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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/創後日談時空
    a secret in the gift

    「そういえばクロウさん、リィン教官からお返しもう受け取りました?」
     頼んでいた釘を持ってきたユウナに問われ、受け取る手が止まった。
     急遽、学院祭で演劇をする運びになったⅦ組に例外として大道具係を買って出たクロウは、舞台に飾る背景をペンキで描いていた。
    「だから、先月一緒にチョコ作ったじゃないですか。アレのお返しですよ」
    「いや、リィンには俺が作ったなんて言ってねえし」
    「でも、クロウさんのチョコを食べた教官、本当に嬉しそうだったから気がついてると思いますよ? それに、貰いっぱなしにするような人でもないですし」
     納得のいっていない彼女はそのまま劇の予行練習のため、退室していった。
    「なあ、休憩しないか」
     まだ温かい缶コーヒーを持ってきたリィンとプルタブをあける。
    「もしかしなくてもお前、飲み物配り歩いてんのか」
    「生徒の自主性に任せたいとかで、教官は手伝えないんだ。これくらいはしてやりたくて」
    「ったく、お前らしいよ」
     肩を小突いたクロウに照れているらしいリィンとしばしの休息をとった。
    「その、クロウ」
     飲みかけの缶を揺らしていたリィンが顔をあげる。
    「先月のお返しだ。クロウからのチョコ、嬉しかった。ありがとう」
    「ありゃ、バレてたか」
     ベルベット地の小箱を差し出され、つい受け取った。小さなそれを照れ隠しに手のなかで転がす。
    「口に入れた瞬間、すぐに分かったよ。直接渡してくれたらよかったのに」
     開けていいかと尋ねれば、了承の返事が返ってくる。
    「お返し、すごく悩んだんだ。食べ物だといつ渡せるか分からないからピアスにしてみた。クロウに似合うと思うんだが、どうだろう」
     開けた小箱のなかには狼の意匠が施された銀の輪が鎮座していた。以前リィンからもらった指輪によく似ている。
    「ああ。気に入った。それにしてもユウナたちにも同じようなもん送ってないだろうな」
    「クロウだけに決まっているだろう」
     それもそうか、と早速リィンから贈られたピアスへ付け替えるのだった。
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    recommended works

    さらさ

    MOURNING遅刻大魔王によるすったもんだクロリンがバレンタインデーにくっついて分校全体に知られるまで。ポイピク練習も兼ねてる舌先の魅惑


    「え、え~!?クロウくんにチョコレートあげてないの!?」

     トワの素っ頓狂な声が、第Ⅱ分校の食堂に響き渡った。七耀歴1208年、2月。もうすぐバレンタインデーだ、食堂やら寮のキッチンを貸し切っての菓子作りに女子生徒たちが浮足立っている。去年の同時期と言えばクロスベル解放作戦当日だ、直接参加した訳ではないとは言えど親しみある教官と生徒が参加するともなればムードもそれどころではなかった。実質、今年が初めてのトールズ第Ⅱ分校バレンタインデーである。男子生徒も一部落ち着かない様子ではあるが、それも今更と言ってしまえばそれまでなのだが。ともあれ、青春では割とお約束のイベントが差し迫ったことを踏まえ、生徒たちの押しに負けて食堂にやってきたリィンなのだが。

    「えっと、俺はクロウとは何もないですしチョコレートもあげてませんよ?」

    という言葉で冒頭に戻る。指し手であるミュゼでさえ予想外だったその回答に、誰もが頭を抱えた。この朴念仁め、は共通の認識であるが故に誰も口には出さないが。

    「で、でもでも!リィン教官はクロウさんのこととても好きですよね!?」

    ここでもユウナから容赦ない一 4406

    さらさ

    DONEエア小話 リクエストが指定なしとの事だったので
    「何かで互いに対して不機嫌そうにしてるクロリンが戦闘でも息ピッタリな話」
    です。リクエストありがとうございました。
    「……なんか、今日のクロウ機嫌悪くない?」
    「心なしか、リィンさんの機嫌も悪いような気がしますね」

     真・夢幻回廊、第五階層。最前線で戦うクロウとリィンを遠目に、後方支援役のエマとエリオットはそんな話をしていた。いつもだったらベタベタと言っていい程に距離が近いのが、二人ではありえないほどの常識的な距離だったし先程から二人で一度もリンクを繋いでいないのだ。一体何があったというのか、二人の様子を観察するにしても普段は砂糖を吐きたくなるほどドロドロに甘く見ていられないというのが新旧Ⅶ組どころか特務支援課他遊撃士等々の面子が出した結論だった。下手をしたら馬に蹴られかねない。そんな甘さを微塵も感じさせないまま、次から次へと魔獣を伸していく二人には最早感心せざるを得なかった。

    「なんというか、喧嘩したのか?」
    「それはあり得るかもしれないわね。でも……」

    サブメンバーとしてついてきているガイウスとエステルの視線は少し離れたところで戦闘を仕掛ける二人に向けられる。リンクはエマがリィンと繋ぎ、クロウはエリオットと繋いでいる。ダメージを受けることなく終わらせてしまうので、あまり意味がないのだが。
    1171

    さらさ

    MOURNING「何かあって不機嫌そうなクロリンが戦闘では息ピッタリな話」の続き。やっとくっつきます。
    付き合ってないのに痴話喧嘩は犬も食わない リィンとクロウの不仲騒動から数時間。第五階層の最奥まで回って《円庭》に戻ってきた面々は二人を除いて疲れ切った表情をしていた。余りにも不毛な痴話喧嘩、それでいて付き合っていないというのだから手に負えない。瞬く間にそれは広がり、新旧Ⅶ組は総出で溜息をつき、他の面々も事情を察したように苦笑いをしていた。一部生温かい目で見る者もいたようだが。

    「全く、本当にいいのかい?リィン君だって同じ気持ちを持っているのだろう?」
    「……あいつには悪いが、応えられるほど真っ直ぐじゃねぇんだ」

    テーブルを囲って、かつて試験班だった面々がクロウに詰め寄る。アンゼリカの言葉に彼は首を振った後、真剣に迫ってきたリィンの事を思い出す。構えば構う程、愛情と執着心そして独占欲が生まれ、その度にクロウは己を律してきた。果たしてそれは必要か、と。必要であるならばいくらでも利用できる。だと言うのに彼の場合はどうだ、根も真っ直ぐでたくさんの人から慕われている。そんな彼を利用するだなんて出来ないし、したくもなかった、これはフェイクでも何でもない本音であった。未だに《C》だったころの話も出してネタにするのは正直言ってやめて欲しいのだが。
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