面倒そうに言う男は、実は自分がそのもっともな元凶になる行動や発言をしてしまっているというのに気づいてるのかいないのか。気怠げな風でいて、いつ見ても端正なその容姿と思わせぶりな態度はいつだって人を惹きつけてしまう。
どうも、愚痴のようにこぼされる 2767