Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 115

    甘味。/konpeito

    ☆quiet follow

    本日の800文字チャレンジ
    ラブディスタンス/クロリン/生徒視点

    「なんつーか」
    「そうですねえ」
    「これってつまり、やっぱりそういうことよね」
    「……不埒です」
     アッシュ、ミュゼ、ユウナ、アルティナが本校舎二階、Ⅶ組教室の窓から担当教官を見下ろしている。
     彼らから一歩後ろに下がっているクルトは朝からこの調子のクラスメイトに肩を落とした。
     二日前、自由行動日前日。Ⅶ組の担当教官であるリィンの元へクロウが訪ねてきた。それ自体はそれほど特別な出来事でもなく、アッシュもまた大人だけで酒盛りかと茶化した程度だった。
     自由行動日当日。夕食どきにたまたま集まったクラスメイトらと、そういえば今日は教官の姿を見ていないという話になった。
     分校で水泳の自主特訓をしていたアルティナはもちろんのこと、グラウンドでテニスを楽しんでいたユウナも見かけておらず、生徒会業務で分校長に駆り出されていたアッシュ、それに巻き込まれたクルトも校舎内で見かけていなかった。ミュゼは自室で家の仕事をしていたようだが、彼が宿舎に戻った様子はないという。
     その日は、珍しいこともあるものだとそれぞれ胸騒ぎを覚えつつも部屋に戻った。
     そして今日。教室で朝の挨拶を済ませたリィンがクロウと話をするため退室していった。
     最初はただ、彼の雰囲気が普段よりも柔らかいなと違和感を覚えただけだった。
    「ついに食べられちゃったんですね。残念です」
     ミュゼは窓の下を見つめてふうと優雅にため息をつき、アッシュは含み笑いを浮かべている。
    「あのヘタレなパイセンがねえ。まあ収まるところに収まったんじゃねえの」
     ふたりの話し振りからようやく合点がいったクルトはかっかと頬を熱らせた。ユウナも同じらしく、目を泳がせている。アルティナは不快そうに目を細めていた。
    「これが恋人の距離感というものですね」
    「リィン教官はわたしたちの教官です」
    「なんだチビ兎、ヤキモチか」
     前に出て、窓枠に手を乗せた。下では談笑しているふたりがいる。
     自分たちには見せない穏やかな顔だった。
    「――なんであれ、よかったな」
     ようやく訪れた師の春に頬を綻ばせた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤💕💞💒👍💕💒💗💒
    Let's send reactions!
    Replies from the creator