双子も消え遂にルイと自分だけになってしまった。
想いのみが形となるこの宙域で最後まで残っていられたのは恐らく自分が一番、ルイに対する想いが大きく強いからだろう。
双子の想いによって紡がれた光の階段は、遠く上まで繋がっている。
上まで登って来たが、最上部には届かない。もうここまでくれば、自分が最後の足がかりになるのだと自然と理解ができた。
辺りを見渡すと、どこかの星にいたかもしれない、住民らしき生物が見える。
「君達は、番かね。」
「ああ、そうだ。」
「くだらない。実にくだらない。そうやって考えも見た目も違うものが愛を求めるなど、争いが生まれる原因でしかない。」
人種の違いによる諍いが原因で滅んだ星の住民なのだろうか。
「愛が無駄だと言われたら、自分が出るしかないと思ってな。」
止めるルイに背中を向けて銃剣を構える。
情けない。少し指が震えていた。とっくにとうに覚悟はできていたと思っていたけど。
どこかの星の、絶望した命。愛故に憎しみが起り無駄な争いを起こすのだ。愛というものは不要であり、また感情というものも平和を実現するに当たって不要なのだ、と。
ならば何故自分はここにいる?守りたいから。ルイと最期まで生きると決めたから。永遠に愛したいと強く思うがゆえに、体の底から力が湧いて出るから。
確かに愛は純粋ではない。その強さ故に相容れず衝突し、傷を残すこともある。
「自分だって、こんな別れ方したくはない。でも、ルイが希望を紡いでくれると信じてるからさ。」
だが衝突を乗り越える度に相手を理解し、再び歩もうとするのが、"生きる"ということではないか。
「止めないでくれ」
人間嫌いの自分が絶望まみれの宙域で、最後まで残っていられたことに不思議さを感じていたが。
なるほど、自分は少し変わったのかもしれない。勿論、良い意味で。
後ろから、拳を握りしめる音がする。行かないでくれ、と言わんばかりに締め付ける音。
本来、暁でも光の戦士でもないのにここまでついてこられた自分が奇跡なのだ。共に戦うのはきっと無理だから、せめて希望への道を。
蒼色のエーテルが奔流となり揺るぎない道を生み出す。足を踏み入れるとほのかに温かく、僅かに風が頬を掠めた。