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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    恋人が見せ場を作ってきて困ります
    捏造未来/クロリン/リ視点/翌朝しこたま後悔する

    「アルフィン皇太女殿下、お久しぶりです」
     略式の礼をしたリィン・シュバルツァーはゆっくり頭をあげる。眼前には豊かな金髪を背に流した女性が朗らかに微笑んでいた。エレボニア帝国唯一の皇位継承権を持つ皇太女、アルフィン・ライゼ・アルノールその人だ。
    「まあリィンさんそう畏まらないで? 今日もたくさんお話聞かせて頂けたら嬉しいわ」
     初めて会った頃の幼い面影を漂わせる微笑に困ってしまう。
    「できれば、お手柔らかにお願いします」
    「兄様、お久しぶりです」
     アルフィンの後ろに控えてきた女性が前に歩み出る。妹、エリゼ・シュバルツァーだ。女学院卒業後は殿下を残してユミルには戻れない、とそのまま補佐官の地位についていた。
     久方ぶりの再会についつい目尻が和らぐ。
    「エリゼ。久しぶり。どうだ、殿下の補佐は」
    「それは食事の席についてからお話しましょう。クロウさんもお久しぶりです」
     エリゼに促されるまま食事の席につく。
    「相変わらずきっついなあ」
     揃いのテールコートを見にまとったクロウが苦笑いしていた。彼は前髪を後ろへ流すように撫でつけ、秀でた額を晒している。
     普段と異なる恋人の凛々しい風貌にリィンはどぎまぎさせられていた。
    「大切な兄様を誑かしたことには変わりありませんので」
     クロウに当たりが厳しいエリゼに苦言を呈したら「彼は恋敵ですから」なんて返されたのを思い出す。クロウと恋仲になったリィンが、エリゼの想いを知りぎくしゃくしたものの、クロウの仲介によって兄妹に戻ることができた。
     澄ました顔でリィンの向かいに腰を下ろしたエリゼが合図する。
     いよいよだ。ここ数日でクロウに施した付け焼き刃のテーブルマナーでどうにか乗り切れることを祈り、晩餐会は静かにはじまった。
    「そうなのですか。相変わらずリィンさんは人誑しをなさっておいでなのですね」
     フォークとナイフを揃えて空の皿に置いたアルフィンがまあまあ、といった風に驚いてみせた。すかさずクロウが同意を示す。
     リィン本人としては全く自覚していないのだが、意図せず周囲から好かれるような言動をしているらしい。エリゼからも呆れたような目で見られてしまい、リィンは肩をすくめるしかない。
    「それでですね、姫さん」
    「クロウ、」
    「いいのですよ。わたくしが許可していますから」
    「は、はい……」
     アルフィンから直接許しが出ているものをこれ以上咎めるわけにもいかず、それからは黙々と目の前の皿を片付けることに集中した。
    「クロウ、テーブルマナー完璧だったんじゃないか」
     晩餐会を終えたリィンは、用意されていたホテルの一室でベッドに倒れこんだ。自分の話をする三人に混ざれず、間を埋めるように飲んだ酒が効いている。
    「ちょっと驚かせたくてな」
     よほど恨みがましい目で見ていたのか、クロウが謝りながら髪を撫でてきた。皺がつくと困るぞ、と言われされるがままに服を脱がされる。
    「食べ方、すごいきれいだった……。いつも大雑把な食べ方するのに」
     ネクタイを引き抜く器用な指を見下ろす。一口大に切った肉を卒なく咀嚼する姿に横目で見惚れていたのを思い出した。
    「そのときに合わせた食べ方ってあるだろ。ジャンクフードをナイフとフォークでお上品に食べるんじゃ、味気ねえじゃねえか」
    「そうだけど」
     言い表せない気持ちを口のなかでもごもごさせる。衝動に任せて彼の整えられた前髪を乱した。
    「クロウができないことってないのか」
    「んー、色々あるなあ」
    「知りたい」
     酒気をまとったため息が出る。いつもより口が緩い気がした。明日、後悔しそうな予感はするのに止められない。
    「ナイショ」
     ベルトを外し、スラックスを脱がされてふたたびベッドに転がされる。乗り上げてきた身体を、彼のネクタイを引いてさらに密着させた。
    「クロウ。酒飲みすぎて勃たないかも」
    「俺が勃てば問題ねえだろ」
     それもそうか、と妙な納得を得てワインの残るキスをした。
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    甘味。/konpeito

    TRAINING両片思いアシュクル/創エピ第Ⅱ分校修学祭後自らの行いは自らでケリをつけたかった。
     皇帝暗殺の犯人が自分であるにも関わらず、世間ではそれを誤報とされている。この手で引き金を引いた感触が今でも残っているというのに。
    「ったく。めんどくせえ連中に捕まっちまったな」
     無理やり参加させられた打ち上げからひとり抜けたアッシュ・カーバイドは、今日の出来事を振り返っていた。
     学院生活最後の行事だからと妙に熱を入れてしまったのは自覚していた。不在時に決められたとはいえ、実行委員に任命されたからにはやりきりたかった。その結果、まさか出し物への投票だと勘違いしていた選挙箱で生徒会長になってしまうとは思いもしなかったが。
     来月には学院を去り、遊撃士として仕事をしながらせめてもの罪滅ぼしをしようと考えていただけに、完全に予定を狂わされてしまった。
    「アッシュ、ここにいたのか」
    「クルトか。酒もないのに付き合いきれねえ。連れ戻したかったら酒持ってこい」
    「俺たち未成年だろ」
     クルト・ヴァンダールに呆れたような目を向けられ、肩を窄めた。何事にもお堅いこのクラスメイトが未成年の飲酒を容認するはずもない。
     生活態度は至って真面目、剣技は教科書通り、 870

    さらさ

    MOURNING『瞳の交換』

    Q.何日遅れましたか?
    A.三日です(大遅刻)
    バレンタインデーの続編のつもりで書いたクロリン。ホワイトデーの昼から夜にかけた二人の話。
    「よっす、トワ。リィンいるか?」

     三月十四日、世間ではホワイトデーと呼ばれる日。バレンタインデーのお返しをする日と言われる今日は、当然のごとくクロウは先月から晴れてお付き合いを始めた恋人の所に顔を出す――つもりでいた。しかし、尋ね人はどうやら不在らしく。

    「今日は自由行動日だし買いたいものがあるからって、帝都に行ったみたいだよ。珍しいよねぇ」

    トワの言葉にクロウは同意する。何せ、自由行動日ともなれば率先して依頼を引き受けては忙しなく動く性分なのだから。だからこそ、これは珍しい。

    「今日はホワイトデーだし、クロウ君が来るのは予想してると思うけど……。先月の事、まだ気にしてるのかなぁ?」
    「ああ、あの赤飯事件な……」

    東方に伝わるという不思議な風習に倣って、勘のいい生徒の一部が赤飯を炊いた事件があった。勿論、ある程度東方由来の文化に通じている当事者がその意味を知らない筈もなく。その場で倒れてしまい大騒ぎになってしまった。分校中に広まってしまったそれは彼にとっては勿論羞恥以外何もなく。主導者が彼の教え子だった事もあり、新Ⅶ組を中心にその話題は御法度となった。ただ、そうなる前にクロ 3650

    さらさ

    DONEエア小話 リクエストが指定なしとの事だったので
    「何かで互いに対して不機嫌そうにしてるクロリンが戦闘でも息ピッタリな話」
    です。リクエストありがとうございました。
    「……なんか、今日のクロウ機嫌悪くない?」
    「心なしか、リィンさんの機嫌も悪いような気がしますね」

     真・夢幻回廊、第五階層。最前線で戦うクロウとリィンを遠目に、後方支援役のエマとエリオットはそんな話をしていた。いつもだったらベタベタと言っていい程に距離が近いのが、二人ではありえないほどの常識的な距離だったし先程から二人で一度もリンクを繋いでいないのだ。一体何があったというのか、二人の様子を観察するにしても普段は砂糖を吐きたくなるほどドロドロに甘く見ていられないというのが新旧Ⅶ組どころか特務支援課他遊撃士等々の面子が出した結論だった。下手をしたら馬に蹴られかねない。そんな甘さを微塵も感じさせないまま、次から次へと魔獣を伸していく二人には最早感心せざるを得なかった。

    「なんというか、喧嘩したのか?」
    「それはあり得るかもしれないわね。でも……」

    サブメンバーとしてついてきているガイウスとエステルの視線は少し離れたところで戦闘を仕掛ける二人に向けられる。リンクはエマがリィンと繋ぎ、クロウはエリオットと繋いでいる。ダメージを受けることなく終わらせてしまうので、あまり意味がないのだが。
    1171

    さらさ

    MOURNING「何かあって不機嫌そうなクロリンが戦闘では息ピッタリな話」の続き。やっとくっつきます。
    付き合ってないのに痴話喧嘩は犬も食わない リィンとクロウの不仲騒動から数時間。第五階層の最奥まで回って《円庭》に戻ってきた面々は二人を除いて疲れ切った表情をしていた。余りにも不毛な痴話喧嘩、それでいて付き合っていないというのだから手に負えない。瞬く間にそれは広がり、新旧Ⅶ組は総出で溜息をつき、他の面々も事情を察したように苦笑いをしていた。一部生温かい目で見る者もいたようだが。

    「全く、本当にいいのかい?リィン君だって同じ気持ちを持っているのだろう?」
    「……あいつには悪いが、応えられるほど真っ直ぐじゃねぇんだ」

    テーブルを囲って、かつて試験班だった面々がクロウに詰め寄る。アンゼリカの言葉に彼は首を振った後、真剣に迫ってきたリィンの事を思い出す。構えば構う程、愛情と執着心そして独占欲が生まれ、その度にクロウは己を律してきた。果たしてそれは必要か、と。必要であるならばいくらでも利用できる。だと言うのに彼の場合はどうだ、根も真っ直ぐでたくさんの人から慕われている。そんな彼を利用するだなんて出来ないし、したくもなかった、これはフェイクでも何でもない本音であった。未だに《C》だったころの話も出してネタにするのは正直言ってやめて欲しいのだが。
    3623

    さらさ

    MOURNINGフォロワーさんのネタをサルベージした一品。二パターンのうちの一個。曰くフォロワーさん的にはこっちがお望みだったようなのでこちらを先にアップ。
    でも本当に様になるねこの男は。

    尚そんなに活躍していない偽名は、私の趣味です(特にローデリヒ)
    踊ってください、愛し君「あれが例のターゲットか」
    「そうみたいだな。さぁて、どうしてやろうか」

     帝国のとある貴族邸にて。一時期帝国とクロスベルを行き来していた偽ブランド商がこの屋敷にて開かれる夜会に紛れてどうやら密談を行うらしい。そこでクロウとリィンには穏便な形での取り押さえるという依頼が舞い込んできたのである。相談した結果、ターゲットが女性である事とクロウ曰く二人そろって見目もいい事から凝った変装は必要ないだろうという事になった。ただリィンの場合は顔と名前を知られすぎているので、一工夫必要だとクロウの手によって好き勝手され。ラウラやユーシス、時間が出来たからと顔を出したミュゼの審査を受けてようやく目的地に辿り着いたのだが。如何せん、そこまでの振り回されたこともあって少々疲弊していた。潜入捜査に男二人は流石に目立たないだろうかとは思ったものの、その手のプロから珍しい事ではないとのアドバイスをもらったので女装させられるよりはましかと腹を括った。
    1996