ヤクザパロ的な ――こんな所で、終わるのか。
人混みの喧噪からそう遠くもない路地裏で、雨雲に黒ずんだ夜空を眺めながらぼんやりとジルは考える。
何せ痛みは全身に広がり、左目の視界は不遼。
失明まではしていないだろうが、警棒のようなもので打たれ裂けた瞼から流れた血と腫れで現状使い物になっていなかった。
一体どれだけの人間とやりあったか、覚えてはいないが周囲に倒れていた人間は20や30ではなかったから相当な無理をした自覚はある。何とか途切れたところでその場から離れ、辛うじて人の眼の薄そうな場所を見つけたがそこで限界が来て、立てなくなって――これ以上、もう身体を動かせそうになかった。
先程から降り始めた雨は全身を濡らし、湿った髪が額に張り付いて不愉快だったがそれを拭う気力すらない。
1990