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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    エガキナ

    認可信号組、高校時代の話

    ##エガキナ
    #認可信号組
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    シンデレラ みんなの視線が突き刺さるような気がする。琥珀はもうすぐ来る学園祭の準備で、慌ただしい廊下を歩きながらそう感じていた。今の琥珀の格好は普段の制服……なのではなく、劇で着る衣装だった。その劇で姫役を演じる事となった琥珀は、最後まで拒否をしたが女装する事になり、別室で着替えているであろう王子役の創と合流する為に廊下を歩いている、という訳だ。
     やたらと周りの生徒が琥珀を見るのだ、正直に言うと居心地がわるいが、慣れないドレス姿のため、歩くのにやっとなのだ。流石に男が女の格好をしているのだ、そら気持ち悪いだろう、と思っていると、丁度前方に鈴鹿の姿が見えた。鈴海の姿にほっとしつつ、声をかけた。

    「鈴鹿、お疲れ様」
     琥珀がそう声をかけた時、顔を向けた鈴鹿は一瞬だけ固まると口を開く。
    「うわぁ可愛い格好。お前それでこっち来るな。食われるぞ」
    「は?」
     食われるってどういう意味だ、と言わんばかりに眉をひそめて首を傾げる琥珀。琥珀は全く気づいてなかったのだが、周りが琥珀を見ていた理由は、その可愛らしさだった。
     鈴鹿より小柄な身長、髪はウィッグを被っているが、鎖骨あたりまである。化粧をしているわけじゃないのに、顔立ちが元からいいからか、思わず見とれてしまう。雰囲気から伝わるように、よく似合っていた。周りがチラチラと見るのがわかる、周りの視線に気づいていた鈴鹿はさりげなく琥珀の隣に移動した。
    「は? ではない、王子どこよ」
    「多分教室の隣の空き教室だと思う」
    「あー、あそこね。ひとつ言うけど、男子校の可愛い男の子は赤ずきんだからな、一人で出歩くな」
    「赤ずきん?」
    「……」
     よく分かってなさそうな琥珀の反応に、口元が引き攣りそうになったが、歩きにくそうな琥珀の様子を見て鈴鹿は手を差し出す。琥珀は最初分からなかったが、少ししておずおずと手を重ねる。
    「……ごめん」
    「別に、歩きにくいだろその格好」
    「歩きにくいけど……これ、鈴鹿が選んだんだろ? ありがとう」

     琥珀はそう言って笑う。最初姫役をすると聞いた時、女装する事に難色を示したのだ。女物と聞くと露出が高いのでは、と懸念していた。特に、左腕には虐待の跡がくっきりと残っている。それに関して、裏方として参加していた鈴鹿がさりげなく用意した、というわけだ。
     鈴鹿は琥珀の虐待の跡を知っていた、それゆえの行動なのだろう。それに感謝していた。鈴鹿は何でもなさそうに言いつつ、空き教室へと着いた。
    「創、入るぞ」
     鈴鹿がそう言って入った時、思わず二人は固まる。
    「あっ……ちょっとまって! 無理……入らん!」
     そこでは、サイズが恐らく合ってなかったのだろう、パツパツの状態の創がいた。ズボンのサイズも合ってないからか、くるぶしが丸見えだった。髪型だけは、胸まで伸ばしている綺麗な金髪を白いリボンで結んでおり、そこだけは様になっていた。隣にいた琥珀が思わず吹き出し、笑いすぎでしゃがみこんでしまう。鈴鹿は呆れつつ、口を開く。
    「何? 太った?」
    「太ってねーわ! サイズ合ってないだけ! 今脱ごうとしてるの! 別のサイズ持ってくるの待ってるの! 琥珀笑うな!」
    「いや、笑うなって無理……ふふっ……」
    「こーはーくー! てか女装似合うな!? 綺麗だな!」
    「創ごめん! 服持ってきた……うわ、灰野? めっちゃ似合うじゃん」
     そうしているうちに他の生徒が衣装を持ってきてくれた。未だに服が脱げていない創に対して、鈴海が他の生徒と手伝ってなんとか脱がせて、衣装を着せた。今度はサイズがきちんと合っているからか、先程のようなパツパツとした様子ではない。創も顔立ちがいいからか、金髪と衣装の白基調が相まって、物語に出るような王子、だった。

    「創似合うじゃん」
    「俺だからね!」
    「はいはい……」
     琥珀が呆れつつ創の隣に行く。持ってきた台本を広げて創と話していた。その様子を見ていた生徒は、鈴鹿に話しかけた。
    「灰野、男だってわかるけどさ……。なんかあんな二人がお似合い、って言うんだろうな。あの二人のいる空間キラキラしてるじゃん……」
    「……そうだな」
     そんな時、創が後ろを振り向いて鈴鹿に話しかける。
    「鈴鹿、練習見てくれねー?」
    「いいよ」
    「なら……ここから」
     三人とも、琥珀が持ってきた台本を見ながら話しつつ、他愛もない話をしたのだった。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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