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    セカンドサバがリのif話の新宿編ワンシーン
    とメモセリフ一部

    #リチャぐだ♂

    追い詰められビルの上ではこの街の音がよく届く。見下ろさずとも、高い壁伝いにそれは登ってくるせいで都会の夜はいつだって光と喧騒が満ちているものだが、此度はそれ以上に別の意味も含んでいた。
    マスターは小さく息を吐き俺の目を見る。覚悟は決まったらしい。
    「よし…!」
    その声を合図に俺は敵に向けていた剣を強くはじき、蹴ってマスターの隣に並ぶ。あとはもう平等な重力に沿うだけだ。
    とはいえ、当然彼はこのままだと地面への衝撃には耐えられない。だからこその俺だ、物足りなさが続いているが君の命より惜しいものなど何もないのだから。
    足場を失くし浮いたマスターへそうして手を伸ばしかけた時だった。
    「セイバー……
    好きなだけ暴れてから戻ってこいっ…!」
    落下の最中、立香は言った。
    蒼穹の瞳が驚きに目を開く俺を映し、そして口角が上がっていったことに初めて気付く。
    なんだ、こういう時はてっきり『着地任せた』ってやつなんじゃないのか?
    「足りないって顔してただろ!」
    剣を握る手が熱くなる、…あぁ全く!
    だがそれでこそ!俺が、最高だと認めた藤丸立香だ!
    剣を手にビルの側面に足をつける、この瞬間の俺は音にも光にもなって見せよう。
    「ああ!すぐに戻る!」
    硝子の地を蹴り無という壁をも地とした。透明な足場がコンクリートへと即座に移り、思うがままその場を薙ぐ。敵が伏すまで待つつもりもない、だが"念のためにもう一周"敵周りを走って打ち付けてやった。
    そうして空を見上げ立香の元へ駆ける。蹴り上げた脚がかつてないほど軽くて、自分でも驚いたほどだった。
    剣を持たぬ手で彼を抱え込み、硝子へ一段、二段とジャンプして水平な大地へと着地する。
    ミスもなく、俺の本意と彼の指示通り。その頼み(盟約)は為された。
    顔を上げ一息つくと、立香の足を地面に着くようにして降ろす。
    ひしとしがみついていた立香は、両足の裏を恐る恐る踏みしめてからようやく首に回していた腕を緩めた。
    微かに震えていたその手を留めるべきか考えるより先に、今一度そのまま彼を無言で抱きしめる。バクバクと心臓の動きが伝ってやはりなと察し、背中をトントンと叩いた。
    「ぁ、…あり、がと」
    「いいや、礼を言うのは俺の方だろう。まさか言うと思わなかったが…」
    彼は深呼吸をしながらゆっくりと身を離し、続けた。
    「でも…発散になったでしょ?」
    ニッといたずらっぽく、子供の様に君は笑った。俺はその様にゾクと沸き立つのを抑えるように唾を飲み込む、肯定を示すために頷くので精いっぱいだった。そしてほぼ同時に悲鳴のような通信音が飛び込んできた。
    「うわーーーーっっ!!!なな、なん、なんて無茶ばっかりするんだい君はーーーーーっ!!!!」
    「先輩!??!先輩あの!?!先輩!!先ぱっ…すみませんもう言いたいことが多すぎてしまってわわ、私も今になって混乱を…」
    あんぐりと口を開けた職員がモニター奥にも目に入る。今になってマスターの方も罪悪感が沸いてきたらしい、目を背けていた。
    「で、でもほら何とかなったし…」
    「何とかなったじゃありません!もうそういったことはもっと、他の方もいらっしゃったりとある程度余裕のある時に…」
    「マシュー??余裕あってもダメなはずなんだけどなー?」
    「ですがダヴィンチちゃん、先輩ですので…」
    後輩による弁明とも擁護とも言えない"先輩"という形容詞がだされたのであった。
    「き、君達ねぇーー!!もうっ!君たちもこっちも心臓がいくつあっても足りないってのにーー!!」
    「なら立香、俺の心臓食うか?」
    「んー…え?なん、なんて?」
    「言い換えれば、立香は俺のルーアン大聖堂だからな」
    「あの、話を敏捷EXされると流石に俺も分からないんだよね。まって何を言い換えたの?」
    「ストップストップ!とにかく!戻ったらお説教ポイント10追加だからね!!」
    「あ、もう累積ポイント制になったんだそれ…」
    そうして要点と拠点へのルートを知らせると通信は切れてしまった。


    直前の追いかけっこと怒涛のコールを受け一気に静かになったと思う反面、緊張と安心感の落差で気は既に緩んでしまっていた。
    リチャードは辺りを見まわして脅威はないと判断したのだろう。剣を納めて少し先の都会の光が集う方へ進んでいた。
    俺もそれについていくため今一度足を踏み出した時だった。
    視界が突如下に下がった、ストンと文字通り落ちたかのように。
    「へ?」
    「立香?」
    「な、何でもない、ちょっと足に力が」
    手をついて立ち上がろうとする。壁も使って、一歩踏み出した。
    が、プルプルと震え思うように進まない。
    (なんで!?まさかさっきので俺腰抜けたのか!?)
    先にいたリチャードが怪我かと慌てて駆け寄るのに気づき、強がって壁から手を離したのが良くなかった。
    再びストンとなりかけたのを耐えようと、膝に両手をつける。
    「ちょ、まって…まだ…膝が笑ってて…」
    俺は自分の顔をとてもじゃないが上げられなかった。
    あれだけのこと言って、大丈夫だったし!と言い切った挙句、結局腰抜けてましたなんてあまりにも…
    「立香?」
    流石にかっこ悪すぎるというかダサすぎるな…なんて、気を揉んだ。
    まあ結局、俺はそのダサいコンボをリチャードにフルで見られる羽目になったのでかなり心的な損傷だけを受けました。
    彼が手を差し伸べる。その手を取ろうと膝から手を外した瞬間、無事膝からストンとへたり込んだのだった。


    「やっばい…どうしよう、立てない…かも…」
    そう言って生まれたての生き物のように、足を立ててはへたり込む立香に俺はとうとう耐えられなくなって笑ってしまった。
    あれほどの心意気と、俺を理解しつくしたような堂々たることを言って燃え盛らせた君が。
    「いやほんと!リチャード信用してないとかじゃなくて!体がこう危機感を…条件反射のような…」
    俺は彼と同じ目線でしゃがみ込み、

    「それでー?あんたらはお姫様抱っこで遅れてご到着ってワケね。いいご身分だこと」
    腕を組み指先を少し退屈そうに振りながら告げた別側面としての彼女じとりと俺達を見ていた。
    あいにく時計はなかったが、そこまで言われるとなると…
    「遅れたのか俺たちは!確かに2、3回敵とは遭遇していたが」
    「ゼンブオレノセイデス ユルシテクダサイ…」
    到着し一同を目にしてフリーズしたマスターは、一瞬の間を挟み顔を覆ってそのままになってしまった。
    ただ一匹、出会ったばかりの白い犬だけが彼へそっと鼻を押し付け慰める、後輩でさえ「先ほどのは流石に私ももう許容できませんので!」ときっぱり弁護を断った稀有な例であった。
    そして何故かそのあと、拠点に到着したため降ろすと思いきや当の二人は素知らぬ顔してそのまま会話に参加している。
    なぜ誰もつっこまないのかと、きっとその場の全員が思ったことだろう。まあ長きを知る半数にとっては慣れた距離感ではあったから無駄だと判断を下したのも事実だった。
    ーーーー


    作戦が進むにつれて話は二転三転する、情報が入り混じって目途が立ったものの最も得意とする者が多いはずの”強行突破”がNGとされた以上まともに考える必要があるらしい。
    リチャードも頷き連れる部下を選んでいるようだった。
    そんな最中顎に手を当て真面目に考えていた俺に、肩をたたき耳打ちをする。
    何かいい方法思いついたのかななんて、そのままに耳だけ貸すと彼は真面目な声色で「マスターのいた現代の国を散策したいんだがいいか?」と。
    もう一度言おう、俺は結構この時真面目に頭を働かせていた。そんな時に彼は、散歩に行きたいと。裏の意味も比喩も一切なくそう言ったのである。
    当然俺は、一瞬頭上に”?”を浮かべ流れるようにOKを出した。
    「!いいのか!よし、作戦済んだら一緒に行けるところを絶対見つけてくるから楽しみにしておいてくれ」
    そう嬉しそうに言って彼はスっと霊体化し、俺の隣は少しだけ涼しくなる。
    (町中…見張り…会場…うーーん)
    真面目に思考をしている俺の頭は、二つを同時に考えることに慣れていないのである。
    やんぬるかな…

    「じゃ、それで決定ー」
    「い"や"だぁ"」
    楽し気なオルタ達の声が俺の悲鳴をかき消す。
    どうして…結構俺も真面目に話に参加したはずだったんだ。何のために俺の脳はあるんだと今一度問いかける、答えは"わからない"だった。
    「いいじゃないの!ほら写真の準備もしておきなさいな」
    「いらないいらない絶対世に残しちゃいけない」
    「だそうよ?現場の後輩ちゃん?」
    「ぜひ宝物にさせてください先輩!」
    「味方ゼロだぁ!!!」
    わんわんと泣いたところで同情の目と楽しそうなやつらしかいないのだった。
    「で?味方ゼロのマスターちゃんは…あーそういえばあの猛進男はどこ行ったのよ?唯一あんたが頼めば見方にはなってくれそうじゃないの」
    「そっちにアルトリアオルタがいる以上難しいと思います」
    「それで諦めちゃったってワケね…潔いというか張り合いがないというか敬語にもなっちゃって」
    「相当効いているなマスター」
    「御覧の通りです。」
    絶対ろくなことにならないよ…と訴えても首謀者がホームズな以上俺に勝ち目はない。

    「リチャードならさっき作戦中に町中みたいって散歩に…」
    「え?あんた…止めなかったの?」
    「え?止め…?なんで?」
    ジャンヌオルタが頭を抱える。ホームズはしらっと横目に頷いて、ですらてっきり作戦かとと少しだけ驚いていた。
    「私も見張りに行ったとばかり」
    「えぇ…みんなリチャードに甘いんだね」
    「それで彼はいつ戻ってくるんだい?」
    「多分呼んだらすぐに…」
    呼ぼうとしたところを突如遮られる、ジャンヌオルタは悪そうな顔をして「現地集合でいいんじゃないかしら?」と最終決定を下したのだった。


    「じゃ、じゃあ…合図お願い…ね」
    「いつまで下向いてるんですか、もっとしゃんとなさい。今の貴女はご令嬢なんですもの」
    「い、いい今の俺はご令嬢…」
    「一人称は私!」
    「いっ今の私はご令嬢!」
    「よろしい。さて、先に行くわね」
    俺は履きなれないヒールに少しよろめきながらジャンヌから手を離した。
    なんとか警備を潜り抜けてともに

    「おっと…失礼した、レディ。」
    「少しパーティは苦手か、案ずるな俺も自分が主催以外のパーティは余り得意じゃない方だ。気楽にしてくれ」
    そういってヒールを手に流れるように俺の足元へかしずいた。
    本物の王子は違うと思い知らされたわけで、既に俺は半ば乙女のような気分にされていたようなものだった。

    魔力系の反応も抑えるような魔術付けてたから、リチャからしたら急にマスター似の嬢が現れた挙句、雰囲気も近く単純に愛らしいという印象もあって。されど既に他人に化けられるという目にあっているから、探ることも含めて警戒気味に対応。正直その場で殺すこともできたが、どうにもその気にはなれず違和感。自分が気に入っている彼に似ているから?いいや、そんな単純な理由だけでリチャードの本質は揺らがない。ならば、敵であっても己を殺した相手であっても許容する自身の本質からか?
    …そうもいかない、だって俺は彼女の背景を何も知らない。
    なら何故か?
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