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    きもいさん

    @kimoisan

    なんかできたら置いていきます。

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    きもいさん

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    なるみかWebオンリー「なるちゃんみかけんかった?」用の展示です!
    途中力尽きて時間ギリギリに…
    瀬名が出張っていて、チョ〜うざい〜ってなりました(嘘。ツッコミありがとね!)

    #あんさん腐るスターズ!
    ansanRottenStars!
    #なるみか

    そのままでもいいのよ?/なるみか 最近、ちょっとだけ気に食わないことがある。
     それはほんの些細なことで、気に食わないというよりもむしろ成長を実感できるので喜ばしいことなんだろうとは思う。
     でも、それでも。
     その成長を少し寂しくなってしまうのは、子離れできない親心なのか。はたまたただの独占欲なのか。


    「……ねぇ、なるくんさぁ……」

     スマホの画面を眺めたままでいれば、すぐ隣から呆れたように低い声がした。
    「自分が今、相当ヤバい顔してるって自覚ある? それ、もうアイドルの顔でもモデルの顔でもないからねぇ~?」
    「あらやだ、アタシはいつでもプリティで美しい顔をしてるわよォ?」
     据わらせた目で言われる台詞が聞き捨てならない。
     心外だと真横を見ると辟易とした顔で、はいはい。と流される。わざと頬を膨らませ、見ていた画面に再度目線を落とした。
     今日は男性向けファッション雑誌の撮影だ。テーマごとにコーディネートを紹介する企画の連載を受け持っていて、同じく毎回この企画で一緒に担当する泉が帰国してきていた。
     某大手出版社の撮影スタジオでの仕事。老舗のこの出版社は撮影スタジオを都内だけでも複数所有しており、今日来ているのもそのうちの一つ、一番大きな撮影スタジオだった。特に看板が出ている訳でもなく、窓も極端に少ないコンクリート打ちっぱなしの造りの建物。外見だけならば何の建物だろうという仰々しさは否めない。
     内部には七つのスタジオがある。普通にスタジオとして貸し出しもしているらしいが、何せ大きな出版社である。各種ファッション誌だけでなく、アイドル雑誌や音楽雑誌、テレビ雑誌、料理雑誌、カルチャー雑誌……定期発行の雑誌だけでもかなりの数に上り、それ以外にもアイドルやタレントの写真集、著名人のインタビュー等々と、撮影が必要なものは数多くあるため予約はほぼこの出版社の撮影で埋まっているという。
     すでに衣装替えを二回。データチェックを挟むため一度休憩を挟んでくれた形だ。折り畳みテーブルと横並びに置いてくれた椅子で、二人並んで座っていた。
     周りを忙しく動き回るスタッフを他所に、待ち時間はおやつを食べたり雑誌を眺めたり。幼い頃から見慣れた光景ではあるけれど、その光景を、昔ほどは当然とは思わなくなってきた。
     周りは『撮る』側の人間で、自分たちは『撮られる』側の人間。
     それは今でも変わらないのに、何故だろう。昔に比べると、この待ち時間も苦にならない。随分リラックスできるようになったと思う。
     おそらく、良いものを一緒に『創る』仲間として認識できるようになったからだ。『撮る』側の人たちを、自分たちの引き立て役と思っていたキッズモデル時代。あの頃の自分を思えば、それは可愛くない子どもだったろうと思う。おまけに、当時から自分以上に可愛げのない子どもだと思っていた男が隣に、……まさに今。仲良くすぐ隣に座っているなんて想像できただろうか。
    「で? どんなモノを見てそんな顔になったワケ〜?」
     横からスマホの画面を覗き込んできた泉は、画面を見るなり「ふうん」と声を漏らすとこちらを見遣る。
    「……何? 自分以外の男と仲が良さそうなのが嫌って? 嫉妬は醜いねぇ、チョ〜うざい」
     心底腹の立つ顔で言われて押し黙った。お前が言うな。……訂正。今も可愛げはない男だった。
     スマホの中には、SNSの画面。番組のゲストで一緒になったという若手の俳優のアカウントに投稿された写真だ。
     おそらくスマホで自撮りをするために顔を近付けて撮られた写真である。爽やかな好青年の隣には、キョトンとした顔で見上げる二つの色の瞳。微妙に目線がカメラからズレているところも愛しい。案の定コメント欄には、かわいいというコメントが目立つ。普段の無口でクールな印象と違い、ポヤポヤしているのがバレてしまっている。
     写真に付けられた『Valkylieの影片くん。オッドアイってカッコいいよな〜』という言葉も、好青年ぷりが際立つ。だがそれが余計に心にささくれを作るのだった。
     昔のみかならば、怖がって近寄らないタイプではないだろうか。
     たしか何かしらのスポーツをずっとやっていただかで、身体は大きい。185センチくらいあると聞いた気がする。体育会系見本のような感じで、声も大きい。昨今流行りの2.5次元の舞台にもよく出演していて、去年特撮の主演が決まり、テレビ出演も増えている今や時の人だ。守沢千秋をさらに一回り大きくさせたイメージだろう。
     確実に言えるのは、男のひとが苦手と言っていたみかが最も警戒するタイプのはずなのだ。それがこの距離感。どういことなのか。
    「そいつ、前に斎宮と同じ舞台出てたよねぇ? だから懐いちゃったのかもねぇ〜」
     火に油しか注がない泉を恨めしい眼で見つめる。しかし隣の男はもう興味をなくしたのか、自分のスマホでスケジュールをチェックし始めていた。
     ………とはいえ、分からないでもないのだ。
     昔のみかは『お師さん』の言うことに従うだけの人形で、自分が前に出て話すこともほとんどなかった。
     しかし今ではみかも立派な芸術家で、アイドルである。お師さんこと宗も普段は近くにおらず、個人の仕事もどんどん増えている。おのずと人と接する機会は多くなるので、人見知りをしようが結局はある程度は人と関わらなくてはならない。自分の言葉で喋ることは自然と増えているのだろう。
     だからといって、だ。
     それでも、人の後ろに隠れてオドオドしていたみかを知っている分、少し寂しくなる。
     一人で知らない人とすぐに仲良くならないで。人見知りをするみかを守っていたのは自分なのにと、そう思ってしまうのは、いけないことなんだろうか。

    「やだやだ、オンナの嫉妬コワ〜イ。過保護すぎるのも問題だと思うけどぉ?」

     ……お前が言うな案件、その2である。
     何でも見透かされていそうな泉は、どの面を下げてのたまうのか。いや、この顔か。美しい顔に免じてと、たとえ斎宮宗が許しても、こちらは許さない。
     人見知りが少なくなるのは良いことなんだけど……と小さくため息をついた時。件のみか本人からのメッセージ通知があった。
    「あら? みかちゃんからだわ」
    「何て言ってる? 嫉妬に狂うなるくんへの言い訳?」
     何故かドヤ顔で聞いてくる泉に、そんなわけないでしょ。とジト目になってから、メッセージを開く。
    「……え、やだ〜。ウソ〜〜っ」
     文字を読んだ瞬間に途端に機嫌を良くしたので、横で舌打ちされた。無視してすぐに返信を打つ。
    「ねぇ、聞いてェ〜! みかちゃん今日、この雑誌の撮影でここに来るんですって!」
    「聞いてないし」
    「アタシの愛が通じて、神様がみかちゃんを呼んでくれたのかしら〜」
    「だから……っ、聞いてないでしょ……っ!」
     都合の良い展開に浮かれて泉の腕を叩けば、先程は聴いてくれたのにすでに意地でもこちらを見ないように自分のスマホへ目を落としているのでさらに腕をバシバシ叩く。
     そのスタジオで今仕事をしていることを伝えれば、ちょうどこの撮影が終わった後に、同じここのスタジオでみかの撮影もあるらしい。
     運命としか思えない。ちょうど今日はこの後は何も仕事も入っていない。
     今のうちにみかを補充しなくては……。と先程までの顔が嘘のように、明るい表情で。呼ばれたスタッフの声に返事をして立ち上がった。


       *   *


     つつがなく撮影が終わり、スタッフが撤収の準備を始めた。
     ずっとここにいても邪魔になるだろうと、泉と共にスタジオから出て廊下を進んだ時だった。
    「あ、Valkylieの……っ!」
     そんな声が聞こえて、おもわず顔を見合わせる。二人で廊下の角を曲がると、ロビーには長身の男とみかの姿があった。
    「えっ……、んあ……、そうです……けど……」
    「だよね! えーと、ミカチャン! みかくん!」
     驚いた顔のまま見上げるみかより、かなり背が高い。こちらから見ると後ろ姿だが、背格好と声でその男が誰かも分かった。
     たまに同じファッション誌に載っているモデルの男だ。学生時代サッカーをやっていて、身長は180センチ台後半だったはず。先程のSNSの若手俳優にタイプは似ている。
    「……俺、あいつチョ〜苦手……」
     泉もみかの相手が誰か気付いたらしい。まだ向こうから見えていないのを良いことに、嫌そうな顔を隠しもせず呟いた。
     ……そう、先程見た若手俳優に、一見タイプは似ている。だが決定的に違うところがある。そこが千秋と仲の良い泉の中での、許容範囲の境目なのだろう。
     チャラいのだ。声も大きい上に、チャラい。パリピ見本である。
     千秋と、さらに夢ノ咲の三年生の時から仲の良い羽風薫もチャラいが、何せ声は大きくない。体育会系イメージもない。それに以前はチャラい感じだったがいつの間にかチャラさが落ち着き、最近ではただの爽やかイケメンにジョブチェンジしたまである。
     みかが最上級に苦手なタイプではと思った時には、もう大股で近付いていた。
    「俺、Valkylie気になっててさぁ。良かったら今後仲良く……」
    「ちょっと」
     ニヤつきながらそう言う男はみかの肩に腕を回そうとしているので、すかさずその腕を掴んだ。

    「いきなりみかちゃんに馴れ馴れしくしないでくれる?」

     ギリギリと指を食い込ませる程の力で掴んでいる腕は、みかの細い肩との対比で余計に太く感じる。しかし掴まれた腕の痛みに耐えかねて、男はすぐに一歩下がった。
    「なるちゃん!」
    「ごめんなさいね。この子人見知りなんで、仲良くしたいならまずはアタシか事務所通してちょうだい?」
     みかが名前を呼んでくれる。その声に安堵の色が混じっていて、男からみかを隠すように身体を割り込ませる。
     モデルやアイドル活動をずっとしているけれど、事務所通してという言葉が比喩表現でなくこんなに活きてくる機会などあまりないだろう。
     しかしValkylieはユニットのイメージもあるので、コズプロが外部の人間には写真や記事の掲載許可を下すとも聞いたことがある。今日の若手俳優のSNSは、良い宣伝になると思って許可したに違いない。金の匂いを感じた時のあの副所長の決断は早い。
     不敵な笑みで対峙していると、きゅ、と服の背中を指先で掴まれた感触がした。
     ……次に、身体を寄せてくる気配。
     それだけで、どれだけ幸福感に満たされるか。後ろにいるみかには分からないだろう。
     男は文句を言いかけたものの、すぐ近くまで泉の姿も見えていることに気付いて舌打ちしただけで立ち去った。
     元々反りが合わないのだ。今さら別に仲良くすることもない。無事に巨大な虫を追い払えたと思って振り返れば、今にも泣きそうな顔で眉毛を下げたみかが見つめてくる。
     その表情を見ただけで、心が震える。
     そう、この顔。
     自分しかこの子を守れないと思わせてくれる、この顔を。最近見ていないと思っていたのだ。
    「みかちゃん〜〜っ」
    「んああっ、なるちゃん〜っ! 怖かったんよおおきに〜っ」
     腕を伸ばせば、その隙間にみかの方からも飛び込んできてくれる。背中に腕を回し、収まりの良い身体をぎゅうぎゅう抱き締めた。
     しばらくそのままでいれば、ようやく安心したらしいみかから小さく笑い声が漏れた。
     我ながら、イイ性格をしていると思う。
     みかの成長を望みながら、見守りながらも、本心ではずっとこうして頼って欲しいのだ。
     ずっと人見知りのままでいて。ずっと後ろに隠れていて。
     ずっとずっと、背中をちょっとだけ掴んで。背中に身を寄せて欲しいから。
     こんなこと、引かれるしかないから、みかにも他の人にも。絶対に言わないけれど。

    「あ〜〜ん、みかちゃん可愛い〜〜っ!」

    「はいはい、人がいないとこでやんなよぉ〜。チョ〜うざぁい……」

     また以前のように後ろに隠れてくれたことが嬉しすぎて、髪に頬擦りをしてから唇を落としまくっていれば、ぐったりしたような泉の声が聞こえる。
     その後、みかの撮影を見学させてもらってから。
     一緒にご飯を食べに行き、若手俳優に負けじとSNSに上げる写真を撮ったので、
    『負けず嫌い怖すぎ』
    『何これ。自分だけが仲がいいって見せつけてくる感じ?ww』
     と、泉のみならず凛月からもコメントがあり、それに対して宗が書いたコメントが波紋を呼び、また炎上するまでさほど時間はかからないのだった。





    ──────────


    おしまい!!
     

     



     

     
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    進明歩

    MOURNING一年くらい前に誰に見せるつもりもなく書いた、茨くんお誕生日話を少し手直ししました。pixivへはフライングして別の誕生日話を投稿してしまったので、ポイピクに供養。
    ※タグは付けていませんがジュンひよも匂ってます。
    口調などおかしなところがあるかもしれません。
    前投稿作に絵文字を送ってくださった方がいらして嬉しかったです!見つけて、読んでくださって、絵文字まで!本当にありがとうございました!
    閣下はどこへきえた? これも虫の知らせというのだろうか。
     別にどうしても今夜中に伝えねばならない用件でもなかった。明日の午前中に予定されている雑誌の対談。その対談相手が急遽変更になった。凪砂のことだ、茨が相手の資料をまとめてさえおけば、現場に向かう車の中ですぐにインプットしてしまうだろう。
     それでも何故か今夜、凪砂へ伝えようと思った。いや用件さえも凪砂へ会いに行く口実かもしれない。

     
     二十二時を回っていた。凪砂はまだ起きている時間だろうが、同室人たちのことを思えば部屋を訪ねるには些か気が引ける時間である。
     控え目に部屋をノックするとすぐに返事があった。
    「はーい!」
     柔らかな声と共にドアを開けたのはUNDEADの羽風薫。不穏なユニット名の割に穏やかで面倒みのよい彼には、凪砂も多分に世話になっている。
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