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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/創後
    側にいるからできること

    「うん、やっぱりクロウのフィッシュバーガーは美味しいな」
     両手で包んだバーガーを頬張ったリィンが破顔する。フライドポテトを齧っていたクロウはその幸せそうな顔を眺めながら、自身もバーガーへ手を伸ばした。こうして彼と食卓を囲むようになって随分経つ。
     休養日の昼下がり。恋人と向かい合い、久方ぶりの故郷の味に舌鼓を打つのだった。
    「魚以外の材料、用意してくれてありがとう」
     使った皿を洗うリィンは上機嫌だった。彼から受け取った皿の水気を拭き取り、棚へ戻していく。料理をしなかったほうが皿を洗う、いつのまにか決まった分担だ。
    「そりゃあ、ルセットのリーザさんが今日はまたフィッシュバーガー作られるんですってね、なんてパンを届けにきたら察しないほうが難しいだろ。だから昨日の夜、入念に釣具の点検していたわけね」
    「ああ。ジョゼットさんに頼んで海釣りに。ルセット、クロウの教えたレシピが人気メニューになっているらしいぞ。如水庵から魚を卸してもらうようになったって」
    「らしいな。ラドーのじいさんも言ってたわ。だいたいお前にも教えてやっただろ。ジュライ特製フィッシュバーガーの作り方。自分で作りゃあいいじゃねえか」
    「クロウがいるのに?」
     きょと、と目を瞬かせる彼を抱きしめたい衝動に駆られ、皿を磨いてやり過ごす。
    「どういう意味か分かって言ってるのかそれ」
    「俺が食べたいとき、いつでも頼めるところにクロウがいるって意味か?」
     並び立っていたリィンのからかう声に視線が引き寄せられる。いたずらに細められた目がクロウを見ていた。
    「愛してるぞクロウ。また作ってくれ」
     クロウの好きな顔に笑みを浮かべ、頼み事をされては断りようがない。耳朶がじわじわ熱くなるのが分かった。
    「好きだって俺に言うだけで顔を真っ赤にさせてたお前はどこへいったんだよ」
    「十年以上一緒にいてなにを今さら……。もちろん、また作ってくれるんだろう」
    「当たり前だろ」
     グラスを差し出す腕を掴み、触れるだけのキスをした。
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