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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    本日の800文字チャレンジ
    クロ→リン/愛してしまったが運の尽き
    捏造未来

    「アームブラスト教官って、やっぱりシュバルツァー教官と付き合っているんですか」
     放課後、クロウを呼び止めたのは噂好きの女生徒だった。彼女にかかれば三日で全校生徒、さらにはリーヴスの住人にまで噂話が流れていく。
     好奇心を隠しもせず、爛々とさせた女生徒の目に苦笑いを浮かべる。
    「そうだな。どっちだと思う?」
     クロウは噂を否定も肯定もしなかった。少し含みのある笑みを浮かべただけだ。途端に黄色い声をあげた彼女の背中を見送る。おそらく数日中にはリィンの耳へも入るだろう。
     機は熟した。
     ひたひたと外堀を埋めてきたクロウはようやく本陣へ切り込む覚悟を決めた。
     実際のところ、ふたりは数年前から同居しているものの、そこに色恋が絡むような仲ではなかった。もっとも、クロウは一方的にリィンへ想いを寄せていて、彼からも無自覚な好意をぶつけられてはいるが。
    「なあリィン。俺たち付き合ってるらしいぜ」
     昨夜からどこか落ち着かない様子のリィンを尻目に揃って朝食を食べ終え、いつも通り新聞を広げたクロウが口火を切る。
     ぶは、と彼の口から勢いよく食後の牛乳が吹き出た。グラス片手にわなわな震えている。
    「クロウも聞いたのか。あの噂」
     口の端から溢れるそれから目を逸らし、ハンカチを押しやった。恋慕しているクロウには目に毒だ。
    「おう。ずっと一緒に住んでるし、休日も一緒に過ごしていて、なんとなく恋人の距離感だかららしいぜ」
     こいびと。口のなかで反芻しているリィンの顔は見たことがないほど赤く熟れている。何気ない日常のなかへ放り込まれた強烈な色彩に戸惑っているのだろう。
     リィンに好意を抱いた人間をクロウが根こそぎ掠めとっていたお陰で、恋愛に疎いまま今日を迎えてしまった彼に憐れみの目を向ける。
     こんな男に好かれてしまったのが運の尽きだ。
    「クロウは困る、だろ。こんな噂」
    「いや、別に。知られて困るような関係の奴なんていないからな」
     手の甲で火照った頬を冷やす姿に口角があがった。
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