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    両片思いの理銃が酒の勢いでキスする話

    #理銃
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    #SS

    両片思いの理銃この日、理鶯はMAD TRIGGER CREWの三人で集まって酒を酌み交わしていた。会場はメンバーでもある銃兎の家。最初こそ文句を言っていたが、まんざらでもない様子だった。
    銃兎は仕事がひと段落ついて、左馬刻も抱えていたトラブルをようやく解消できたらしい。二人ともハイペースで酒を開け、気が付けば時計の針がてっぺんを通り過ぎていた。
    「じゃー俺様そろそろかえるわ。ウサちゃんの世話、あとよろしくなー」
    リーダーの左馬刻は理鶯の頭をわしゃわしゃと撫で回すと、けらけらと陽気に笑いながら玄関へと向かっていった。家主である銃兎は相当酔っているのか、その姿をじっと目で追うばかりだ。仕方なく、理鶯が左馬刻の見送りをするために立ち上がる。
    「あとはうまくやれよー」
    左馬刻は理鶯に向かって囁くと、鼻歌を歌いながら出て行ってしまった。足取りは思いのほかしっかりしていたから、恐らく帰路も心配はないだろう。
    問題は、こちらの方か。理鶯は玄関の鍵を閉め、再びリビングへと戻った。今まで座っていた位置に腰を下ろし、机を挟んで正面に座るその男を見据える。
    入間銃兎。このチームに理鶯を引き入れた張本人で、理鶯の想い人だ。最初こそ高飛車な態度の強い男、という印象しかなかったが、時間を重ねるごとに、次第に彼へと心惹かれていった。
    理鶯の態度の異変に、左馬刻もいつの間にか気が付いたらしい。声をかけられ、その場で銃兎への想いを打ち明けた。そこから、なんとなく相談をすることが多くなった。いろいろ画策はしてくれるものの、今の関係を壊してしまうのが惜しく、なかなか一歩を進めないでいた。
    「大丈夫だと思うけどな」と彼は言っていたが、いったい何を根拠に言っていたのかは未だにわからない。何度問い詰めても、帰ってくるのは勘だ雰囲気だと正体のつかめない回答ばかりだった。
    今回だって、この状況を見て咄嗟に思いついたのだろう。あるいは、何も考えておらず、酔っ払いの介抱を任されただけかもしれないが。
    だが、これこそ据え膳というものに他ならない。泥酔している想い人を襲うことはできないが、触れてしまいたい気持ちは確かにあって。こんなもの、生殺し以外の何物でもない。
    新しくビールを開けた銃兎に、理鶯は優しく声をかけてやる。
    「銃兎、そろそろやめておけ。もうお開きにしよう」
    「ええー、開ける前に言ってもらわないと」
    そう言いながら、悪びれる様子もなくビールを煽る。嚥下するたびに動く喉仏が、無防備でいやらしい。
    こんな姿を見ていたら、理性などいくらあっても足りたものではない。理鶯は目を閉じて深く呼吸をし、平静を取り戻すよう努める。立ち上がってしまいそうな欲望を、懸命に押し戻す。
    「りお。りーお」
    ふいに、名前を呼ぶ声がした。目を開けると、そこにいたはずの銃兎が姿を消していた。周囲に視線を巡らすと、彼はすぐ隣まで移動してきていた。
    「こっちむきなさい」
    「なんだ」
    顔だけを向けていると、彼は突然頬に両手を添えてきた。いったい何をするつもりかと身構えると、ぐいと引き寄せられ、銃兎の顔が近づいた。
    柔らかい感触が重ねられ、ゆっくりと離れていく。アルコールの味が、遅れて口内に広がっていった。
    「銃兎、何を」
    「すきですよ、りおう」
    うっとりとした視線に、心臓の音がうるさいくらいに響く。いったい、何が起きたというのだ。気が付かれないように、浅くなった呼吸を整える。
    「本気で、言っているのか」
    「ほんきですよ」
    ふにゃ、と力なく笑う銃兎は、今まで見ていたどんな表情よりも無防備で、幼く見えた。
    抱きしめてしまいそうになったところで、理鶯ははたと思い至る。きっと彼は、この記憶を保持しない。そう思うと、頭がすうっと落ち着いてきた。
    そうだ、こういった席での言葉は真に受けてもいいことなど何もない。理鶯ははあ、と大げさにため息をついて見せた。
    「酔っているときの酔っていない発言と、本気だという言葉は一番信用ならない」
    「ええーっ、ほんとうのことなんですけどねえ」
    言っていることを受け入れてもらえないのが気に入らないのだろう、彼はむっと顔をしかめていた。
    実際、彼の言っていることは本心なのかもしれない。だが夜が明けた後、記憶がない、で流されてしまうことが何よりも怖かった。
    それでも、もし手が届くなら。手に入れるチャンスが巡ってきているのなら。理鶯はそれを実行する決意をした。
    銃兎に向き直り、ネクタイを少し緩める。ワイシャツの第二ボタンまでを外し、その白い首元を解放させた。
    「りおう……? っん、」
    首筋に顔を埋め、小さく紅い痕を残す。我ながら少し攻めすぎたかと思ったが、彼の瞳はぼんやりと理鶯を捉えているままだ。
    「酔いが醒めたらまた聞かせてもらう。これがその印だ」
    はだけた襟を元に戻してやると、銃兎はなんだか楽しそうにくつくつと喉で笑った。やはり、酔っ払いのツボはよくわからない。
    最後の酒を煽ると、銃兎はその場に倒れてしまう。具合が悪いのかと思えば「もう眠いからねる」と返答が来た。
    全く、人の気も知らないで。
    理鶯は銃兎を引き起こし、その体を抱き上げる。見た目以上の質量を感じ、彼が警察官であることを再認識させられる。
    普段気を張っている分、もしかしたらこうして解放される場所は、重要なのかもしれない。
    彼をベッドにおろし、布団をかけてやる。眠っている顔はとても穏やかで、できることならばこの表情を、何度でも傍で見続けたいと思う。
    「Have sweet dreams.」
    理鶯は額に軽くキスを落とし、寝室の扉をそっと締めた。
    きっと明日は、この想いを伝えなくてはならない。いや、伝えてしまいたい。返事がどうあれ、銃兎のそばで、銃兎の一番でいたいことは、揺るぎのない願望となっているから。
    「さて、片付けをするか」
    狼になってしまわなかった自分を心の中で褒めながら、理鶯は荒れ果てたリビングの片付けをへと向かうのだった。
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