空に誓い5 近所のスーパー、お気に入りのパン屋、いつも行く花屋。
思い当たる場所を駆け回ったけど、どこにも悟が居ない。あんなに抱きしめ合って、キスをして、側に居る存在の幸せを感じたはずなのに、朝になったら姿が消えているなんて。そんなの、まるで――。
パチン、と両頬を叩いて憂太は浮かんだ思考を打ち消す。
悟が居なくなって二日。この二日間、悟は一度も家に帰ってきていない。二、三日で帰る。その言葉を信じたくても、湧きあがる不安の方が大きくて、仕事の合間を縫っては悟を探していた。
そして思い知った。自分は、出会ってからの悟しか知らないということ。
一緒に行ったスーパーやパン屋や花屋以外の、悟が好きな場所、一人で行きそうな場所に一切心当たりがないのだ。
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