しいげ
MOURNINGHADESタナザグ。ザグが〇〇になる全部捏造設定の話です。幽明境を”同じく”す冥界に日の光は差さない。こと最奥部である冥王の館など、篝火から離れればいつでも薄暗く、地上からは陰鬱だと敬遠されている。
だがそこで生じた者には──死の神タナトスにとっては、逆に地上の光の方が眩しくて煩わしい。生き物とは喧しく、死者や霊魂の静けさがいかにも好ましかった。
例え亡者が牙を剥こうが、鎌の一振りでいくらでも沈黙させられることも含めて。
そしてこの度も己の務めの間を縫い、地上を目指す王子に襲い掛かる死者たちを沈黙させ、タナトスは館に戻っていた。
ケルベロスやザグレウスが暴れさえしなければこの館は落ち着いたものだ。
以前はそれでよいと思っていたが、新たに加わった騒々しさも華々しさも、今は悪いものとは思わなかった。メガイラも冥王の手前口には出さないが煌びやかになった酒場に賞賛を送り、西館の入口を守る亡霊もザグレウスが設置した調度品に心を慰められている。
6888だがそこで生じた者には──死の神タナトスにとっては、逆に地上の光の方が眩しくて煩わしい。生き物とは喧しく、死者や霊魂の静けさがいかにも好ましかった。
例え亡者が牙を剥こうが、鎌の一振りでいくらでも沈黙させられることも含めて。
そしてこの度も己の務めの間を縫い、地上を目指す王子に襲い掛かる死者たちを沈黙させ、タナトスは館に戻っていた。
ケルベロスやザグレウスが暴れさえしなければこの館は落ち着いたものだ。
以前はそれでよいと思っていたが、新たに加わった騒々しさも華々しさも、今は悪いものとは思わなかった。メガイラも冥王の手前口には出さないが煌びやかになった酒場に賞賛を送り、西館の入口を守る亡霊もザグレウスが設置した調度品に心を慰められている。
triste_273
TRAINING先日「Thanzagお風呂でイチャついてくれ…」願望からの古代ギリシャ式(ヒップバス)にするか、時代考証関係無く現代式の浴室にするかの話をさせて頂きまして、取り敢えず導入だけ思い浮かんだので書きました。 死は寒さと共に来る。
それは何よりも数多の肉体より魂を導いてきたタナトスが一番よく知っている事だ。死した身体は熱を失う。それは半神半人たる冥府の王子、血の神であるザグレウスとて例外では無い。故にステュクスの泉から這い出てきた蘇りたての身体は、まだ血が巡りきっていないのか死神たる己の肌と同じ様に冷たい。それは前々から分かりきっていたものであった。
だけれども、その日はとりわけ彼の体温を遠くに感じた。冥府への帰還と再会を歓び抱擁した身は生きているのにまるで死人の様に凍えている。燃える月桂冠も両足も輝きに翳りは無いというのに、文字通りただの「飾り」に成り下がっている。愛しき小さな炎は確かに目の前にいるというのに……コキュートスにでも落ちた弾みに、その熱も落としてきてしまったのだろうか?
1544それは何よりも数多の肉体より魂を導いてきたタナトスが一番よく知っている事だ。死した身体は熱を失う。それは半神半人たる冥府の王子、血の神であるザグレウスとて例外では無い。故にステュクスの泉から這い出てきた蘇りたての身体は、まだ血が巡りきっていないのか死神たる己の肌と同じ様に冷たい。それは前々から分かりきっていたものであった。
だけれども、その日はとりわけ彼の体温を遠くに感じた。冥府への帰還と再会を歓び抱擁した身は生きているのにまるで死人の様に凍えている。燃える月桂冠も両足も輝きに翳りは無いというのに、文字通りただの「飾り」に成り下がっている。愛しき小さな炎は確かに目の前にいるというのに……コキュートスにでも落ちた弾みに、その熱も落としてきてしまったのだろうか?
しいげ
DONE【キヅキ】こちら(ザグ側)のif告白漫画のタナトス側みたいな。
https://poipiku.com/237679/6912888.html
タナトスの「感情」の動きを描いてみたかった。
(おまけ)2023.2.12HADESオンリーイベントで頒布したまとめデータの表紙絵 10
しいげ
REHABILIザグレウスが生きて引き返せば功徳が洗い流されないと仮定したタナザグ。少しだけえっちな雰囲気あり?ザグレウスは自室のベッドで目が覚めた。
珍しく深い眠りに身を委ね、十分な時間を経ての自然覚醒。気持ちの良い目覚めだ。
大きく伸びをしながら身を起こす。
しかし、頭はすっきりしたものの体は決して同様ではなかった。
放置した汗がべたべたとまとわりつく。埃、血などの汚れもあるかも知れない。地上から戻り、疲労感からそのままベッドに横になってしまったから。
忘れかけていた感覚だ。
通常、地上から帰還の際に王子はステュクス川でその身を洗われる。また、死を経て再生した体に疲労感は残らない。
今回それらが異なっているのは、地上から「死なずに」戻ってきたからだ。
この試みは王子自身の好奇心による。
地上に出れば何らかの不運または生命力の喪失により死を迎える定め。ならば、その前に引き返したら?カロンの舟に頼らずに自力で。
4323珍しく深い眠りに身を委ね、十分な時間を経ての自然覚醒。気持ちの良い目覚めだ。
大きく伸びをしながら身を起こす。
しかし、頭はすっきりしたものの体は決して同様ではなかった。
放置した汗がべたべたとまとわりつく。埃、血などの汚れもあるかも知れない。地上から戻り、疲労感からそのままベッドに横になってしまったから。
忘れかけていた感覚だ。
通常、地上から帰還の際に王子はステュクス川でその身を洗われる。また、死を経て再生した体に疲労感は残らない。
今回それらが異なっているのは、地上から「死なずに」戻ってきたからだ。
この試みは王子自身の好奇心による。
地上に出れば何らかの不運または生命力の喪失により死を迎える定め。ならば、その前に引き返したら?カロンの舟に頼らずに自力で。
triste_273
MOURNING自己肯定感の低い頃のザグとのタナザグ話を考えてたのですが、描写部分書き出す気力が湧いてこず、とりあえず台詞部分だけ先に投稿供養します。Gift「贈り物を受け取ってくれないか。」
「構わないが」と短く返事をすると、目の前で不安気だった顔がぱぁっと明るく、花開く様に輝き、月桂冠はまるで花冠の様に眩しく、火の粉が花弁の様に空気中にふんわり舞い散った。
「これは……血珠か?」
「ああ……あ、これはまた血に戻ったり、俺に吸収されたりしないから安心してくれ。ちゃんと切り離した。」
「……。」
手渡された深緋色に輝石をじっと見つめ思案を巡らせていると、その沈黙に不安がまた戻ってきた様で、ザグレウスは呟く様に声を上げた。
「……や、やっぱり嫌か?」
「……否、そうではない。……すまない、少しばかり、意表を突かれただけだ。嬉しく思う。」
「そうか、良かった!」
「……だが急にまたどうした? お前からはネクタルにアンブロシア、返しきれない程に品を贈られてきたが……。」
1345「構わないが」と短く返事をすると、目の前で不安気だった顔がぱぁっと明るく、花開く様に輝き、月桂冠はまるで花冠の様に眩しく、火の粉が花弁の様に空気中にふんわり舞い散った。
「これは……血珠か?」
「ああ……あ、これはまた血に戻ったり、俺に吸収されたりしないから安心してくれ。ちゃんと切り離した。」
「……。」
手渡された深緋色に輝石をじっと見つめ思案を巡らせていると、その沈黙に不安がまた戻ってきた様で、ザグレウスは呟く様に声を上げた。
「……や、やっぱり嫌か?」
「……否、そうではない。……すまない、少しばかり、意表を突かれただけだ。嬉しく思う。」
「そうか、良かった!」
「……だが急にまたどうした? お前からはネクタルにアンブロシア、返しきれない程に品を贈られてきたが……。」
しいげ
DONEHadesGame週間お題(@hadesweekly)様より。・「手入れ」その2
タナザグです。
冥王の館。大広間に、獣のグルグルとした唸り声が断続的に響く。
鮮やかな赤毛をした三つ首の犬は、その巨体よりはるかに小さい王子の手に顎を擦りつけ、満足そうに首と声を震わせた。
向かって右の首は撫でられるのが好きだ、とは王子の談。
だが今日は、暇に空かせた王子により、三つ首と体と尻尾の先までも綺麗に毛づくろいがされていた。
ケルベロスもザグレウスも満足そうにしているが、定位置の周り─つまり冥王の玉座の真横─は獣の抜け毛が散乱しており、不在の冥王が帰り次第大目玉を食らうことは間違いがなかった。なお、片付けが王子の不得手の一つであることは周知の事実だ。
そのため、雑用頭のデューサにその辺の亡霊まで加わり、急いで後片付けが始まろうとしている所だった。
2013鮮やかな赤毛をした三つ首の犬は、その巨体よりはるかに小さい王子の手に顎を擦りつけ、満足そうに首と声を震わせた。
向かって右の首は撫でられるのが好きだ、とは王子の談。
だが今日は、暇に空かせた王子により、三つ首と体と尻尾の先までも綺麗に毛づくろいがされていた。
ケルベロスもザグレウスも満足そうにしているが、定位置の周り─つまり冥王の玉座の真横─は獣の抜け毛が散乱しており、不在の冥王が帰り次第大目玉を食らうことは間違いがなかった。なお、片付けが王子の不得手の一つであることは周知の事実だ。
そのため、雑用頭のデューサにその辺の亡霊まで加わり、急いで後片付けが始まろうとしている所だった。
しいげ
REHABILI色事初心者から対ザグ限定熟練者になったタナトスが、ザグにえっちくお仕置きする話。パス制です→18歳以上ですか?(yes/no)
読まなくても支障ありませんが、微妙にこちらの続きになっております。https://poipiku.com/237679/7102928.html 8455
triste_273
MOURNINGhds現代AU(物騒)な小話。ペルザグ親子を守る為に仕事してるタナトス…と、友情出演のカロン。※色々許せる人向け。
※現代マフィアAUなので色々捏造してます(特にカロンの外見)
※ハデスパパはマフィア元締め、ペルママは安全の為田舎に逃した正妻、何も知らないでママと育った花屋のザグ、護衛で派遣されたタナトス、なアース。
※饅頭の中でのバイオレンスのモデルであるウォッチドッグスに大分影響されてます 5829
しいげ
REHABILIザグの「死神騙し」が「ザグの血(生命力)で赤い蝶(魂の代わり)を造る」という能力だったら。と、タナトスの仕事詳細を捏造。魂(蝶)を回収して冥界に導くみたいなイメージです。
きっと疲れているちょい病みタナトス。
死神騙しは繰り返す神は人に神託を与えるほか、地上に顕現することもしばしばある。
信仰を持たない神ならなおさら力を及ぼすために姿を表す。良かれ悪しかれ、望むと望まざるとに関わらずだ。
それがやるべきことである限り時間と同じでいかなる存在にも止めることはできない。
時間は深更を過ぎていた。
地上で己の仕事を果たし、朝を待たずに冥界へ飛び立とうとしていた黒い死神は、何かに気付き動きを止めた。
彼にしか分からない気配があるのかただの勘か偶然か、いずれにせよ運命はそれを彼のもとにのみ導く。
夜の闇と星明りに紛れるように現れた一匹の蝶。
ひらひらと揺れながら、それは意思を持つかのように死神のもとに飛んできた。
「…ザグ、また……」
目深のフードの内側から、思わず、といった調子でタナトスは呟く。
1726信仰を持たない神ならなおさら力を及ぼすために姿を表す。良かれ悪しかれ、望むと望まざるとに関わらずだ。
それがやるべきことである限り時間と同じでいかなる存在にも止めることはできない。
時間は深更を過ぎていた。
地上で己の仕事を果たし、朝を待たずに冥界へ飛び立とうとしていた黒い死神は、何かに気付き動きを止めた。
彼にしか分からない気配があるのかただの勘か偶然か、いずれにせよ運命はそれを彼のもとにのみ導く。
夜の闇と星明りに紛れるように現れた一匹の蝶。
ひらひらと揺れながら、それは意思を持つかのように死神のもとに飛んできた。
「…ザグ、また……」
目深のフードの内側から、思わず、といった調子でタナトスは呟く。
triste_273
REHABILIお題「タナトスとザグが現代の夜の図書館にやってくる話」で書かせて頂きました。お題ありがとう御座いました。読書の前に 人間が現世で過す時間は短い。だが限りある生だからこそ、人はその一生を精一杯に生き、より良い暮らしを目指すべく学習してゆく。観察し研究し、試作と実験を重ね、新たな技術を開発し文明を発展させる。その速度は幾千、幾万もの長い月日存在してきた神々からすれば瞬きの間であった。
そう、「たかが二千年」で世界は大きく変わった。人間同士の争いでオリュンポスの神々は一度衰退しかけた事もあった。だが冥府の本質は変わらない、呼び名や人間の崇拝対象が変わろうと平等に死者を受け入れる。だが全く変化が無かった訳ではない、一番大きかった事はこの「星」に地域別で存在する「あの世」同士での「事業提携」を組んだ事だろう。担当区分の細分化は勿論だが、人間があまりに地上のあらゆる地域を行き来する様になった故に、管轄外の死者に関する取り決めについての会合がまとまったのも、つい最近の事の様に感じる。
2184そう、「たかが二千年」で世界は大きく変わった。人間同士の争いでオリュンポスの神々は一度衰退しかけた事もあった。だが冥府の本質は変わらない、呼び名や人間の崇拝対象が変わろうと平等に死者を受け入れる。だが全く変化が無かった訳ではない、一番大きかった事はこの「星」に地域別で存在する「あの世」同士での「事業提携」を組んだ事だろう。担当区分の細分化は勿論だが、人間があまりに地上のあらゆる地域を行き来する様になった故に、管轄外の死者に関する取り決めについての会合がまとまったのも、つい最近の事の様に感じる。
triste_273
REHABILIお題「タナザグ前提で、ザグへの惚気にしか聞こえない独り言を誰かに聞かれてしまうタナトス」表情や言葉ではあまり変化はないけれど、内側ではめちゃくちゃ影響受けていて思わず言葉で出てしまったタナトス…という像で書かせて頂きました。ありがとう御座いました!
肖像画は笑わずとも かつて、死の神にとって休息とは無縁の物であった。
世界が世界である限り時間は止まらない。常にどこかで新たな命が花開く様に、常にどこかで命の灯火が消え死者が案内を待っている。そう、死の神は常に多忙なのだ。己の疲弊を顧みず職務に没頭しなければならぬ程に。だが神であれ肉体を伴う以上「限界」は存在する。タナトス自身はその疲労を顔色に出す事はほぼ無いものの、母たる夜母神にその事を指摘されて以来、意図的に「休憩」を挟むようになった。地上の喧騒、死者たちの呪詛、そんな雑音と言葉の洪水の中に身を置く反動だろう……休息で必然的に静寂を求めるようになったのは。ハデスの館も従者や裁定待ちの死者がいる以上完全な静寂が漂っているわけではないが、地上のそれに比べれば大分マシだ。厳かな館の片隅で、ステュクスの川面に視線を落とし、そのせせらぎに耳を傾ける。かの神にとって、それだけでも十分に心休まる平穏な時であった。
2795世界が世界である限り時間は止まらない。常にどこかで新たな命が花開く様に、常にどこかで命の灯火が消え死者が案内を待っている。そう、死の神は常に多忙なのだ。己の疲弊を顧みず職務に没頭しなければならぬ程に。だが神であれ肉体を伴う以上「限界」は存在する。タナトス自身はその疲労を顔色に出す事はほぼ無いものの、母たる夜母神にその事を指摘されて以来、意図的に「休憩」を挟むようになった。地上の喧騒、死者たちの呪詛、そんな雑音と言葉の洪水の中に身を置く反動だろう……休息で必然的に静寂を求めるようになったのは。ハデスの館も従者や裁定待ちの死者がいる以上完全な静寂が漂っているわけではないが、地上のそれに比べれば大分マシだ。厳かな館の片隅で、ステュクスの川面に視線を落とし、そのせせらぎに耳を傾ける。かの神にとって、それだけでも十分に心休まる平穏な時であった。
しいげ
REHABILI恋愛初心者タナトスってこうかな?のタナザグです。かっこよくはないです。本番の話題を出しつつのシモの話ばかりでムード皆無になりました。(追記)↓繋げてみた。タナザグ
https://poipiku.com/237679/7196645.html
「なあ…、タンはその、自分で弄ったり、しないのか?」
反射で口に含んだものを吹き出しそうになる、という経験をタナトスは初めてした。
いま飲んでいるのは果実の香りがするだけの水だから決して酔っているはずがない。そう思っても、目の前のザグレウスの発言は素面かどうか疑いたくなるに十分だった。
有り体に言うと、下半身事情の話だ。
地上の人間と同じように体を重ねることで絆を確かめる文化は冥界にもある。
そして、ザグレウスとタナトスはその関係を結んだ間柄だ。結んだばかり、とも言う。
ともあれ、そういった伴侶としての話なのか、単に男性としての習慣の話なのか。
突然に思われる発言もザグレウスの中では一貫しているらしく、意図を図りかねるタナトスを待たず言葉を続ける。
2989反射で口に含んだものを吹き出しそうになる、という経験をタナトスは初めてした。
いま飲んでいるのは果実の香りがするだけの水だから決して酔っているはずがない。そう思っても、目の前のザグレウスの発言は素面かどうか疑いたくなるに十分だった。
有り体に言うと、下半身事情の話だ。
地上の人間と同じように体を重ねることで絆を確かめる文化は冥界にもある。
そして、ザグレウスとタナトスはその関係を結んだ間柄だ。結んだばかり、とも言う。
ともあれ、そういった伴侶としての話なのか、単に男性としての習慣の話なのか。
突然に思われる発言もザグレウスの中では一貫しているらしく、意図を図りかねるタナトスを待たず言葉を続ける。
しいげ
DONE再び女体化ザグレウスネタですご注意ください!女体化だけどかわいらしさはなしです!
「冗談でタナトスにぱふぱふしてシシュポス以来の黒歴史作るタナザグ♀」と言ったら描いていいよと言ってもらったので!(パスハリさんありがとうございます❤❤)
何気に泉から上がってくるタナトス初めて描けたの嬉しかったです。…冗談なので悪しからず… 4
しいげ
MOURNING少なくともペルセポネが戻ってきたあとの冥界で「仕事」に勤しむザグレウスの、冥界のみんなに愛されて救われてほしい話。薄いですがタナザグです。死を厭わず 死を願わず常に闇に沈む地底の奥底に、永遠に眠らない世界がある。
冥界の王子は、彼の居室で彼の伴侶と酒を酌み交わしながら、昼夜の別ない時間を過ごしていた。
眠らないといっても睡眠は存在する。ただし、存在の終わりを意味する永遠の眠りは訪れないのが、人間と神々との唯一の違いだ。
冥界を冥界たらしめる死というものが人格をもった存在──そんな表現をされることもあるそれが、ザグレウスの目の前にいるタナトスだった。
「さて…」
うーん、とまるで眠たいかのような伸びをして、ザグレウスは席を立つ。
「そろそろ仕事に行くとするかな」
人間が存在する限り終わらない仕事を抱えるタナトスを差し置いてザグレウスがそれを言うのは、どちらかといえば珍しい光景だった。
3393冥界の王子は、彼の居室で彼の伴侶と酒を酌み交わしながら、昼夜の別ない時間を過ごしていた。
眠らないといっても睡眠は存在する。ただし、存在の終わりを意味する永遠の眠りは訪れないのが、人間と神々との唯一の違いだ。
冥界を冥界たらしめる死というものが人格をもった存在──そんな表現をされることもあるそれが、ザグレウスの目の前にいるタナトスだった。
「さて…」
うーん、とまるで眠たいかのような伸びをして、ザグレウスは席を立つ。
「そろそろ仕事に行くとするかな」
人間が存在する限り終わらない仕事を抱えるタナトスを差し置いてザグレウスがそれを言うのは、どちらかといえば珍しい光景だった。
triste_273
DONEハデスwebオンリー エアSS。タナトス×ザグレウスで、「独占欲(嫉妬)に駆られるタナトス(もしくはザグレウス)」
リクエストありがとう御座いました!
小さな燻り 冥府の王子、と聞くと多くの者は最初は恐れる事だろう。冥界の支配者、冥王ハデスの息子……父王同様に冷酷で容赦なく、無慈悲な神であろうと。
所が、実際に王子と対面すると多くの亡者は唖然とする。王子は冥王とあまりに違うからだ。確かに王子は「神の子」というのもあり、その片目は冥王と同じ漆黒の中に浮かぶ炎を宿し、両脚は常に赤々と燃え上がり、タルタロスの亡者たちは「見えざる恐怖」と呼ぶほどに武勲に長けている。
だが、人間と同じくらいの背格好、健康的な血の気を帯びた肌、艶々とした濡れ羽色の髪、朗らかで人懐っこい笑顔。何より……王子は会話を好む、それは自身と同じ冥神達だけに限らず、使用人や館を歩く「ただの亡者」とさえも、気さくに会話を試みる。その有様を「神らしくない」と父王や他の神に咎められている場面も多数目撃されているが……王子は気に留める様子はなかった。
2388所が、実際に王子と対面すると多くの亡者は唖然とする。王子は冥王とあまりに違うからだ。確かに王子は「神の子」というのもあり、その片目は冥王と同じ漆黒の中に浮かぶ炎を宿し、両脚は常に赤々と燃え上がり、タルタロスの亡者たちは「見えざる恐怖」と呼ぶほどに武勲に長けている。
だが、人間と同じくらいの背格好、健康的な血の気を帯びた肌、艶々とした濡れ羽色の髪、朗らかで人懐っこい笑顔。何より……王子は会話を好む、それは自身と同じ冥神達だけに限らず、使用人や館を歩く「ただの亡者」とさえも、気さくに会話を試みる。その有様を「神らしくない」と父王や他の神に咎められている場面も多数目撃されているが……王子は気に留める様子はなかった。
しいげ
REHABILI【キヅキ】ゲーム本筋を意識してみたタナザグif告白話。
当初は「タナトスがザグを口説く」話にしたかったのが初恋自覚前の死神が全く口説こうとしてくれないので結局ザグが口説きました!!(ワンブレス)
これのタナトス側漫画→https://poipiku.com/237679/8310651.html 10
しいげ
REHABILIタナトスが気の毒なことになる両思いタナザグです。死亡描写があります。タイトルと本文の花については、架空のものとしてご覧ください。アスフォデルスの花がきれいだと聞いたから❀ ❀ ❀
「──ッッしゃ!!」
公式任務の一環となって久しいザグレウスとの勝負。その結果、勝利者が珍しく拳を引き絞り声をあげた。
なぜそんなに自分に勝ったことが嬉しいのかと首を傾げる間に、興奮冷めやらぬ様子でザグレウスはタナトスのもとに駆け寄ってきた。
何にせよ自分のやることは変わらない。
愛しき伴侶の、この先の道行きに生存の可能性を少しでももたらせるようせめてもの贈り物を。
死の化身として矛盾していると言われればそのとおりだが、ザグレウスの無事を祈ることのほうがタナトスにははるかに重要だ。
「見事だ、ザグ」
「嬉しいが、今日はいいんだ。タナトス」
だが、当人から辞退の申し出をされタナトスは再度首を傾げることになる。
4974「──ッッしゃ!!」
公式任務の一環となって久しいザグレウスとの勝負。その結果、勝利者が珍しく拳を引き絞り声をあげた。
なぜそんなに自分に勝ったことが嬉しいのかと首を傾げる間に、興奮冷めやらぬ様子でザグレウスはタナトスのもとに駆け寄ってきた。
何にせよ自分のやることは変わらない。
愛しき伴侶の、この先の道行きに生存の可能性を少しでももたらせるようせめてもの贈り物を。
死の化身として矛盾していると言われればそのとおりだが、ザグレウスの無事を祈ることのほうがタナトスにははるかに重要だ。
「見事だ、ザグ」
「嬉しいが、今日はいいんだ。タナトス」
だが、当人から辞退の申し出をされタナトスは再度首を傾げることになる。
しいげ
REHABILIタナザグ前提でタナトスとヘルメスの会話妄想。お互いズバズバ言いそうだなと思って。(ザグレウス出てきません)「あ!ねえねえ!聞いたよおめでとう!」
ヘルメス神に出会ったのは、そろそろ中天に届く太陽から逃れようとしていた時だ。
身に纏う羽根がきらりと輝く様すらタナトスの目には煩わしいが、だからといって邪険にするほどでもない。
ヘルメスに対するタナトスの印象は、忙しない、悪意はない、カロンとは親しい、通りすがりに会っては一方的に話し掛けてくる、そんなところだ。
だが今日は明らかに呼び止められてしまい、タナトスは音もなく足を止める。
「何の話だ」
「ボスの、ザグくんとのこと。両想いになったんでしょ?良かった良かった!」
早口ながら聞き取りやすく、声量もやたらに周囲に響かないよう加減している。騒がしいが気は利く神だ。
だが無遠慮なのは地上の神共通なのかこいつの性格なのか。
1074ヘルメス神に出会ったのは、そろそろ中天に届く太陽から逃れようとしていた時だ。
身に纏う羽根がきらりと輝く様すらタナトスの目には煩わしいが、だからといって邪険にするほどでもない。
ヘルメスに対するタナトスの印象は、忙しない、悪意はない、カロンとは親しい、通りすがりに会っては一方的に話し掛けてくる、そんなところだ。
だが今日は明らかに呼び止められてしまい、タナトスは音もなく足を止める。
「何の話だ」
「ボスの、ザグくんとのこと。両想いになったんでしょ?良かった良かった!」
早口ながら聞き取りやすく、声量もやたらに周囲に響かないよう加減している。騒がしいが気は利く神だ。
だが無遠慮なのは地上の神共通なのかこいつの性格なのか。