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    きもいさん

    @kimoisan

    なんかできたら置いていきます。

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    きもいさん

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    イベントワンドロお題「空」でお話書きました!

    Webオンリーありがとうございました!!おつかれさまでした!

    #腐ラメモ
    #チャコアル

    どの空にだって、 抜けるような青い色。頬を撫でていく風。
     そして、暖かい陽の光。
     本当に空のようなひとだとチャコは思っていた。
     アルペックを見ていると、いつもそう感じる。どこが、というよりも、存在自体が。まるでこの広い空そのものだ。
     見上げる空は快晴。旅の途中、小高い丘の上でひと休みしていた。
    「あれはウサギやろ〜? あれは〜、うーん……馬! ほんであれが〜……」
     空を指差して聞こえる声に自然と唇が弧を描く。浮かんでいる雲の形が何に見えるかを言っているらしい。
     子どもの頃にはそんなことを言っていた気がする。成長してからもそんな風に自然に見えているアルは、きっとこの先、大人になっても老人になっても、子どもの時のままの純粋なこころを持っているのだろう。
    「……? チャコ、どげんしたん?」
     ふと名前を呼ばれ、我に返る。アルと違って空ではなくアルをじっと見つめていたからか、首を微かに横に倒し尋ねてくる。
    「いや、アルってホント、空みたいだなって」
    「え〜、なんかそう言われると嬉しいな! でも、どこがどんな風に? 自分じゃわからないからなー」
     カラカラと笑う声も心地良い。そうだなぁ、と呟くと、うんうん、と小さく頷きながら続きを促される。
    「着てる服の印象もあるんだろうけど。まず、青だよね。晴れた青空って感じ。服の青は天気の良い空の色で、髪の色は早朝とかの澄んだ空の色かな」
    「へ〜! それからそれから?」
     まず、と言ったのもちゃんと聞いてくれていたようで、どんどん促されるのも悪い気はしない。
    「あと、これも服の色もあるかなって話だけど、青の次は白かな。真っ白な雲のイメージ。フワフワした感じも、なんか『アル』っていう気がする」
    「オレそんなに柔らかくないけどなぁ……?」
     先ほどまで見上げていた雲にも例えると、キョトンとした顔で自分の腕や顔を触っている。そういうとこもだけどね、と心の中でつけ足す。
     何にも汚されていない、純粋な白。
     まっしろで、綿あめのようなきれいな存在。
     それはチャコの国の主をも彷彿とさせる。最初出会った時から思っていた。子どものように純粋なところが似ていると。だからこそ、アルにこんなに惹かれたのだろう。
    「あとは、目かな」
     短く言えば、こちらを見返す瞳と視線が絡み合う。

    「キラキラした金色。まるで太陽の光みたい」

     まっすぐこちらを見つめる瞳は、濁りのない金色。その色が、チャコを映している。
     優しく照らして、ぽかぽかと暖かく照らして。時に、ジリジリと焦げてしまいそうに、強く照らしてくる光。その色が、チャコを捉えて離さないのだ。
     陽の光はみんなを照らすけれど、その光を独り占めしたくなるのは悪いことなのだろうか。
     光が強すぎれば強すぎるほど、できる影の色も濃くなる。
     自分はその影なのだと思っているチャコには、どれだけ手を伸ばしても。どれだけ触れても。アルが手の届かないところにいるような気がする時があった。所詮自分は地上から見上げ、太陽に憧れ、空に焦がれる側なのだろうと。

    「んー、つまり……オレって、空のいろんなものになれるってことか!」

     日陰の焦燥など考える必要もないくらいの明るい声で、こちらの暗い気持ちが遮断された。
     我に返ると、変わらずまっすぐな金色がチャコを映している。
    「一人何役もって大変やけん、でも頑張るな!」
     前向きな言葉に、毒気を抜かれる。
    「オレが空になるんなら、きっとそのうち飛べるのも遠くないけんね」
     真に受けるどころか、チャコの言葉を疑うことなく信じてくれる素直さに、勝てないなぁ……とおもわず笑ってしまう。本当に、こういうところが自分と圧倒的に違う。だからもっと欲しくなってしまうんだろう。
    「あ、でも一人で全部やるの大変そうだから、チャコは雲やってな!」
     クスクス笑っている間に急に振られて、おもわず驚いて目を瞬かせる。
     雲……? と言われた配役に怪訝そうな顔になるのは仕方ない。
    「いやいや……俺じゃ灰色みたいだし、雲ってイメージじゃないよね」
     チャコのイメージは、雲といえば真っ白である。前述の通り、アルや、主のような。汚れのない、白。
     そう思うので自嘲気味に呟くのに、アルは言われた意味を考えて、しかし二秒後にはもう笑顔になった。
    「でも曇ってる時とか雨の時は、灰色の雲やけん」
     そう説明してから手を伸ばしてくる。
     チャコの手を取り、もう片方の手は真上の空を指さした。

    「だからチャコも雲!」

     何も臆することなく、まっすぐに言い切られた。
     嬉しそうに細められている金色は、まさに太陽だ。眩しすぎて、強すぎる光に眩暈がする。
    「勝てないなぁ……」
     元より勝負する気すらないのだけれど、それでも拭いきれない敗北感がいっそ清々しい。
     空は手の届かないくらい高いところにある。しかし、常に頭上にはいてくれるから。

    「一緒に空、頑張ろうな〜!」

     上機嫌で立ち上がるアルに吹き出す。
     そういう話じゃなかったんだけどね? と笑いながら、仕方ない体を装ってチャコも立ち上がるのだった。





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    きもいさん

    DONEフラメモWebオンリー開催おめでとうございます!
    メロルドさんの特技の『聴覚が鋭い』って文字を目が認識したと同時に、絶対ハルリットくんのピアノの音の些細なことも気がついちゃうやつやん!!

    って大興奮したよってお話です。
    キャプ長…😇😇😇😇
    【ルドハル】音が教えてくれるもの 心地よい音色。
     紡がれる旋律。
     澄んだ音は、まるで踊るように弾み、躊躇いもなく続いていた。

    「ふふ……。見事ですね、ハルリットさん」
    「本当に。特技とは言っていたけど、へぇ〜。こんなに上手いと思わなかったな」
     旅の途中、マロンクリーム王国のはずれにある古城にレッドブーケの騎士たちは滞在していた。
     城の近くまで来たのはまだ日が傾く前だった。城の主であるこの地方の領主にロマリシュが顔を見せに行くと、この先を進んだ山間の村はこの時期は皆で出稼ぎに出ていて、住人がほぼいないと教えてくれた。夜に休める場所もないかも知れないとのことで、今夜はこの城で泊まってはどうかと打診してくれたのだ。
     夕飯にはまだだいぶ早かったので、領主がお茶に誘ってくれた。皆で話している間にピアノがあることを知ったハルリットが、自分の特技だと笑顔で言うので、領主も喜んでいた。
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    きもいさん

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    って大興奮したよってお話です。
    キャプ長…😇😇😇😇
    【ルドハル】音が教えてくれるもの 心地よい音色。
     紡がれる旋律。
     澄んだ音は、まるで踊るように弾み、躊躇いもなく続いていた。

    「ふふ……。見事ですね、ハルリットさん」
    「本当に。特技とは言っていたけど、へぇ〜。こんなに上手いと思わなかったな」
     旅の途中、マロンクリーム王国のはずれにある古城にレッドブーケの騎士たちは滞在していた。
     城の近くまで来たのはまだ日が傾く前だった。城の主であるこの地方の領主にロマリシュが顔を見せに行くと、この先を進んだ山間の村はこの時期は皆で出稼ぎに出ていて、住人がほぼいないと教えてくれた。夜に休める場所もないかも知れないとのことで、今夜はこの城で泊まってはどうかと打診してくれたのだ。
     夕飯にはまだだいぶ早かったので、領主がお茶に誘ってくれた。皆で話している間にピアノがあることを知ったハルリットが、自分の特技だと笑顔で言うので、領主も喜んでいた。
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