dhastarflower
DONE巌ふち出会いからの、ふたりのはなし。
※96話ネタバレあります。
今日5/4のこの日、彼の決断は確かなものであったと願って。
心の臓のすぐそばに─…そこにはもう、 おまえがいた。
最初に会った時は牢の中。
査定だかなんだかわかんねぇけど、とにかく俺の話を聞きに来たと堅苦しい難しい言葉べらべら並べて処刑執行人のナントカエモンと名乗る声になんだよ面倒くせぇなと欠伸しつつ寝っ転がったまま首だけ振り向けばそこにいたのは俺の腰くれぇしかねぇ童だった。
これまたちいせぇ手に持っていた提灯の薄明かりで見えたのは吸い込まれそうな真っ黒なデケェ瞳。目の下にある深くついている隈は子供のくせに何故こさえてなんだろうなとか蒲公英色のまんまる頭にひょこっとでてるアホ毛みてぇなのが動く度に一緒に揺れるのでなんかめんこいなとつい思うが、いやいやなんでこんな極悪人がいる牢屋に子供がいんだよと首傾げれば、お構いなしにその場にちょこんと座って調書の準備をし始めたのでおいおいと焦る。
3668最初に会った時は牢の中。
査定だかなんだかわかんねぇけど、とにかく俺の話を聞きに来たと堅苦しい難しい言葉べらべら並べて処刑執行人のナントカエモンと名乗る声になんだよ面倒くせぇなと欠伸しつつ寝っ転がったまま首だけ振り向けばそこにいたのは俺の腰くれぇしかねぇ童だった。
これまたちいせぇ手に持っていた提灯の薄明かりで見えたのは吸い込まれそうな真っ黒なデケェ瞳。目の下にある深くついている隈は子供のくせに何故こさえてなんだろうなとか蒲公英色のまんまる頭にひょこっとでてるアホ毛みてぇなのが動く度に一緒に揺れるのでなんかめんこいなとつい思うが、いやいやなんでこんな極悪人がいる牢屋に子供がいんだよと首傾げれば、お構いなしにその場にちょこんと座って調書の準備をし始めたのでおいおいと焦る。
dhastarflower
DONE巌ふち。房中宮の戦いが終えたあとの話。
やっと気づいたその感情に。
敵わないのは、貴方 ─敵わない、ほんとうに。
「…僕も佐切や士遠さんのように【木】だったら良かったな」
「あん?」
「え?」
巌鉄斎の疑問の色を孕んだ声にそのまま返す形で疑問詞を投げかけてしまった。つい口から出たらしい自分の言った言葉を脳内で反芻し、巌鉄斎の眼帯を作ろうとしていた鍔を削る手を止めてきょとんとしていれば、向こうも訝しげに首を傾げた。
桃花と菊花の壮絶な闘いの後。びっしょりと濡れた着物を乾かそうと裸体になれば桐馬も巌鉄斎も僕もあちこち満身創痍。出来得る限りの治療を施しますと指させば何も言わずに大人しくその場に座るふたり。手当され慣れたもので助かる。別に自分は医者ではないが眼の前で傷付いた者を見れば手当せねばという衝動に駆られるのだから性分なんだろうなと小さく息を吐いた。
4032「…僕も佐切や士遠さんのように【木】だったら良かったな」
「あん?」
「え?」
巌鉄斎の疑問の色を孕んだ声にそのまま返す形で疑問詞を投げかけてしまった。つい口から出たらしい自分の言った言葉を脳内で反芻し、巌鉄斎の眼帯を作ろうとしていた鍔を削る手を止めてきょとんとしていれば、向こうも訝しげに首を傾げた。
桃花と菊花の壮絶な闘いの後。びっしょりと濡れた着物を乾かそうと裸体になれば桐馬も巌鉄斎も僕もあちこち満身創痍。出来得る限りの治療を施しますと指させば何も言わずに大人しくその場に座るふたり。手当され慣れたもので助かる。別に自分は医者ではないが眼の前で傷付いた者を見れば手当せねばという衝動に駆られるのだから性分なんだろうなと小さく息を吐いた。
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DONE巌ふち(※原作96話のネタバレあります)「願わくばどうか、此の聲が届いていますように」
幸せな二人がみたい…
聲どうしてと自問自答が続く。
本当はわかっている。それはたった数文字で言い表せられる感情なのだ。ただ認められないと何故という疑問を解決する手立てがない。認めるための確実な数式がない。足し算引き算の関係でもなんでもない、損得勘定もあるわけがないし、理屈も論理的なこともありとあらゆる可能性の事柄を脳内の辞書をいくら開いてもでてきやしなかった。
イコールがないのだ、どこにも。
バラバラでごちゃごちゃだ。まるで屍体を解剖したあと内臓物を落とし地面に巻き散らかしてしまったかのようだ。ぐちゃぐちゃもしてドロドロもしているから例えはこちらのほうがあっているかも、と自分の中で納得がいってニヤリと口の端をあげてしまう。
2244本当はわかっている。それはたった数文字で言い表せられる感情なのだ。ただ認められないと何故という疑問を解決する手立てがない。認めるための確実な数式がない。足し算引き算の関係でもなんでもない、損得勘定もあるわけがないし、理屈も論理的なこともありとあらゆる可能性の事柄を脳内の辞書をいくら開いてもでてきやしなかった。
イコールがないのだ、どこにも。
バラバラでごちゃごちゃだ。まるで屍体を解剖したあと内臓物を落とし地面に巻き散らかしてしまったかのようだ。ぐちゃぐちゃもしてドロドロもしているから例えはこちらのほうがあっているかも、と自分の中で納得がいってニヤリと口の端をあげてしまう。