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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    認可信号組、高校時代の話

    ##エガキナ
    #認可信号組
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    あの時の言葉 放課後、創と鈴鹿は教室に残っていた。先生に呼ばれた琥珀を待っていたからだ。教室の窓からはグラウンドが見え、サッカー部や野球部、グラウンドの向こうではテニス部が練習をしていた。暇つぶしにそれらを眺めつつ、創は横目で鈴鹿を見る。
     御手洗鈴鹿、あの水彩画で有名な御手洗家の一人息子───なのだが、創は絵には詳しくないため、そこまでしか知らない。そもそも、興味が無いと言ったら言葉が悪いかもしれないが、その色眼鏡で鈴鹿に話しかけたつもりもない。
     それは琥珀も同じらしく、お互いに鈴鹿は鈴鹿という気持ちで話しかけていた。だからかは分からないが、よく他の同級生から自分達と創達との態度が違うとよく聞く。創も琥珀もその言葉に首を傾げる、自分たちと話す鈴鹿は、クールだがよく笑っているからだ。

     話が逸れてしまったが、創は鈴鹿の横顔を見る。たまに鈴鹿は何か悩んでいるような、そんな一面を見るのだ。鈴鹿からはそれとなくだが、どうやら水彩画の才がないらしく、そのせいで家とも上手くいっていないらしい。放課後一緒に遊ぶ時、家に帰るのをどこが渋ってるようにも見えたことがあったからだ。
     鈴鹿に才能がない、創にはそうは見えなかった。そもそも、そういうのは勝手に周りが決めることではないだろう。
    「鈴鹿、溜め込んでるなら吐き出したら?」
     勝手に言葉が出ていた、突然そんなことを言われた鈴鹿は驚いた顔で創を見る。創は鈴鹿の顔を見たまま黙る。鈴鹿の事だ、そんな事ないとか言うのだろう。
    「……何言ってんだよ、そんな事……。……」
    「……。ここには俺しかいないけど?」
    「…………」
     少しの沈黙、鈴鹿はポツポツと少しずつ話始めた。話の内容をまとめると、やはり創の予測していた通りだった。自分の両親は、鈴鹿の家みたいになにか有名で、というわけではないが、両親が創に対して創務省に入るのを望んでいるからか、毎回その話題をしてくる。ここの高校を選んだのも、琥珀が心配だったのもあるが、寮があったため、少しでも親元から離れられると思ったからだ。自分でも、それだけでも辟易するというのに、鈴鹿はそれ以上に心苦しくなるだろう。それをずっと、耐えてきたのだろう。
    「……俺はねぇ、水彩画のことは何も分からないけど……。鈴鹿に才能がないとか、俺は思わないよ」
    「……」
    「……小説も一緒、ジャンル沢山あるわけじゃん? 俺と琥珀はファンタジー系書くけど……。……色んな絵を試してみたら?」
    「……色んな絵」
    「そうそう!」

     そう言って創は席を立つと、窓を前にして鈴鹿を見る。夕焼けの光が、創の金髪を赤く染めた。鈴海は思わず目を細める、創が前に立っているのなら、眩しくないはずなのに、とても眩しく見えたのだ。
    「お前さ、描くのは嫌いじゃないんだろ? 水彩画描く時の鈴鹿は苦しそうに見えるけど……水彩画だって事を除けば、描く自体は嫌いになってないように見える」
    「……それは分からん」
    「あはは、そっか。だからさ、俺から言わせると、諦めるな。これからも、お前に色んな事を言うやつがいるだろうな。けど、だからって諦めるな。俺と今ここにはいないけど、琥珀がいる。俺らは絶対、鈴鹿にそんな事言わない」
    「……創……」
     諦めないで欲しい、これは本心からの言葉だった。創はにかっ、と笑って鈴海を見る。よくよく見ると、鈴鹿の目にうっすらと涙が見えたような気がして、制服のポケットからハンカチを取り出すと、さりげなく渡した。そろそろ琥珀が戻ってくる、琥珀が見たら心配してしまうだろう。
    「……泣いてもいいと思うよ」
    「……いや、泣かない」
    「……鈴鹿らしい」
     鈴鹿の頭を優しく撫でる創、その時教室の扉が開いた。顔を向けると先生に呼ばれていた琥珀が戻ってきた。
    「ごめん遅くなった」
    「別に〜」
    「帰るか」
    「あ! ファミレス行こうぜファミレス!」
    「俺は別にいいけど……」
     そう会話をした時、鈴鹿が恐る恐る、と言ったように口を開いた。
    「……ファミレスってなに」
    「……え?」
     この後、ファミレスを知らない鈴鹿に二人がスマートフォンで近くのファミレスを検索し、鈴鹿にとって初めてのファミレスに行くことなった。早く行こう、と創は鈴鹿の腕をとって教室を後にした。
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    ちょこ

    DONEよその子さんお借りしてます
    二次創作
     その日は、雨が降りそうだと言わんばかりの曇天だった。昨日の天気予報では朝から晴れると言っていたはずなのに、いざ当日になったらこの天気だ。凪は頬杖をついて窓の外の風景をぼぅ、と眺めていた。この調子では晴れそうにない、凪はそう思ったあと椅子から立ち上がり、事務所に備え付けであるミニキッチンへと向かう。お湯を沸かせるくらいは出来るミニキッチンにて、お湯を沸かしコーヒーを淹れた後、コーヒーを飲み外を眺めた。
     何でも屋に定休日はない、依頼が来れば仕事の日になるし、来なかったとしても書類作業をする。ある意味気分で休みが決まると言っても過言ではなかった。そして凪は、二階にいる八重の所へ行こうかと考えていた。八重は朝から体調が優れないように見えた。凪から見たら休んだ方がいいなと感じたため、八重を休ませたのだ。当の本人は大丈夫だと言っていたが、それでも休ませた。依頼主が来る様子はない、なら八重のところに行こうと思った。事務所は二階建てのビルになっており、凪の居る一階は何でも屋の事務所で二階は居室スペースだ。コーヒーを飲み終わったマグカップを流しに置いた後、事務所を出る。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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