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    奈落。

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    奈落。

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    スタバで働く鉢屋くんと尾浜先輩の続き。まだ続きます。

    #忍玉-腐
    tolerantJade-Rot
    #鉢尾
    hashimoto

    「おはよ〜鉢屋」
    「おはようございます。まさか本当に朝から来るとは思ってませんでしたけど」
     
    今日家の場所知れたし明日の9時に迎えに行くよ、と言われて5分前に出てみればもう既に昨日別れた場所に尾浜先輩が来ていた。なんでそんな早いんすか、と聞けば楽しみだったんだもんと返され思わぬ返答に顔が少し赤くなるのを感じた。
     
    「お?鉢屋くん顔が赤いねぇ」
    「気の所為っす。で、どこ行くんすか?」
    「ん〜ナイショ♪鉢屋は助手席でゆっくりしてて?」
    「…わかりました、」
     
    何故か上機嫌な尾浜先輩を横目に欠伸を一つ。昨日楽しみであまり眠れなかった、というのは絶対この人には言わない。
     
    「…昨日なんであんなこと送って来たんすか」
    「あんなことって?」
    「その…会いたくなった、みたいな」
    「?本音を送っただけだよ。あの後無性に会いたくなっちゃって」
    「…そっすか」
    「そんなこと言って、鉢屋も俺に会いたくなったんじゃなかったっけ?」
     
    ん〜?とニヤニヤしながら聞いてくる。くっそ、絶対後で引っぱたいてやると思いながらふと思う。今朝からこの人に振り回されっぱなしじゃないか?癪だ。
     
    「はい、会いたかったっすけど。俺だって本音送っただけっす」
    「………」
    「尾浜先輩?」
    「…ぇ?あ、いや、なんでもない!」
     
    ふい、と顔を逸らせる先輩を見ながらいやせめて前を向いてくれよ、思いつつ可愛い人だな、とも思う。いざ反撃されると何も言えなくなるのか、可愛いなマジで。

    「で、それを何で僕に言うの?」
    「相談事があるからに決まってるだろう!頼むお前しかいないんだ雷蔵」
    「いいけど…」
     
    昼休みに雷蔵を引っ捕まえて相談事があるんだ、と言うと優しい雷蔵はOKの返事をくれた。ちなみに八左ヱ門はなんと職員室に行ったらしい。分からない問題があるんだと。明日は天変地異かもしれない、と思いながら雷蔵に向き直る。
     
    「で、尾浜先輩どこに連れて行ってくれたと思う?水族館だよ水族館!」
    「へぇ、いいじゃない」
    「何も良くない!イルカショー見て水被ってけらけら笑ってるかと思えば今度は魚を見て美味しそうって言うんだぞ?」
    「…それ、僕は言われたら嫌だな…」
    「さらにクレープも食べたいパフェも食べたい、じゃあ全部食べちゃおう!っていっぱい食べるし」
    「……うん。で、僕はなんて返事したらいいのそれ」
    「くっ…尾浜先輩ずるい人…」
     
    結果、雷蔵から聞けたのは今日もバイトでしょ、頑張れ。だけだった。

    「おはようございます」
    「あ、おはようございます鉢屋先輩。今日の客量は割と普通くらいなので鉢屋先輩だと余裕だと思います」
    「田村、お前私をなんだと思ってるんだ?」
    「え?そうですね、次期バイトリーダーに是非なって頂きたい優秀な先輩、ですかね?」
    「…そうか、ありがとう」
     
    自分の1つ下である田村と交代の形でシフトに入る。田村の言う通り今日は客がそこまで多くなかった。
     
    「鉢屋おはよ~、一昨日ぶり!」
    「おはようございます尾浜先輩。今日はどこに行ったらいいっすか」
    「今日もホイップと受け渡しお願い。鉢屋上手いから」
    「……あざっす、」
     
    この人、ふとした時に褒めてくるのが狡い。先輩だって、お客さんから大人気だろうに。
     
     
     
     
    「ありがとうございました!」
     
    今日もまた最後のお客さんを見送る。相も変わらず締めの時間にいるのは俺と尾浜先輩だけだった。
     
    「……また食ってる」
    「いいじゃん、美味しいよ?鉢屋も食べる?」
    「大丈夫っす。」
    「つれな~い」
     
    美味しいのに、とクリームを頬張る尾浜先輩を横目に手を洗い機材を片付ける。ようやく食べ終わったらしい機材を洗う尾浜先輩の口元にはクリームが少しついていた。
     
    「ふっ」
    「ん?どうしたの鉢屋」
    「いや……尾浜先輩にも可愛いところあるんすね、」
    「……へ」
     
    ぐ、と手首を掴み此方へ引き寄せる。え、え、と言いながら顔を赤くする尾浜先輩に可愛い、と言う感情しか出てこない。顔が赤くなったからか白いクリームがよく映えて思わず舐め取りたくなった。いや、いつかはそういう関係に絶対なるけど。
     
    「ここ、ついてます」
    「へ……ぁ、」
     
    ついている箇所をを指先でとんとん、と教えてあげる。そのまま指ですっとクリームを取り食べた。
     
    「~~~!!!」
    「ん…確かに甘いっすねこれ、」
     
    「……それとも、尾浜先輩が甘いのかな」
    「~~っ、ばか!」
     
    顔を真っ赤にして俺の胸元を押し離れてしまった尾浜先輩の背中を見てくすくすと笑ってしまう。やれやれかわいい人だな、と思っていると尾浜先輩はくるっと振り返った。
     
    「……早くしないと置いてくからな」
    「俺は別に歩きでも帰れるんすけどね?」
    「~っ、俺が送ってやりたいの!早く!」
     
    先輩はそんな事も分からないのか!と怒りながらスタッフルームへ行ってしまった。その場に座り込む。なんだ今のは、可愛すぎやしないか?自分の顔が嫌というほど赤いのを感じる。僅か数十秒で準備を終えたらしい尾浜先輩がスタッフルームから出てきたので急いで自分も着替えた。
     
     
     
     
    「……で、何で送ってやりたいんすか?」
    「…別に?なんでだろうね?」
     
    そう言ってくすくす笑う尾浜先輩の顔は、なんだかあんなことの後だからかいつもよりもかわいく見えて。
     
     
     
    つい、口走ってしまった。
     
     
     
    「尾浜先輩、好きです」
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