クレーンゲーム僕はお年玉を握り締めて向かったのはゲームセンター。
馬鹿馬鹿しいなと自分で思いながらもどうしても悔しくってリベンジをしにやってきた。
「クリスマスのリベンジだ!」
息巻いてソレがある場所へ向かう。
場所には誰も居らず、ソレは僕を凝視する様にこちらを見ている。
「絶対取ってみせる!」
まずは自分の持ち金でトライ。
100円玉は吸い込まれていく。
軽快な音楽が流れてきて、ボタンを操作する。
狙うは遠くよりも取りやすい様に見えるもの。
アームを下げる。
アームは人形を掴むが運ぼうとして落下。
無情にも最初の100円は犠牲になった。
「ま、まだ100円、まだお年玉は両替してない」
取れるかと思ったが取れず、相変わらずにタチの悪い。
僕がリベンジにと狙っているのはかっぱわにのシリーズのぬいぐるみ。
前に芥川くんとゲームセンターに来た時に芥川くんがそのぬいぐるみに一目惚れ。
何度か挑戦するが中々取れず、芥川くんは
「もういいよ、このままじゃあ久米のお小遣い無くなっちゃうから」
取れそうで取れない、クレーンゲームの恐ろしい罠に僕は嵌ってしまった。
何とかして取ったが、財布の中は空っぽに近かった。
でも、取れた時の満足感は物凄く、それからまた度々ゲームセンターに足を運んでいた。
しかし、クリスマスバージョンのかっぱわには取れず、悔しかった。
なので、良くゲームセンターに来ている友人の直木にコツを教えて貰ったり、動画とかでも上手く取るコツなどを学び、リベンジに来た。
このかっぱわには人気なのだろう、色々な種類が出ていた。
そして今回はお正月バージョン。
黄緑色の細長い体に頭の上には鏡餅を乗せてる。
バージョンは笑っているのと普通の表情。
でも僕はどっちでもいい、取れれば充分だ。
また100円玉を入れる。
まだ軍資金はある。
ドキドキと脈打つ心臓を押さえ込みながらもボタンを操作していく。
「これ、君好きでしょ?」
何とかゲットして芥川くんへ渡すと
「ありがとう、ねぇ、これを取るのにどれだけお金使った?」
芥川くんはお礼を言って受け取りながらもそう聞いてくる。
「大丈夫、大して使ってないよ」
本当は結構使った。
でも、酷かった時よりは本当にマシだ。
「嬉しいけども、程々にした方がいいよ?」
芥川くんは苦笑いでかっぱわにを向けながら言う。
「でもこれは君に渡せなかったクリスマスのプレゼントの代わりだ」
お金を使い果たして、クリスマスプレゼントを用意出来なかった。
「でも、程々にしてね」
芥川くんは苦笑いだ。