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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    ラブディスタンス/クロリン/生徒視点

    「なんつーか」
    「そうですねえ」
    「これってつまり、やっぱりそういうことよね」
    「……不埒です」
     アッシュ、ミュゼ、ユウナ、アルティナが本校舎二階、Ⅶ組教室の窓から担当教官を見下ろしている。
     彼らから一歩後ろに下がっているクルトは朝からこの調子のクラスメイトに肩を落とした。
     二日前、自由行動日前日。Ⅶ組の担当教官であるリィンの元へクロウが訪ねてきた。それ自体はそれほど特別な出来事でもなく、アッシュもまた大人だけで酒盛りかと茶化した程度だった。
     自由行動日当日。夕食どきにたまたま集まったクラスメイトらと、そういえば今日は教官の姿を見ていないという話になった。
     分校で水泳の自主特訓をしていたアルティナはもちろんのこと、グラウンドでテニスを楽しんでいたユウナも見かけておらず、生徒会業務で分校長に駆り出されていたアッシュ、それに巻き込まれたクルトも校舎内で見かけていなかった。ミュゼは自室で家の仕事をしていたようだが、彼が宿舎に戻った様子はないという。
     その日は、珍しいこともあるものだとそれぞれ胸騒ぎを覚えつつも部屋に戻った。
     そして今日。教室で朝の挨拶を済ませたリィンがクロウと話をするため退室していった。
     最初はただ、彼の雰囲気が普段よりも柔らかいなと違和感を覚えただけだった。
    「ついに食べられちゃったんですね。残念です」
     ミュゼは窓の下を見つめてふうと優雅にため息をつき、アッシュは含み笑いを浮かべている。
    「あのヘタレなパイセンがねえ。まあ収まるところに収まったんじゃねえの」
     ふたりの話し振りからようやく合点がいったクルトはかっかと頬を熱らせた。ユウナも同じらしく、目を泳がせている。アルティナは不快そうに目を細めていた。
    「これが恋人の距離感というものですね」
    「リィン教官はわたしたちの教官です」
    「なんだチビ兎、ヤキモチか」
     前に出て、窓枠に手を乗せた。下では談笑しているふたりがいる。
     自分たちには見せない穏やかな顔だった。
    「――なんであれ、よかったな」
     ようやく訪れた師の春に頬を綻ばせた。
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    甘味。/konpeito

    TRAINING両片思いアシュクル/創エピ第Ⅱ分校修学祭後自らの行いは自らでケリをつけたかった。
     皇帝暗殺の犯人が自分であるにも関わらず、世間ではそれを誤報とされている。この手で引き金を引いた感触が今でも残っているというのに。
    「ったく。めんどくせえ連中に捕まっちまったな」
     無理やり参加させられた打ち上げからひとり抜けたアッシュ・カーバイドは、今日の出来事を振り返っていた。
     学院生活最後の行事だからと妙に熱を入れてしまったのは自覚していた。不在時に決められたとはいえ、実行委員に任命されたからにはやりきりたかった。その結果、まさか出し物への投票だと勘違いしていた選挙箱で生徒会長になってしまうとは思いもしなかったが。
     来月には学院を去り、遊撃士として仕事をしながらせめてもの罪滅ぼしをしようと考えていただけに、完全に予定を狂わされてしまった。
    「アッシュ、ここにいたのか」
    「クルトか。酒もないのに付き合いきれねえ。連れ戻したかったら酒持ってこい」
    「俺たち未成年だろ」
     クルト・ヴァンダールに呆れたような目を向けられ、肩を窄めた。何事にもお堅いこのクラスメイトが未成年の飲酒を容認するはずもない。
     生活態度は至って真面目、剣技は教科書通り、 870

    さらさ

    MOURNING遅刻大魔王によるすったもんだクロリンがバレンタインデーにくっついて分校全体に知られるまで。ポイピク練習も兼ねてる舌先の魅惑


    「え、え~!?クロウくんにチョコレートあげてないの!?」

     トワの素っ頓狂な声が、第Ⅱ分校の食堂に響き渡った。七耀歴1208年、2月。もうすぐバレンタインデーだ、食堂やら寮のキッチンを貸し切っての菓子作りに女子生徒たちが浮足立っている。去年の同時期と言えばクロスベル解放作戦当日だ、直接参加した訳ではないとは言えど親しみある教官と生徒が参加するともなればムードもそれどころではなかった。実質、今年が初めてのトールズ第Ⅱ分校バレンタインデーである。男子生徒も一部落ち着かない様子ではあるが、それも今更と言ってしまえばそれまでなのだが。ともあれ、青春では割とお約束のイベントが差し迫ったことを踏まえ、生徒たちの押しに負けて食堂にやってきたリィンなのだが。

    「えっと、俺はクロウとは何もないですしチョコレートもあげてませんよ?」

    という言葉で冒頭に戻る。指し手であるミュゼでさえ予想外だったその回答に、誰もが頭を抱えた。この朴念仁め、は共通の認識であるが故に誰も口には出さないが。

    「で、でもでも!リィン教官はクロウさんのこととても好きですよね!?」

    ここでもユウナから容赦ない一 4406

    さらさ

    MOURNING『瞳の交換』

    Q.何日遅れましたか?
    A.三日です(大遅刻)
    バレンタインデーの続編のつもりで書いたクロリン。ホワイトデーの昼から夜にかけた二人の話。
    「よっす、トワ。リィンいるか?」

     三月十四日、世間ではホワイトデーと呼ばれる日。バレンタインデーのお返しをする日と言われる今日は、当然のごとくクロウは先月から晴れてお付き合いを始めた恋人の所に顔を出す――つもりでいた。しかし、尋ね人はどうやら不在らしく。

    「今日は自由行動日だし買いたいものがあるからって、帝都に行ったみたいだよ。珍しいよねぇ」

    トワの言葉にクロウは同意する。何せ、自由行動日ともなれば率先して依頼を引き受けては忙しなく動く性分なのだから。だからこそ、これは珍しい。

    「今日はホワイトデーだし、クロウ君が来るのは予想してると思うけど……。先月の事、まだ気にしてるのかなぁ?」
    「ああ、あの赤飯事件な……」

    東方に伝わるという不思議な風習に倣って、勘のいい生徒の一部が赤飯を炊いた事件があった。勿論、ある程度東方由来の文化に通じている当事者がその意味を知らない筈もなく。その場で倒れてしまい大騒ぎになってしまった。分校中に広まってしまったそれは彼にとっては勿論羞恥以外何もなく。主導者が彼の教え子だった事もあり、新Ⅶ組を中心にその話題は御法度となった。ただ、そうなる前にクロ 3650

    さらさ

    MOURNINGフォロワーさんのネタをサルベージした一品。二パターンのうちの一個。曰くフォロワーさん的にはこっちがお望みだったようなのでこちらを先にアップ。
    でも本当に様になるねこの男は。

    尚そんなに活躍していない偽名は、私の趣味です(特にローデリヒ)
    踊ってください、愛し君「あれが例のターゲットか」
    「そうみたいだな。さぁて、どうしてやろうか」

     帝国のとある貴族邸にて。一時期帝国とクロスベルを行き来していた偽ブランド商がこの屋敷にて開かれる夜会に紛れてどうやら密談を行うらしい。そこでクロウとリィンには穏便な形での取り押さえるという依頼が舞い込んできたのである。相談した結果、ターゲットが女性である事とクロウ曰く二人そろって見目もいい事から凝った変装は必要ないだろうという事になった。ただリィンの場合は顔と名前を知られすぎているので、一工夫必要だとクロウの手によって好き勝手され。ラウラやユーシス、時間が出来たからと顔を出したミュゼの審査を受けてようやく目的地に辿り着いたのだが。如何せん、そこまでの振り回されたこともあって少々疲弊していた。潜入捜査に男二人は流石に目立たないだろうかとは思ったものの、その手のプロから珍しい事ではないとのアドバイスをもらったので女装させられるよりはましかと腹を括った。
    1996

    さらさ

    DONEリクエストより「クロリンで指輪交換」でした。指輪を交換した勢いで誓ってもらいました。場所が場所だけどね!

    リクエストありがとうございました!
    誓いの環をその指に「買って、しまった……」

     十二月もまだ初旬、たまたま帝都に出たという理由だけで散策して見つけたシンプルな指環。ああ、あいつに似合いそうだと思ってうっかり買ってしまった物だったがこれを渡せる程の関係でもないという事は彼――リィンも分かり切っていた。一応、お付き合いしている関係ではある。だが余りにも空白の時間が長すぎた事、戦後の事後処理に追われて時間が取れない事が相まってしまい未だ実感が湧かないのが現実であった。だからこれは余りにも早すぎるというもので。そっとコートのポケットへと仕舞ったのだった。

    「やべぇ、買っちまった……」

     同時期、別の男もまた同じ事をしていた。たまたま見つけた最低限の装飾しか施されていない指輪。ああ、あいつの指にはめてしまいたいだなんて思っているうちに買ってしまった代物である。お付き合いを始めてそろそろ三か月、今度こそ手を離さないと誓ったものの状況がそれを許さなかった。彼らは別々の場所で必要とされ、帝国内を東奔西走するような日々である。言ってしまえば魔が差したようなものだと、彼――クロウは思う。なんせ相手は天性の朴念仁で人タラシ、所有痕の一つや二つ残しておかねば相手が近寄ってくる始末だ。その状況に頭を抱えていたのは事実だが、かといってここまでするつもりはまだ毛頭なかった。
    1833

    さらさ

    SPUR ME12月12日に出す予定の展示品を尻叩きとサンプルを兼ねて一章丸々アップ。こんな感じのクロリンの話が五感分連続していく感じです。シリアスが続きますがハピエン(にしてみせる!)

    ちなみにタイトルは全て「五感に関する部位のことわざ」を当てはめています。変わるかも。
    医者と味噌は古いほどよい リィンは《黒の工房》から救出されて以来、違和感に気付いた。《巨イナル黄昏》より前に感じ取れていた味が、分からなくなっていたのだ。一か月近く食事をしていなかったこともあり気付かなかったが、しばらく食べているうちにようやくその違和感に辿り着いた。原因は分からないが、相克に向かうこの状況で他の心配事を出来ればリィンは作りたくなかった。だから、黙っている事にした。――目に見えて減っている食事量を前に、既に全員が気が付いているだなんて思わないまま。

    「そういうワケでクロウ、よろしく」
    「いや待て、どうしてそうなる」

    セリーヌとデュバリィに足止めさせて始まる新旧Ⅶ組大会議。答えは出ているも同然だったが、それでも認識の擦り合わせが必要だと集まったのだが。驚く程分かりやすいリィンの事だ、擦り合わせる間でもなかったが。それが分かれば押し付ける先は一つしかない。フィーの直球な言葉にクロウは予想もしていなかった為狼狽えた。リィンは無自覚ではあるが彼に甘える。そしてクロウは彼が甘えてくる自覚はあれど甘えさせているという自覚はなかった。何も自分に持ってくることはないだろうに、それがクロウの言い分だがそれに呆れている様子もまた感じ取っている事もあって困っている。
    3129

    さらさ

    DONEクロリンwebオンリーのエア小話より「内容指定無しの更紗が書いたクロリン」です。
    12月に不安定になっちゃうリィンが今年はしっかりしなきゃと思いながらクロウにメールすることから始まるシリアスクロリン。



    ランディが出てくるのは私の趣味です(書き分け難しかったけど楽しかった)
    慣れぬくらいならその腕に ――冬、か。リィンは仕事が一段落した寮のベッドで、バタリと倒れながらそう思う。《黄昏》が終結してから三度目になるその季節に、そろそろ拭えていい筈の不安がまだ心の奥底で突き刺さっていた。

    「流石に通信は女々しいかな」

    流石に三度目ともなれば慣れなくてはならないと、彼は思う。今は異国を巡りながら情報収集やら遊撃士協会の協力者やらで忙しい悪友を、年末には必ず帰ってくる優しい人を心配させない為に。開いたり、閉じたりしてどうも定まらない思考をなんとか纏めようとする。

    「今年は帰ってこなくても大丈夫だって、言おうかな……」

    移動距離だってそんなに短くないのだ、忙しい時間を自分に割かせるには余りにも勿体無さすぎる。そもそも、帰ってくるという表現さえ正しいのかは分からないが。導力メールで今年は帰ってこなくても大丈夫だという旨だけ書いて送信して、そのまま目を閉じる。通信を告げる着信音がやけに遠く感じながら、リィンはそのまま眠りについた。
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