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    甘味。/konpeito

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    甘味。/konpeito

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    恋人が見せ場を作ってきて困ります
    捏造未来/クロリン/リ視点/翌朝しこたま後悔する

    「アルフィン皇太女殿下、お久しぶりです」
     略式の礼をしたリィン・シュバルツァーはゆっくり頭をあげる。眼前には豊かな金髪を背に流した女性が朗らかに微笑んでいた。エレボニア帝国唯一の皇位継承権を持つ皇太女、アルフィン・ライゼ・アルノールその人だ。
    「まあリィンさんそう畏まらないで? 今日もたくさんお話聞かせて頂けたら嬉しいわ」
     初めて会った頃の幼い面影を漂わせる微笑に困ってしまう。
    「できれば、お手柔らかにお願いします」
    「兄様、お久しぶりです」
     アルフィンの後ろに控えてきた女性が前に歩み出る。妹、エリゼ・シュバルツァーだ。女学院卒業後は殿下を残してユミルには戻れない、とそのまま補佐官の地位についていた。
     久方ぶりの再会についつい目尻が和らぐ。
    「エリゼ。久しぶり。どうだ、殿下の補佐は」
    「それは食事の席についてからお話しましょう。クロウさんもお久しぶりです」
     エリゼに促されるまま食事の席につく。
    「相変わらずきっついなあ」
     揃いのテールコートを見にまとったクロウが苦笑いしていた。彼は前髪を後ろへ流すように撫でつけ、秀でた額を晒している。
     普段と異なる恋人の凛々しい風貌にリィンはどぎまぎさせられていた。
    「大切な兄様を誑かしたことには変わりありませんので」
     クロウに当たりが厳しいエリゼに苦言を呈したら「彼は恋敵ですから」なんて返されたのを思い出す。クロウと恋仲になったリィンが、エリゼの想いを知りぎくしゃくしたものの、クロウの仲介によって兄妹に戻ることができた。
     澄ました顔でリィンの向かいに腰を下ろしたエリゼが合図する。
     いよいよだ。ここ数日でクロウに施した付け焼き刃のテーブルマナーでどうにか乗り切れることを祈り、晩餐会は静かにはじまった。
    「そうなのですか。相変わらずリィンさんは人誑しをなさっておいでなのですね」
     フォークとナイフを揃えて空の皿に置いたアルフィンがまあまあ、といった風に驚いてみせた。すかさずクロウが同意を示す。
     リィン本人としては全く自覚していないのだが、意図せず周囲から好かれるような言動をしているらしい。エリゼからも呆れたような目で見られてしまい、リィンは肩をすくめるしかない。
    「それでですね、姫さん」
    「クロウ、」
    「いいのですよ。わたくしが許可していますから」
    「は、はい……」
     アルフィンから直接許しが出ているものをこれ以上咎めるわけにもいかず、それからは黙々と目の前の皿を片付けることに集中した。
    「クロウ、テーブルマナー完璧だったんじゃないか」
     晩餐会を終えたリィンは、用意されていたホテルの一室でベッドに倒れこんだ。自分の話をする三人に混ざれず、間を埋めるように飲んだ酒が効いている。
    「ちょっと驚かせたくてな」
     よほど恨みがましい目で見ていたのか、クロウが謝りながら髪を撫でてきた。皺がつくと困るぞ、と言われされるがままに服を脱がされる。
    「食べ方、すごいきれいだった……。いつも大雑把な食べ方するのに」
     ネクタイを引き抜く器用な指を見下ろす。一口大に切った肉を卒なく咀嚼する姿に横目で見惚れていたのを思い出した。
    「そのときに合わせた食べ方ってあるだろ。ジャンクフードをナイフとフォークでお上品に食べるんじゃ、味気ねえじゃねえか」
    「そうだけど」
     言い表せない気持ちを口のなかでもごもごさせる。衝動に任せて彼の整えられた前髪を乱した。
    「クロウができないことってないのか」
    「んー、色々あるなあ」
    「知りたい」
     酒気をまとったため息が出る。いつもより口が緩い気がした。明日、後悔しそうな予感はするのに止められない。
    「ナイショ」
     ベルトを外し、スラックスを脱がされてふたたびベッドに転がされる。乗り上げてきた身体を、彼のネクタイを引いてさらに密着させた。
    「クロウ。酒飲みすぎて勃たないかも」
    「俺が勃てば問題ねえだろ」
     それもそうか、と妙な納得を得てワインの残るキスをした。
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    甘味。/konpeito

    TRAINING両片思いアシュクル/創エピ第Ⅱ分校修学祭後自らの行いは自らでケリをつけたかった。
     皇帝暗殺の犯人が自分であるにも関わらず、世間ではそれを誤報とされている。この手で引き金を引いた感触が今でも残っているというのに。
    「ったく。めんどくせえ連中に捕まっちまったな」
     無理やり参加させられた打ち上げからひとり抜けたアッシュ・カーバイドは、今日の出来事を振り返っていた。
     学院生活最後の行事だからと妙に熱を入れてしまったのは自覚していた。不在時に決められたとはいえ、実行委員に任命されたからにはやりきりたかった。その結果、まさか出し物への投票だと勘違いしていた選挙箱で生徒会長になってしまうとは思いもしなかったが。
     来月には学院を去り、遊撃士として仕事をしながらせめてもの罪滅ぼしをしようと考えていただけに、完全に予定を狂わされてしまった。
    「アッシュ、ここにいたのか」
    「クルトか。酒もないのに付き合いきれねえ。連れ戻したかったら酒持ってこい」
    「俺たち未成年だろ」
     クルト・ヴァンダールに呆れたような目を向けられ、肩を窄めた。何事にもお堅いこのクラスメイトが未成年の飲酒を容認するはずもない。
     生活態度は至って真面目、剣技は教科書通り、 870

    さらさ

    MOURNING遅刻大魔王によるすったもんだクロリンがバレンタインデーにくっついて分校全体に知られるまで。ポイピク練習も兼ねてる舌先の魅惑


    「え、え~!?クロウくんにチョコレートあげてないの!?」

     トワの素っ頓狂な声が、第Ⅱ分校の食堂に響き渡った。七耀歴1208年、2月。もうすぐバレンタインデーだ、食堂やら寮のキッチンを貸し切っての菓子作りに女子生徒たちが浮足立っている。去年の同時期と言えばクロスベル解放作戦当日だ、直接参加した訳ではないとは言えど親しみある教官と生徒が参加するともなればムードもそれどころではなかった。実質、今年が初めてのトールズ第Ⅱ分校バレンタインデーである。男子生徒も一部落ち着かない様子ではあるが、それも今更と言ってしまえばそれまでなのだが。ともあれ、青春では割とお約束のイベントが差し迫ったことを踏まえ、生徒たちの押しに負けて食堂にやってきたリィンなのだが。

    「えっと、俺はクロウとは何もないですしチョコレートもあげてませんよ?」

    という言葉で冒頭に戻る。指し手であるミュゼでさえ予想外だったその回答に、誰もが頭を抱えた。この朴念仁め、は共通の認識であるが故に誰も口には出さないが。

    「で、でもでも!リィン教官はクロウさんのこととても好きですよね!?」

    ここでもユウナから容赦ない一 4406

    さらさ

    MOURNING「何かあって不機嫌そうなクロリンが戦闘では息ピッタリな話」の続き。やっとくっつきます。
    付き合ってないのに痴話喧嘩は犬も食わない リィンとクロウの不仲騒動から数時間。第五階層の最奥まで回って《円庭》に戻ってきた面々は二人を除いて疲れ切った表情をしていた。余りにも不毛な痴話喧嘩、それでいて付き合っていないというのだから手に負えない。瞬く間にそれは広がり、新旧Ⅶ組は総出で溜息をつき、他の面々も事情を察したように苦笑いをしていた。一部生温かい目で見る者もいたようだが。

    「全く、本当にいいのかい?リィン君だって同じ気持ちを持っているのだろう?」
    「……あいつには悪いが、応えられるほど真っ直ぐじゃねぇんだ」

    テーブルを囲って、かつて試験班だった面々がクロウに詰め寄る。アンゼリカの言葉に彼は首を振った後、真剣に迫ってきたリィンの事を思い出す。構えば構う程、愛情と執着心そして独占欲が生まれ、その度にクロウは己を律してきた。果たしてそれは必要か、と。必要であるならばいくらでも利用できる。だと言うのに彼の場合はどうだ、根も真っ直ぐでたくさんの人から慕われている。そんな彼を利用するだなんて出来ないし、したくもなかった、これはフェイクでも何でもない本音であった。未だに《C》だったころの話も出してネタにするのは正直言ってやめて欲しいのだが。
    3623

    さらさ

    MOURNINGフォロワーさんのネタをサルベージした一品。二パターンのうちの一個。曰くフォロワーさん的にはこっちがお望みだったようなのでこちらを先にアップ。
    でも本当に様になるねこの男は。

    尚そんなに活躍していない偽名は、私の趣味です(特にローデリヒ)
    踊ってください、愛し君「あれが例のターゲットか」
    「そうみたいだな。さぁて、どうしてやろうか」

     帝国のとある貴族邸にて。一時期帝国とクロスベルを行き来していた偽ブランド商がこの屋敷にて開かれる夜会に紛れてどうやら密談を行うらしい。そこでクロウとリィンには穏便な形での取り押さえるという依頼が舞い込んできたのである。相談した結果、ターゲットが女性である事とクロウ曰く二人そろって見目もいい事から凝った変装は必要ないだろうという事になった。ただリィンの場合は顔と名前を知られすぎているので、一工夫必要だとクロウの手によって好き勝手され。ラウラやユーシス、時間が出来たからと顔を出したミュゼの審査を受けてようやく目的地に辿り着いたのだが。如何せん、そこまでの振り回されたこともあって少々疲弊していた。潜入捜査に男二人は流石に目立たないだろうかとは思ったものの、その手のプロから珍しい事ではないとのアドバイスをもらったので女装させられるよりはましかと腹を括った。
    1996

    さらさ

    DONEリクエストより「クロリンで指輪交換」でした。指輪を交換した勢いで誓ってもらいました。場所が場所だけどね!

    リクエストありがとうございました!
    誓いの環をその指に「買って、しまった……」

     十二月もまだ初旬、たまたま帝都に出たという理由だけで散策して見つけたシンプルな指環。ああ、あいつに似合いそうだと思ってうっかり買ってしまった物だったがこれを渡せる程の関係でもないという事は彼――リィンも分かり切っていた。一応、お付き合いしている関係ではある。だが余りにも空白の時間が長すぎた事、戦後の事後処理に追われて時間が取れない事が相まってしまい未だ実感が湧かないのが現実であった。だからこれは余りにも早すぎるというもので。そっとコートのポケットへと仕舞ったのだった。

    「やべぇ、買っちまった……」

     同時期、別の男もまた同じ事をしていた。たまたま見つけた最低限の装飾しか施されていない指輪。ああ、あいつの指にはめてしまいたいだなんて思っているうちに買ってしまった代物である。お付き合いを始めてそろそろ三か月、今度こそ手を離さないと誓ったものの状況がそれを許さなかった。彼らは別々の場所で必要とされ、帝国内を東奔西走するような日々である。言ってしまえば魔が差したようなものだと、彼――クロウは思う。なんせ相手は天性の朴念仁で人タラシ、所有痕の一つや二つ残しておかねば相手が近寄ってくる始末だ。その状況に頭を抱えていたのは事実だが、かといってここまでするつもりはまだ毛頭なかった。
    1833

    さらさ

    DONEクロリンwebオンリーのエア小話より「内容指定無しの更紗が書いたクロリン」です。
    12月に不安定になっちゃうリィンが今年はしっかりしなきゃと思いながらクロウにメールすることから始まるシリアスクロリン。



    ランディが出てくるのは私の趣味です(書き分け難しかったけど楽しかった)
    慣れぬくらいならその腕に ――冬、か。リィンは仕事が一段落した寮のベッドで、バタリと倒れながらそう思う。《黄昏》が終結してから三度目になるその季節に、そろそろ拭えていい筈の不安がまだ心の奥底で突き刺さっていた。

    「流石に通信は女々しいかな」

    流石に三度目ともなれば慣れなくてはならないと、彼は思う。今は異国を巡りながら情報収集やら遊撃士協会の協力者やらで忙しい悪友を、年末には必ず帰ってくる優しい人を心配させない為に。開いたり、閉じたりしてどうも定まらない思考をなんとか纏めようとする。

    「今年は帰ってこなくても大丈夫だって、言おうかな……」

    移動距離だってそんなに短くないのだ、忙しい時間を自分に割かせるには余りにも勿体無さすぎる。そもそも、帰ってくるという表現さえ正しいのかは分からないが。導力メールで今年は帰ってこなくても大丈夫だという旨だけ書いて送信して、そのまま目を閉じる。通信を告げる着信音がやけに遠く感じながら、リィンはそのまま眠りについた。
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