夜のはじまりぽすん、ぽすんと繰り返しベッドが軋む感覚にふわりと意識が浮上する。
緩く閉ざした瞼の先から透けてくる光はなく、夜明けはまだ遠いのだと薄ぼんやり思いながら同時に腕を少し上げて布団を開いてやる。
こんな夜更けにわざわざ用事があるのなんてうちの小さなお嬢様くらいしかいないのだ。
確かに昨日布団に入った時にはじっとりとした温かさがあったような気がするがまだ夜中は寒く、こうして布団を開けている今も少し冷たい空気が流れ込んでくる。
いつもならするりと顔を抜けお腹あたりで丸くなる気配が今日はいつまで待っても一向に動く様子がない。
腕をちょっと上げてるだけと言われればそうなのだがまどろみの中でキープするのはなかなか辛いものがあって一回腕を降ろそうか逡巡する。
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