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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    寝坊するのは誰のせい/クロリン

    午前五時。
     薄暗がりにうっすら朝日が差した頃、目覚まし時計が鳴った。手を伸ばしてそれを止める。
     腕のなかで身じろぐリィンをぎゅうと抱きしめ、そのつむじに鼻先を埋めた。リィンの匂いだ。ともに生活しはじめてずいぶん経つが、同じシャンプーを使用しているのに彼らしさを残す香りを肺いっぱいに吸い込む。
    「クロウ、吸うな」
     振り払いたいのだろう、寝起きで威力の落ちたリィンの腕を受け止める。毎朝、鍛錬に勤しむ彼は意外と目覚めが悪い。
    「先に降りてるからな。水置いとくから飲めよ」
     近くに置いておいた水瓶からコップに一杯汲み、一気に飲み干した。そのままリィンの分も汲んでおく。
    「リィンおはようの挨拶な」
    「ん……おはよ」
     頬に口付け、リィンにも催促する。普段ならリィンからの口付けなんて本人が恥ずかしがって抵抗するのだが、この時間だけはされるがままだ。寝ぼけて少し舌ったらずになるところもいい。
     ベッドのうえで起き上がったものの、ぼんやりしているままのリィンを残して手早く着替えを済ませたクロウは先に階下へ降りた。
    「クロウ、おはよう」
    「おー。おはようさん」
     朝食用のスープを仕込み終えた頃、ほのかに頬の赤いリィンが鍛錬用の軽装姿で降りてきた。残りは鍛錬後に用意しようと決め、エプロンを外す。
    「鍛錬行くだろ。こっちもいけるぜ」
    「あ、ああ」
     キッチンに顔を出してくれたリィンの肩を叩き、外へ行こうと促した。
     食パンは食べる前にカットすればいいし、ベーコンと卵はすぐに火が通る。クロウが先にシャワーを済ませてあとから出てきたリィンにサラダを頼めばちょうどいいはずだ。頭のなかで料理の手順をさらっていたクロウの袖が弱々しく掴まれる。
    「その、な。前はこんなに寝起き悪くなかったから。クロウがいるせいだからな」
     言いづらそうにとつとつと語るリィンは目を伏せ、いっそう頬を赤らめている。
    「――なあ、リィン。鍛錬キャンセルでベッドに戻らねえ?」
     かわいさ余って抱きしめたリィンの拳が腹を直撃したのは言うまでもない。
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    甘味。/konpeito

    TRAINING両片思いアシュクル/創エピ第Ⅱ分校修学祭後自らの行いは自らでケリをつけたかった。
     皇帝暗殺の犯人が自分であるにも関わらず、世間ではそれを誤報とされている。この手で引き金を引いた感触が今でも残っているというのに。
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     無理やり参加させられた打ち上げからひとり抜けたアッシュ・カーバイドは、今日の出来事を振り返っていた。
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     来月には学院を去り、遊撃士として仕事をしながらせめてもの罪滅ぼしをしようと考えていただけに、完全に予定を狂わされてしまった。
    「アッシュ、ここにいたのか」
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    「俺たち未成年だろ」
     クルト・ヴァンダールに呆れたような目を向けられ、肩を窄めた。何事にもお堅いこのクラスメイトが未成年の飲酒を容認するはずもない。
     生活態度は至って真面目、剣技は教科書通り、 870

    さらさ

    DONEエア小話 リクエストが指定なしとの事だったので
    「何かで互いに対して不機嫌そうにしてるクロリンが戦闘でも息ピッタリな話」
    です。リクエストありがとうございました。
    「……なんか、今日のクロウ機嫌悪くない?」
    「心なしか、リィンさんの機嫌も悪いような気がしますね」

     真・夢幻回廊、第五階層。最前線で戦うクロウとリィンを遠目に、後方支援役のエマとエリオットはそんな話をしていた。いつもだったらベタベタと言っていい程に距離が近いのが、二人ではありえないほどの常識的な距離だったし先程から二人で一度もリンクを繋いでいないのだ。一体何があったというのか、二人の様子を観察するにしても普段は砂糖を吐きたくなるほどドロドロに甘く見ていられないというのが新旧Ⅶ組どころか特務支援課他遊撃士等々の面子が出した結論だった。下手をしたら馬に蹴られかねない。そんな甘さを微塵も感じさせないまま、次から次へと魔獣を伸していく二人には最早感心せざるを得なかった。

    「なんというか、喧嘩したのか?」
    「それはあり得るかもしれないわね。でも……」

    サブメンバーとしてついてきているガイウスとエステルの視線は少し離れたところで戦闘を仕掛ける二人に向けられる。リンクはエマがリィンと繋ぎ、クロウはエリオットと繋いでいる。ダメージを受けることなく終わらせてしまうので、あまり意味がないのだが。
    1171

    さらさ

    DONEリクエストより「クロリンで指輪交換」でした。指輪を交換した勢いで誓ってもらいました。場所が場所だけどね!

    リクエストありがとうございました!
    誓いの環をその指に「買って、しまった……」

     十二月もまだ初旬、たまたま帝都に出たという理由だけで散策して見つけたシンプルな指環。ああ、あいつに似合いそうだと思ってうっかり買ってしまった物だったがこれを渡せる程の関係でもないという事は彼――リィンも分かり切っていた。一応、お付き合いしている関係ではある。だが余りにも空白の時間が長すぎた事、戦後の事後処理に追われて時間が取れない事が相まってしまい未だ実感が湧かないのが現実であった。だからこれは余りにも早すぎるというもので。そっとコートのポケットへと仕舞ったのだった。

    「やべぇ、買っちまった……」

     同時期、別の男もまた同じ事をしていた。たまたま見つけた最低限の装飾しか施されていない指輪。ああ、あいつの指にはめてしまいたいだなんて思っているうちに買ってしまった代物である。お付き合いを始めてそろそろ三か月、今度こそ手を離さないと誓ったものの状況がそれを許さなかった。彼らは別々の場所で必要とされ、帝国内を東奔西走するような日々である。言ってしまえば魔が差したようなものだと、彼――クロウは思う。なんせ相手は天性の朴念仁で人タラシ、所有痕の一つや二つ残しておかねば相手が近寄ってくる始末だ。その状況に頭を抱えていたのは事実だが、かといってここまでするつもりはまだ毛頭なかった。
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