双子として現代に転生した魏無羨と莫玄羽の話 魏家の双子たち
兄・無羨
外見はかつての莫玄羽そっくり。
性格はやんちゃ坊主て、座学時代の魏無羨そのもの。
前世は魏無羨だと思われているが、その記憶は?
弟・玄羽
二卵性双生児。
外見は兄にも、かつての魏無羨にも似ていない。
性格は無口でおとなしく、人見知りも激しい。
それはまるで、江楓眠に保護される前、浮浪児の頃の魏無羨のようである。
魏無羨と玄羽は双子の兄弟だ。
兄の無羨は明るく元気でやんちゃもするけれど、友達想いでみんなの人気者。
でも弟の玄羽は人見知りが激しく、いつも無羨の背に隠れている。
そして一つだけ人と違うところがあるとすれば、いわゆる前世の記憶があるところだろう。
かつて夷陵老祖と呼ばれ、人々から忌み嫌われ、そして13年後献舎の禁術により甦り、ひたむきに自分だけを思い続けた藍湛と道呂の誓いを交わし、今度こそ藍湛や阿宛をはじめ、皆に看取られ天寿を全うしたはずである。
それなのに、今世では莫玄羽と双子として生まれ、しかもどちらも前世と正反対の性格に育つなんて……。
それだけ夷陵老祖の業が、深かったということなのだろうか。
そして時が経ち、高校に入学すると、かつての知り合いがほぼ揃っていた。
しかも皆記憶持ちだったので、魏無羨を見つけると嬉しそうに声をかけてくるが、記憶がないことに気づき、前世大変だったから仕方ないと、新たな関係を築こうとする。
だが誰にも似ていない玄羽のことは、名前こそ前世献舎し、魏無羨を甦らせた金家の彼と同じだが、その人見知り振りから、前世何の関係もない単なる双子の弟として生まれただけの一般人だと思い込まれ、どこか距離を置かれてしまう。
だが藍湛だけは無羨に違和感を抱き、その輪に加わらない。
そして同じ図書委員として玄羽と関わるうちに、彼こそが魏嬰なのではないか?という思いを強めていくのだった。
そしてある時、わざと後ろから「魏嬰」と声を掛けてみると、バッと焦ったように振り返る姿を見て、確信した。
「やはり、君こそ魏嬰だったんだな」と告げると、顔を真っ青にした玄羽は慌てて否定するが、時すでに遅し。
その日から藍湛の猛アプローチが始まったのだった。
そして藍忘機が魏玄羽に気があるようだと噂が広まった頃、藍湛は魏無羨に屋上に呼び出された。
「含光君、あなたは今度こそ彼を守れますか?」
そう、かつての号で呼ばれ、驚く藍湛。
なんと魏無羨の前世は金光瑤で、かつての異母弟の姿で生まれ変わっていたのだ。
「まさか莫玄羽の姿で、夷陵老祖と双子として生まれ変わるとは思いもよらなかった」
などと、とても驚いているようには見えない様子で、告白された。
「今の私には両親もいるし、妓女の子だと蔑まれることもない」
頑張りはきちんと認められて、褒めてもらえる。
だから、前世嵌めたせめてものお詫びとして、今世では彼と仲良くしたいと思ってる。
だが、かつての知り合いは皆私を夷陵老祖の生まれ変わりだと思い込み、玄羽には見向きもしない。
そして距離を置かれて悲しんでいるくせに、前世の罰だと自分から名乗るつもりがないことも知っている。
それでも私は、教えるつもりはなかったんだ。
自分たちの力で、気づいて欲しいからね。
最初に気づくのはあなただろうと思っていたけど、やはり私の予想通りだった。
あなたが玄羽を――夷陵老祖を幸せにしてくれると約束してくれるなら邪魔をしないし、何なら応援するよ。
だから、彼を泣かせたら絶対に許さないから。
今度こそ、彼を幸せにしておくれ。
そう言って立ち去る魏無羨(金光瑤)。
現世での兄の許可をもらえた藍湛は、もう遠慮しなくて良いのだと、今まで以上に玄羽を甘やかし、口説き始めた。
そしてその姿にうたれた玄羽は、ようやく藍湛の気持ちを受け入れ、交際を始めたのだった。