実は俺、含光君と親しい仲なんだ「俺は莫玄羽だ。魏無羨なんかじゃないし、それに藍湛ととっても親しい仲だ。お前がもし俺を殺せば藍湛が黙ってないぞ。藍家と江家の戦争が始まるかもな?」
江澄はまるきり無視は出来なかった。なぜなら莫玄羽…魏無羨に対する藍忘機の態度に、異様なものを感じ取っていたからだ。
「いいだろう。証明できるなら、その話信じてやってもいい」
すぐに江家の門弟を使い藍忘機を呼び寄せた。経緯を説明し、状況を理解した藍忘機は頷いた。
「藍の二の若様が嘘をつけない事は承知している。さて藍忘機、本当にその男と恋仲なのか。答えろ!」
江澄の荒々しい怒声に、魏無羨はあきらめとも似た笑いを浮かべる。
「…恋仲ではない」
江澄は勝ち誇ったように魏無羨を見る。魏無羨もわかっていた。藍忘機が嘘をつけない事くらい。
だから既成事実という策に出た。今から出る行動で恋仲を拒否されたら、「初めてだったのに!」と魏無羨はわめくつもりである。真面目な藍忘機の事だ。責任をもってしばらくは恋仲になってくれるだろうという、小さな可能性にかける事にした。
魏無羨は藍忘機の前に立ち、パチンと片目を閉じた。
「確かに。俺達はまだ何も始まってない。これから始まるんだ。藍湛、藍忘機、藍兄ちゃん。お前が好き。恋仲になろう?」
その場にいた江家の者、金凌、藍忘機、全員が固まった。
「ちゅ」
魏無羨は少し首を伸ばし、藍忘機の唇目がけて自分のソレを当てた。男同士の口づけを初めて見た金凌は絶叫する。
「藍湛、返事は?」
藍忘機は涙目になり、彼を抱きしめた。
「本当か?」
嬉しそうだ。魏無羨は予想外の反応に動揺した。藍忘機は嘘はつけない。演技ができる男でもない。これは正真正銘、藍忘機の嘘偽りの無い反応だ。
「う、うん。本当だよ…」
(あれ?なんで藍湛、嫌がってないんだ?)
魏無羨は肯定するしかない。でないとここから無事に脱出できないのだから。
「江澄に言ってやってくれよ、俺とお前はただならない関係なんだって。証明しないと俺を殺すっていうんだ」
藍忘機は頷き、魏無羨の両ほほを手で包む。
すると・・・藍忘機は魏無羨に深い口づけを送り始めた!これには魏無羨は驚き、逃げようともがく。しかし思った以上の力強さで逃げる事は不可能だった。途中で江澄が「わかったもういいヤメロ!」というまで口づけは続いたのだった――――。
fin.