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    スガ🦀

    @sugaaa_f

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    DOODLE前にさらっと書いていた学パロ楽ヤマ
    紙パックの紅茶飲んでるといいですね。
    ①グッドフィーリング

     テスト中は帰りが早いせいで帰りの電車は座る事が出来る。座るべき人が来たらもちろん譲るつもりではいるが車内はまだ多少の余裕があるのでとりあえずドア横の席に座る。今日はイヤホンを忘れて来てしまって、いつものようにスマホで音楽を聞く事は出来なかった。だからといって明日の教科の予習をする気にも、スマホを見る気にもなれずぼんやりと車窓を眺めるだけになった。
     静かな車内に響く走行音はテスト勉強で寝るのが遅かった楽を眠りの淵へと誘う。ほんの数分、眠りかけたところで次の駅に到着するアナウンスが流れて、意識を覚醒させられた。降りる駅まではまだある。駅に着いてドアが開くと一番最初に乗り込んで来た学生に目が行った。
    『あ、あれ…』
    目を引くその制服に先日友人達と遭遇した事を思い出した。

    **
    「あの、白い制服かわいいな」
     楽が友人の天と龍之介と学校帰りのファストフード店でテスト勉強をしていた時に、外を通った特徴的な制服のグループがいて思わず呟いた。ボタンのない白い詰襟の制服。なんとも浮世離れした様子は真っ黒な詰襟の学生服を着る自分たちと対照的で気になった。
    「あれ、愛七学園で 8539

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    REHABILIホテルのマンスリープランを利用する楽さんとフロントの二階堂さん「おはようございます」
    「いってらっしゃいませ」
    フロントににこやかに挨拶をしていく美丈夫は当ホテルのマンスリープランを利用しているサラリーマンだ。
    取引先の会社の社員で、社員向けに出したプランの担当者でもある。それなりの値段設定をしているはずだが、彼は初日というか…打合せを済ませたその足でフロントに来て申し込みをして行った。
    初めての事だからと、部下に見せる意味合いも兼ねて俺が対応した。その時いやに名前を何度も確認してきたり、世間話なのか年を聞いてきたり、最後には仕事終わったら飲んだり出来るのかと聞いてきた。一応お客様ではあるので私で宜しければ…とは言ったものの…。
    ものすごく近い距離で、吸い込まれそうなアイスグレーの瞳でイケメンボイスで言ってくるから接客には慣れているとは言えあたふたしたのも記憶に新しい。イケメンの気紛れかと思ったらプランが始まって3日目位に本当にフロントに名指しで電話がかかってきてびっくりした。あのイケボで『二階堂さんいらっしゃいますか』と言われた若いフロントスタッフはアイドルから掛かってきた電話を取った時のようだった。本当にアイドルが宿泊したらどうなるんだ。あの 1828

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    TRAINING狐の嫁入り(2)(楽ヤマ)「子種……」
    「そう、子種。八乙女家次期当主の子種」
    「俺の…子種…」
    楽はそれ以上何も言えなくて、言われた事を鸚鵡みたいに返すしか出来なかった。
    「一応、お宅とは利害関係があるわけよ。お宅の無病息災、家内安全、商売繁盛を願う代わりにお宅の当主の子種を頂くと」
    「……人間と狐の子を作るというのか…?」
    狐はすっかり白無垢を着崩し、足を出して胡座をかいている。上座に置かれた御神酒を手に取り、三三九度の用の盃に注いでいた。わぁ、いい酒だ、流石八乙女家と言いながらぐいぐい飲んでいく。楽もこの状況に馴染むためにも…と同じように御神酒に手を伸ばしたところで狐が止める。
    「やめといた方がいいんじゃない…?」
    「何でだ」
    元々は家のものだぞ、と言いかけたところで狐が少し寂しそうに告げる。
    「…お前さん、ちゃんとヒトの嫁を貰うだろ?こんなところで狐と祝言みたいな事しちゃだめだ」
    「……」
    そう言うのであれば、と手を引いた。先程の話の続きをしなくてはいけない。
    「で、どうして俺の子種が必要なんだ?」
    「…純血種だけだと血が濃くなりすぎる…あと、この家からは妖力の高い子が産まれやすい…らしい。もう長いこと 1897

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    TRAINING狐の嫁入り(楽ヤマ)楽はこの八乙女家の現代にそぐわない仕来りを自分の代で終わらせるつもりでいた。
    『八乙女家には狐が嫁入りしている』
    22歳になる日、八乙女家の嫡男は狐を嫁として迎える。家の一番奥のお狐様の部屋に婚礼衣装で入り一晩過ごす。狐は八乙女家の嫁となり次の代まで繁栄を約束される。『狐』がどんな者なのか、どんな物なのか当主となる者しか知らず楽もまた父に儀式の事だけ教えられ、その姿はついぞ見た事がなかった。
    八乙女家の「正妻」は代々狐で、実際には人間の女性が子を成している。楽もそうだった。母親は楽が15の時に家を出た。時折、世間で言う離婚となる代がある。狐の嫉妬では無いかと言われる事もあった。そもそも女性にも狐にも失礼ではないか、と楽はずっと思っていてこんな馬鹿げた事は自分で終わらせるつもりだった。
    ーーーとうとうその日がやってきた。新しく設えた紋付袴に身を包み、自分の家なのに始めて踏み入れる奥の座敷。
    蝋燭の灯だけでその座敷まで行くと襖を開ける。
    そこには白無垢に身を包んだ人の形に近い何かがいた。

    「……狐…か」
    声にして問うと、人語を理解出来るのか綿帽子が微かに動いた。
    「……よろしくお願いいた 1127