Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    su2vu

    MOURNING⚠️超絶捏造
    原稿の息抜きに
    本体Hiが巽の実家の教会に併設された孤児院で過ごす話 巽ひめ バスタブに張られた水からはいつも独特の匂いがする。よく見ると白い沈殿物が浮いてきたり、水中を漂う髪の毛に羽虫が絡まっていたりするので、俺はいつもそれを摘んで、それから洗い場の排水口へ放り投げることにしていた。だってそうしないと、間違って俺の口にでも入ってしまったら、喉の奥に引っ掛かる長い髪の毛の感覚と、夜通し戦い続けなければならないからだ。
     俺が「ボウトクテキ」なことを言ったとかで、大人が俺の言葉に悲鳴をあげた。耳の奥がじんじんするくらい甲高い声で、すぐに何人かの大人が集まってきた。本当にそんなことを言ったのか、と訊かれたので、俺は正直にええ、と言って頷いた。俺はそのとき、「はい」と返事をするよりも「ええ」と頷いた方が賢そうに見えるだろうと思って、そう言った。だけどそんなことは些事だった。俺は大人の考えていることが全然わからない子供だった。きっとすぐに「なんだ。そんなことか。そんなことで驚くんじゃない」と、騒いだ大人の方が怒られるに決まってる、そう思った。でもそうはならなかった。俺の肯定は、その場に集まった数人の大人の顔色を瞬時に青く変えてしまった。
    1767