「隣、良いだろうか。」
依頼と夜の仕事を終え、クイックサンドの隅で酒を啜っていたのだが、思わぬ客が訪れた。
見たところ同じ冒険者だろう。エレゼン族…イシュガルドかグリダニアかはわからないが。
正直誰かと飲むなんてあまり好きではないのだが、今日は店も繁盛していて席が足りないのは理解している。
「好きにしてくれ。」
目元の仮面を付け直しながら、適当に言い放った。
「背負っているそれ…見慣れない武器だな。何という武器なんだ?」
珍しい人だ。一人で飲んでいると大抵、避けるか無視するかなのだが。ここまで見知らぬ人間に寄り添う人は初めてだった。
「…ガンブレード。」
そう言うと彼は物珍しく私を眺めては、次々質問を投げかける。冒険者を初めてどれくらいだとか、どうやって技術を身に着けたとか。そういえば、容姿や出自に関しては一つも聞かれなかった。目元を明かしていないとはいえ、ミコッテと聞けば部族で判断されることもあったのだが。
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