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    キ・リン

    @qilin03iq
    中華ドラマ陳情令の曦澄で作文しています。
    ドラマ視聴済、アニメ視聴中、原作履修中。
    特記がない場合、各作文はつながっていません。都合よく、自分が楽しいように書いています。

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    キ・リン

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    「標世均」10P
    昼寝と号の話。
    #曦澄

    2020/7/18

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    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

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    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
     視線の先には牀榻に身を起こす、藍曦臣がいた。彼は背中を強打し、一昼夜寝たきりだったのに。
    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337

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    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
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    PROGRESS続長編曦澄3
    もう少しあなたに近づきたい
     いったい、あの人はなんのために蓮花塢へ来たのやら。
     江澄は窓から見えた光景に思わず笑みをこぼした。
     御剣の術の修行をはじめたばかりの幼い仙師たちが憧れの視線を向けているのは、空を舞う藍宗主である。
     朝は卯の刻に起き出して、昼までは江澄の政務を手伝い、午後時間ができたからと探しに来てみればこれである。
     遊びに来ているはずなのに、よく働くものだ。
     江澄は窓から身を乗り出した。
    「曦臣!」
     朔月は美しい弧を描いて、窓際に降りてくる。雲夢の空に白い校服がひるがえる。
    「どうしました、江澄」
    「時間が空いたから、誘いに来た。一緒に町に出ないか」
    「ええ、ぜひとも」
     藍曦臣は一度師弟たちの元へ降りていく。江澄も軽い足取りで門までを行く。
     藍曦臣と二人で出かけるのは初めてのことである。とりあえず、包子を食べてもらいたい。あとは、何がしたいのか、二人で考えてみたい。
     友と出かけるときの高揚をひさしぶりに味わっている気がする。
     門前で合流した二人は、徒歩で町へと下りた。
     夕刻前の時間帯、通りは人々で賑わっている。
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    「そうですね、あれはと 2167

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    PROGRESS続長編曦澄11
    これからの恋はあなたと二人で
     寒室を訪れるのは久しぶりだった。
     江澄は藍曦臣と向かい合って座った。卓子には西瓜がある。
     薄紅の立葵が、庭で揺れている。
    「御用をおうかがいしましょう」
     藍曦臣の声は硬かった。西瓜に手をつける素振りもない。
     江澄は腹に力を入れた。そうしなければ声が出そうになかった。
    「魏無羨から伝言があると聞いたんだが」
    「ええ」
    「実は聞いていない」
    「何故でしょう」
    「教えてもらえなかった」
     藍曦臣は予想していたかのように頷き、苦笑した。
    「そうでしたか」
    「驚かないのか」
    「保証はしないと言われていましたからね。当人同士で話し合え、ということでしょう」
     江澄は心中で魏無羨を呪った。初めからそう言えばいいではないか。
     とはいえ、魏無羨に言われたところで素直に従ったかどうかは別である。
    「それだけですか?」
    「いや……」
     江澄は西瓜に視線を移した。赤い。果汁が滴っている。
    「その、あなたに謝らなければならない」
    「その必要はないと思いますが」
    「聞いてほしい。俺はあなたを欺いた」
     はっきりと藍曦臣の顔が強張った。笑顔が消えた。
     江澄は膝の上で拳を握りしめた。
    「あなたに、気持ち 1617

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    PROGRESS恋綴3-1(旧続々長編曦澄)
    あのあとの話
    同じ轍を踏む兄上
     西瓜は口に入れた瞬間に甘い果汁があふれ出て、とてもおいしかった。
     食べ終わるのがもったいないほどだった。
     さて、食べ終えたからには顔を上げなければいけない。
     江澄はひとつ息を吐いて背筋を伸ばす。
     向かいには、ものすごく機嫌の良さそうな笑顔があった。
    「おいしかったですね」
    「そうだな」
    「今日は何時までいられるのですか」
    「いや、急なことだったから、もう帰ろうかと」
     途端に藍曦臣はうなだれた。彼のそんな顔は初めて見た。
    「それはしかたありませんね。どちらで宿を?」
    「ぎりぎりまで飛ぼうと思っていたから、決めていないが」
     江澄は腕を組んで、天井を見上げた。今からであれば、日が沈む頃には姑蘇を出られるだろう。
     明日には蓮花塢に戻らなければいけないが、それは夕刻でも問題ない。最悪、明後日の朝一番に戻れれば……
     そこまで考えて、江澄はうっすらと頬を染めた。そんなことを言えば無茶をするなと叱られるに決まっている。だが、考えてしまうくらいにはここを離れがたく思っている。
    「あー、あのな、曦臣」
    「はい」
    「今すぐに発たなければいけないわけではなくて」
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    「もう少 3119

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    PROGRESS恋綴3-7(旧続々長編曦澄)
    別れの夜は
     翌日、江澄は当初からの予定通り、蔵書閣にこもった。随伴の師弟は先に帰した。調べものは一人で十分だ。
     蔵書閣の書物はすばらしく、江澄は水に関連する妖怪についてのあらゆる記述を写していった。その傍ら、ひそやかに古傷についても調べた。しかしながら、薬種に関する書物をいくらひもといても、古傷の痕を消すようなものは見つからない。
     江澄は次に呪術の書物に手をかけた。消えない痕を残す呪術があることは知識として持っている。その逆はないのだろうか。
     江澄は早々に三冊目で諦めた。そもそも、人に痕を残すような呪術は邪術である。蔵書閣にあるとしても禁書の扱いであろう。
    「江宗主、目的のものは見つかりましたか」
     夕刻、様子を見に来た藍曦臣に尋ねられ、江澄は礼を述べるとともに首肯するしかなかった。
    「おかげさまで、江家では知識のなかった妖怪について、いくつも見つかりました。今までは海の妖怪だからと詳細が記録されてこなかったものについても、写しをとることができました」
     たしかに江家宗主としての目的は果たせた。これ以上に藍家の協力を得るのは、理由を明かさないままでは無理なこと。
    「あなたのお役に立てたなら 2224