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    kawauso_gtgt

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    下書き。書き初め探占。hmhjmないで初詣に行く

    #探占
    divination

    ゆらゆら、とぷん。
    薄暗い水底に沈んでいた意識がゆっくりと引き上げられる。うっすらと重たい目蓋を開けるとぼやけた視界に己を起こそうと躍起になっている同居人の姿が映った。
    嗚呼、どうやら自分は炬燵で眠ってしまっていたようだ。
    寝落ち特有の気怠さからノートンはもう一度卓に頭を突っ伏す。少しだけ首を動かし腕の隙間から覗いた先には几帳面に積み上げられたみかんの山と、その隣に転がる中途半端に皮の剥かれたはぐれものが一つ。
    その隣に並んだ度数の割に飲みやすい! とCMで最近よく見かける缶チューハイの空き缶を眺めながら、ノートンは自身が寝落ちる前の記憶を思い返していた。
    そういえば、寝落ちる前に食べようとしたんだっけ。
    ぼんやりと右往左往していると思考を引き戻すように、同居人──兼恋人であるイライ・クラークは再度ノートンの腕を掴んで小さく身体を揺すった。
    「ノートン、ノートン。起きて」
    「……眠いから嫌」
    「炬燵で寝るのは身体に良くないよ。それに外を見て、雪だよ。ほら」
    「うわ、最悪……」
    思わず本音が溢れてしまったのは仕方のないことだろう。
    イライが指差した窓の外ではしんしんと降り積もる白い雪。眠る前は降っていなかったはずなのに、道理で身体の芯から寒さを覚えるわけだ。
    「……それで、どうしてそんなものつけてるのかな」
    そんなもの、とノートンが指したのは手袋やマフラー、それから年末に買ったばかりの防寒性の高いアウターだ。
    まるで今から外に行く人のようじゃないか。
    嫌な予感を覚えながら疑問を投げ掛ければイライは不思議そうな顔をしてその問いに言葉を返す。
    「どうしてって……初詣、行くだろう?」
    さも当然と言った口調で告げるイライにノートンはうげ、と嫌そうな表情を隠しもせずに答えた。年を越したばかりの初詣など、人で溢れかえっているに違いないのに、なぜわざわざそんな中を出向かなければならないのか。
    「嘘でしょ……? まだ年越したばっかりなのに」
    「だからだよ、行こう」
    信じられないと言わんばかりの声色で聞き直してみたところでイライの意思が変わることはなく、早く行こうの一点張りだ。嫌だ、行こうの不毛なやりとりを繰り返している内に思い出した。こうなったイライは梃子でも譲らないことを。妙なところで頑固な男だと溜息混じりに首を縦に振る。
    「わかった、分かったから。行けばいいんでしょ」
    ここは自分が譲るしか選択肢はないのだ。半ば投げやりにそう言い捨てるとゆっくりと炬燵から抜け出す。炬燵布団から両脚を引き抜いた瞬間全身に襲いかかる冷気に帰巣本能が刺激されるも、隣に居座る男がそれを許すはずもなく。重たい身体を引きずりながらクローゼットからアウターを引っ張り出して連れられるままに玄関に向かった。

    窓の外で降り注いでいた雪が降り止むことはなく、さくさくと歩いた端から出来ていく足跡を次から次へと埋め尽くしていく。新雪の絨毯に飛び込んで、年甲斐もなくはしゃぐイライに、ノートンは堪らずため息を吐いた。
    「なんでそんなに楽しそうなの……」
    「えっ、そ、そんなことないよ!」
    「もうちょっと隠して言えないわけ」
    まるで童謡に出てくる犬のようだ。コートの裾に白い雪を貼り付けながら振り返るイライが反論の声を上げるが悲しいかな。その手に握られた雪玉を見てしまえば説得力は皆無だ。最早ノートンには今のイライの姿は雪まみれの小型犬が飛び跳ねているようにしか見えなかった。

    少しずつ増えていく人混みにイライも少しだけ人目を気にし始めたのか。先程までは一人突っ走っていたというのに殊勝にもノートンの隣をひょこひょこ歩き出す。
    「うわあ、結構人がいるね」
    きっとみんな考えることは同じなのだろう。神社の混み具合は案の定といったところだった。新年を迎えたばかりだというのに神社の入り口は自分たちと同様、近場に住んでいるのだろう人達で溢れかえっていた。道中すれ違うのは部屋着に厚手のコートを羽織って歩く人達や、面倒だったろうにきちんと着付けをして立派な着物を身に纏い草履を鳴らして歩いている人の姿。ノートンはポケットに両手を突っ込みながら器用にもそれらをするりと避けていく。隣で「わっ、まっ、待ってノートン……はやい」なんて喚く男の声は聞こえないふりだ。「あ、えっ、もしかして聞こえないかな……ノートン? あっねえ! ノートンってば」聞こえない、ふりを……。
    「……声がでかい」
    「あっよかった。君ってば足が早いんだもの。見失っちゃうかと思ったよ」
    よかった〜! とほけほけ呑気に話しかけてくる男に舌打ちしそうになるのを堪えてその手をがしりと引っ掴む。それからその手を覆う邪魔な手袋を剥いで、自分のそれと一緒にまだひんやりと冷たいポケットに突っ込んでやった。
    これで少しはおとなしくなるだろうと願いながら。
    「さっさといって、帰るよ」
    「うん、ねぇ。君の手、あったかいね」
    自分でも分かるくらいに冷え切っている手に触れておいて一体何を言っているのか。奇妙なものでも見るかのような視線を浴びながらイライは口元を緩める。ほんのりと頰が赤いのは、寒さのせいか。それとも別の理由なのか。ノートンには分からない。けれど少しだけ興が乗ったのもまた事実だった。
    「……」

    「駄目だよ、ちゃんとご挨拶しなきゃ。それからお願いも」
    二礼二拍手、それから一礼。神なんてたいそうな存在を信じてなぞいないがそれくらいの常識は持ち合わせているつもりだ。
    「……お願い事って、人に言っちゃうと叶わないらしいよ」
    「えっ」
    「嘘だけど」

    「あっ、もうノートン……!」


    「コレも買っといて」
    「え、ああ……なに、をっ!?」

    「ん、帰ろ」



    「ちょっと、待ってくれ……ッ、そんな、急に」
    「イライさんのお願い、聞いてあげたんだから今度は僕のも聞いてくれるよね」
    「ッ、それは」

    お人好しもここまで来ると心配になる。

    「僕は欲しいものもしたいことも、自分で全部掴んで見せるから」
    「っ、あ……待って、先に、シャワー」
    「……そういうとこ」

    「ッ」
    「はやく入ってきて。あんまり遅いと寝ちゃうから」
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    kawauso_gtgt

    PROGRESSモグ束と言ってるけど今回喋ってるのは土竜と猟犬。全ては此処から始まった。
    土竜が束縛者を引き取るまでに至る過程

    精神病院組と同じ顔の人達が存在する世界線。
    お得意の愛想笑いが崩れそうになるのをぐっと堪える。残念ながら目の前の男には通用しなかったようだが。お得意様、といえば聞こえはいいが、言ってしまえば厄介事を持ち込んでくる腐れ縁と言った方が的確だった。やれ最近違法武器を流している商人の足取りを洗えだの、やれ表じゃ禁じられた薬とやらをばら撒いている組織の裏を取れだの。土竜が一介の商人に依頼する内容にしては些か荷が重いと苦言を呈したのは一度や二度のことではない。とはいえそれ相応の報酬を寄越してくるからタチが悪い。それを理解してやってくる猟犬は勿論のこと、何よりそれで納得してしまう自分自身にも土竜は辟易していた。少しのリスクがあろうとそれを帳消しにするくらいのリターンを提示されてしまうとどうにも心が揺らいでしまう。いつだったかそのうち身を滅ぼすぞと苦言を呈されていたような気もするが、なんだかんだでいまだに土竜はこうして図太くも商売を続けることが出来ていた。悪運のいいやつとはよく言ったものだ。
    1538

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    REHABILIとある荘園で、来るかもしれない日のこと。
    (探占/匂わせ/解釈多様)

    古びた館の、とある一室。
    部屋の主の神経質すぎるくらいに几帳面な性格が滲み出た部屋の隅、屑籠の底。
    ぐしゃぐしゃに丸められた一枚の羊皮紙が捨てられていた。
    酷く強い力で握ったのだろう。手紙の差出人の名前は赤黒い染みが滲んでいて読むことはできなかった。
    x月x日、未明。拝啓 

    ノートン・キャンベル様

    正直なことを言うと、こうして人に手紙を書くだなんて久方ぶりなので何から書いたものかと迷っています。
    けれど、荘園(ここ)を脱出するにあたって、たった一人にだけ手紙を送ることができると言うことだったので。最後に君に何かを残せたらいいなと思い、今私はこの手紙を書いています。

    今更何を言おうっていうのかって、君は怒るかもしれない。いや、かもしれないじゃなくてきっと怒るだろうね。偽善も大概にしろ、なんて眉間に深い皺を寄せて、引き攣った笑みを浮かべてそう言うんだろう。
    私だってそれなりに君とは長い付き合いになる。それくらいはもう分かるさ。君って案外分かりやすいから。

    あっ、今手紙を握りすぎて皺ができたでしょう。最後までちゃんと読んでくれないと、困ってしまう。
    1757

    kawauso_gtgt

    REHABILIモグ束探占
    家出のそのあと
    書けない、書きかけだからちゃんと書いたらあげ直す

    リハビリ、しりきれとんぼ
    「……やっと寝た」
    何かから身を守るように両膝を抱え込んで安らかな寝息をたてて眠っていた。すっかり冷え切った頰に手を当てて溜息を吐く。
    何を聞いたのか知らないが突然失踪まがいな行動を起こすのは勘弁して欲しいものである。
    居るはずの人間の姿がなくなっていたときの心地はそうそう愉快なものではないのだから。猟犬との話を終えて自室に戻る道中、様子見がてら覗いた部屋がもぬけの殻だった時の心情を思い出した土竜は思わず額を押さえる。肝が冷えたとはまさにあのようなことを言うのだろう。
    最初(はな)から一筋縄でいく相手ではないとは思っていたが。どうやらあの白饅頭の心の奥底に住み着いた影は中々食えない存在だったようだ。会ったこともない相手へと対抗心を燃やしている自身に気付くと土竜は一人不満げに鼻を鳴らす。一人相撲など、らしくない。
    「ばかなやつ」
    それは己に対してか。それとも目の前の小さな生命に対してか。はたまた厄介な因縁の種を残していった、己と同じ顔をした人間に対してか。果たして。
    「……本当、馬鹿な奴」
    ライトのついた黒帽子をサイドテーブルに静かに載せる。冷たい室内で爛々と輝く灯りに照らされた寝顔は酷 1715

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    PROGRESSモグ束(おか束+モグ月前提&おか、月は故人)
    モグに惹かれてる事実とおかのことを自分だけは忘れちゃいけない罪悪感に苛まれて限界な束が爆発する話を書きたかった。拗らせすれ違い両片想いが好きすぎた。

    あとおかが死んだと頑なに認めない束に事実を突きつける土竜が書きたかったなどと供述しており…
    真っ暗な部屋が好きだった。
    此処にいれば誰にも痛いことをされたりしないし、理不尽に怒りをぶつけてくるような人もいない。点々と、少しだけ空いた隙間から差し込む光はまるで、いつか絵本の中で見たオホシサマのようで。閉ざされた世界を照らしてくれるそこは、いつだってイライの心の拠り所だった。
    冷たい床に転がって、暗い夜の海に意識を遊ばせていると、フードに覆い隠された耳がよく聞き慣れた足音を捉える。軽やかな足音は一歩、一歩と近づいてくると、イライのいる部屋の前でぴたりと止まった。かちゃりと開いた扉へと視線を投げると、何事もなかったかのようにイライはもう一度天井を眺める。
    扉が閉まると同時、近づいてきた影が上からイライを覗き込んで、それから数秒。地面に横になったイライの隣に、影が蹲み込む。鼓膜を震わせる声は、すっかり聞き慣れたあの子の声だった。
    「やっぱり此処にいた」
    「……どうして分かったの?」
    イライが首を傾げるのも当然のことだ。だって此処は院内の誰も知らない筈の場所。否、もしかすると気付いている人間もいるのかもしれないが少なくともイライが自らこの場所を誰かに明かしたことはない。誰も知らない、自 3152

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    MOURNINGセフレ探占の書き下ろしに入れようとしてたんだけどマイクモが難しすぎて(?)お蔵入りになったのでここに供養。いろいろあったからノは月相の衣装が好き(弊荘園設定)◇extra game

    「は〜疲れた〜!!」
    もうボクくたくた! 
    大声でそんな泣き言を言いながら隣を歩く男を一瞥すると、ノートンはぐるりと肩を回す。
    それはこちらの台詞だ。
    思わず声に出しそうになるのをなんとか堪えてため息を吐けば、それを同意と受け取ったのか。新たに荘園へとやってきた曲芸師の男──マイク・モートンは瞳をぱあっと輝かせてノートンの腕を掴んで上下に振る。
    「やっぱりキャンベルさんも思った? 思ったよねぇ! だって今日ぜぇんぶ一緒の試合だったもん!」
    数秒前までは疲労を滲ませていたかと思えばモノクル越しの瞳にぱあっと喜色が浮かぶ。ころころと変わる表情はステンドグラスのようだ。この荘園にあって異色な性格(キャラクター)の男にノートンは随分とまた忙しい人間が来たものだと思う。
    つい先日、マイクはこの荘園へとやってきた。元はどこかのサーカスの出らしい彼の自己紹介はどこか人懐っこさが拭きれない。荘園で暮らす彼らが警戒を緩めるのはそう難しいことではなかった。元より周囲の歳上に可愛がられていたこともあるのだろう。女性陣だけでなく、ノートンやカヴィン、果てはライリーにまで臆することなく 3122

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    PROGRESSこんな感じになる予定深く深く、薄暗い水底へ沈んでいた意識がゆっくりと浮上する。まるで羊水に包まれているかのような感覚は、目覚めを拒みたくなるくらい心地がいい。
    いっそ、このままずっと、眠ってしまおうか。
    そんな考えを察したかのように、緩やかな拘束が四肢を絡め取っていく。
    「……あさ」
    昨晩酷使した喉から出た声は、思った以上に掠れていて。とても他人に聞かせられたものではない。
    「……朝だ」
    もう一度、噛みしめるように同じ言葉を繰り返す。それからもう一度眠りに落ちる準備とばかりに肩までシーツを引き上げて目を閉じた。
    「……まだ起きなくてもいいよ。どうせ今日はみんな休みだ」
    耳元で聞こえる声も、未だ覚醒していないのだろう。己同様舌足らず調子のそれは、どこか幼い。背後から腹部に回された腕は、どこにも行かせないとばかりにイライの身体を締め付ける。少しだけ窮屈で、けれどそれすらも今となっては心地がいい。緩む口元を隠しきれないでいるイライに気が付いたのか。ノートンは首筋に顔を埋めながら呟く。
    「……随分とご機嫌じゃない」
    「そう見える?」
    「そうだね。まぁそもそも貴方の普段の朝の様子なんて知らないけど」
    ノートンの言葉 2330

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    MEMOこいぬちゃんぐさんの月蝕の元ネタだったやつ
    血族に売り飛ばされた🔮のるろ月(探占)
    売られてなどいない。自分で来たのだと言い聞かせる。
    愛しいあの子よりも自分が犠牲になる方がマシだと脳の中で繰り返す。

    🔮の住む集落の近くには血族の住まう森があった。不干渉。互いに見て見ぬふりをすることで薄氷の上を歩くような危うい均衡を保っていた。
    しかし、それは血族の気まぐれによってあっさりと瓦解した。
    血族の要求は簡単だった。村の中から誰でもいい。男でも女でも構わない。ただ、若者の方が良いが、生贄を出せ。
    身体を作り替えて、餌として飼う。
    もし出さないようであれば、ここに住まうものを皆殺す。
    理不尽な要求に村人は頭を抱え、村で1番美人な娘という意見が出たが、その女は村で1番の権力をもつ者の娘だった。
    娘を出す訳には行かない父親は、娘の恋人に白羽を立てた。
    親族のいない🔮は都合が良かったのだ。誰もが同意し、🔮は着たことのないほど豪奢な、まるで花嫁衣装のような白い服を着せられ、追い出された。
    血族の餌になる恐怖と見捨てられた悲しみ。🔮は震える手を祈るように握りしめて、古く草臥れた館の中に入る。
    🔮「…ご、めん下さい。要求の通り、参りました。」
    震える声で呼びかけるが、しんっと 1738

    recommended works

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    PROGRESSここからすけべに発展するなんて誰が思っただろうかの探占今日のハンターはどうにもやる気がなかったらしい。
    一人黙々と暗号機を回していれば無線越しに聞こえてきたのはなんとも気の抜けた鼻唄とその向こうできゃっきゃと騒ぐ味方の声。ハンターと馴れ合う気などさらさらないがそれならそれで都合がいいと次から次へと暗号機を解読して脱出を果たしたのが今朝のことだった。朝一番の試合がそんなだったおかげでまだ昼前だというのにどうにも小腹が空いて仕方がない。見つかれば叱言を言われるだろうと思いつつも腹の虫を放って置くこともできない。出来ることならば誰にも会いたくないと思いつつも、ノートンの足は自然と食堂へ向かっていた。
    「イライさんの婚約者さんってどんな人なの?」
    食堂の扉を開けた瞬間聞こえてきた声に、ノートンはぴたりと一瞬足を止めた。それから声のする方へと視線を向けて、再び歩き出す。
    「え、ええと。私の話なんて別段面白くないと思うよ」
    「そんなことないよ! ボクも聞きたいなぁ、あ、話したくなければ無理にとは言わないけど!」
    どうやらノートンの予想は大外れだったようで、食堂には既に幾人かの先客がいたようだった。ノートンと同じように小腹を満たしにきたのか、個別で席に 1465

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    MOURNING土竜とやこうふくろうの探占「……! ノー、」
    扉の隙間から覗く部屋の主にの姿を前にして、イライはその名を呼ぶことはできなかった。
    「……」
    積み重なる書類に、険しい表情。時折眉間に寄った皺を揉みほぐしながら空いている手は書類の上を滑っていく。彼が遊んでいるのではない、というのは一目瞭然だった。
    イライとてノートンがこなすべき仕事を全うしているだけだというのは十分に理解している。それを自分が邪魔していい道理があるはずもないということも。それでも、やはり。自分を見つけてくれた唯一の存在を、欲してしまうのはいけないことなのだろうか。イライにはまだ、分からなかった。ずるずると扉の前でしゃがみ込む。布越しに伝わる床の冷たさに小さく身震いをして、両膝に顔を埋めた。
    「つまらない、な……」
    力ない声が唇から溢れ落ちる。薄暗い廊下の果て、それは誰に届くこともなく静かに消えて見えなくなった。
    ***
    「……嗚呼、もうこんな時間か」
    ふっと沈んでいた意識が浮上する。まさか自分ともあろうものが意識を飛ばしていたとは。知らずのうちに無理をしていたのかもしれない。残りは明日でも構わないだろう。暖炉の火もほとんど勢いをなくしてすっかり冷 1029

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    PASTSS再掲。優しい探占。ゆらゆらと頼りなく揺れていた蝋燭の明かりが今まさに消えようしていた夜更け過ぎのことだ。
    今日も今日とて試合に引っ張りだこで疲れ切っているというのにも関わらず、暫く前から部屋の前で立ち尽くす気配にノートンは堪らず声を掛けた。
    「誰」
    「……ノートン」
    「……イライさん?」
    苛立ちを露わにした声に返ってきたのはなんとも弱々しい呼び声で。その声に毒気の抜かれたノートンは、チェアから腰を上げると扉の向こうをじっと見つめる。いまだに開けることを躊躇っているのか。それでも開かれる気配のない扉に、ノートンは先程よりも幾らか柔らかい口調で声を掛ける。
    「いいよ、入って」
    その声を受けてがちゃりと開かれた扉の先にいたのはイライだった。自室へと置いてきたのだろうか、いつもの定位置であろう場所に相棒の姿はなく、どうやら身一つで此処へとやってきたようだ。
    (それにしても、なんというか)
    明かりもすっかり消えてしまって月明かりしか照らすものがないとはいえ、その顔色は酷く頼りない。ふらりふらりと部屋へ踏み入るその足取りさえも思わず心配になるほどに覚束なかった。堪らずこちらに辿り着く前にその腕を引いてすっぽりと身体 1918

    kawauso_gtgt

    MEMO殴り書き
    現パロ探占(♀)の話。
    大学院生探×高校生占でギリギリ健全に付き合っている幸せ時空の話。一言でいうと真面目で穏やか、優しくて清楚な占さんが年上の探によって自分好みのえちえちな女の子にさせられてしまう話。
    この世界の探は一応周囲の良心(例 某サベ・カヴィetc…)らによってそれなりの情操教育がなされているため高校卒業するまでは手を出さないぞタイプ。
    鋼の精神で本番はやってないけどちょっと触れ合ったりぎゅーってしたりはしているおそらく。幼馴染み設定なのでよく探の部屋に上がり込んでは入り浸っている。横になってる探の上にごろんとのしかかってきたりを恥じらいもせずにするのが目下の悩み。占が人の気も知らずにくっついてくるのでどうしようかと同じゼミのウィに相談したら「滝行でも行ってきたらどう?」って言われて大暴れしかけた、滝行は行ったけど煩悩は消えなかった。
    たまにふらっと占のこと迎えに行ったりするのでクラスではよく噂になっている。
    余談だが占に恋してたモブ同級生は探に向かって駆け出していく占の姿を見て撃沈、次の日周りの同級生に慰められてたらしい。ちなみに風でめくれたスカートの下に見えた下着は探が誕プレにあげたやつらしい。どんなやつかはご想像にお任せします。でも真面目ちゃんがどえろい下着着てたら激アツだよって偉い人言ってました。わたしもそう思います。

    無意識ほんと困る…って漏らしてる探をやれやれと 535

    sangatu_tt5

    MEMOモグ🧲と結晶になる🌙🔮のモグ月/探占何かしらのタイミングで予知能力があり、一定年齢に達すると肉体が結晶化する🔮を見つけた🧲
    全身が結晶化する直前の予知は100%当たると言われているため、予知のパフォーマンス後結晶化した肉体を売ろうと囲いこみ、最低限の暮らしをさせるつもりが「そんなでは綺麗な結晶になれない」と言われて、渋々🔮を丁寧に扱うことになる。
    🔮自身は結晶化するのは運命なので、結晶化した後、売られることもあまり気にしてはいないが、ずっと人里離れた山奥で暮らしていたため🧲を利用して色んな景色が見たいと行動する。
    仕事!金!のみで生きてきた🧲は🔮に付き合って無駄な時間と人間らしい生活を取り戻していく。
    朝起きれば「おはよう」といわれ、食事が用意され、陽の光の元を歩き、見ても金にならない景色を眺める。
    そうやって半年程暮らせば情もわく。
    🧲がたまたま🤹‍♂️にサーカスのチケットを貰ったため、きっと🔮なら喜ぶだろうと誘えば、珍しく🔮は断った。
    どうかしたの?と問えば、良かったねと返ってくる。
    🔮「結晶化が始まったみたいだよ、オークションの準備をしなきゃね?」
    🔮の指先が氷のように冷たく、硬くなってい 1844