Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    111strokes111

    @111strokes111

    https://forms.gle/PNTT24wWkQi37D25A
    何かありましたら。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 310

    111strokes111

    ☆quiet follow

    クロヒルの方はともかくロレマリの方はようやくちょっとそれっぽくなってきたかもしれません。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。

    #クロヒル
    blackHill
    #ロレマリ
    lloremali

    6.B-(side:H) 担任であるベレト親子がよく逗留していたというルミール村で異変が起きた。疫病か呪いか分からないため調査に当たっているマヌエラが席を外していることが多いのに少し寒くなってきたせいかリシテアが体調を崩すことが多く困っている。

    「病気や体質によっては治癒魔法を使わない方が良い場合があって私にはまだそこの判断が……」
    「マリアンヌさんは功を焦らず線引きがきちんと出来ていることを評価した方がいい」

     伏せっているリシテアの部屋から申し訳なさそうな顔をして出てきたマリアンヌをローレンツが庇った。彼女の心に届きやすいよう彼の好きな気障な言葉遣いを控えている。

    「ローレンツなんでお前がここにいるんだ?」
    「君が煎じたおかしな薬を自己判断でリシテアさんに飲ませようとしたら止めるためだ!」
    「扉一枚向こうに病人がいるんだから大きな声を出すなよ……被験体にするならお前みたいに頑丈なやつにするさ」

     彼はクロードをだしにしているがマリアンヌを庇うためにくっ付いてきたことをヒルダは知っている。もしかしたらローレンツ本人は気が付いていないのかもしれない。

    「もー!ローレンツくんのこと分かってるくせに煽らないで!それとクロードくん穴場教えてよ。静かなとこ!」

     そそくさと去ろうとするマリアンヌと腕を組みヒルダは言い争いをしながら歩くクロードとローレンツの後ろをついて行った。ローレンツは一人で歩いていると恐ろしく足が早いのだが今はクロードに歩調を合わせている。旧礼拝堂の地べたに座り込んだクロードを見たローレンツが座りやすそうな瓦礫の上に手巾をさり気なく二枚広げてくれたのでヒルダは礼を言ってマリアンヌと共に手巾の上に座った。

    「もしかしたら次の課題でルミール村へ行くことになるかもしれない。調査の補助でな」
    「だがまだ疫病か呪いか判明していないのだろう?」

     疫病なら病弱なリシテアを出撃させるわけにはいかないと言うのがこの場にいる四人の共通認識だった。
     
    「あの、調査にあたっている皆さんの装備を見れば結論はともかく騎士団が現時点でどう判断しているのかはわかるかもしれません……」
    「なるほど護符か……さすがマリアンヌさんだ。クロード、後で確かめてこい」

     呪いの場合はその対象が人か土地かで対応が変わる。土地が呪われているなら正しい護符を身につけておけば影響を受けずに済む。

    「お前日頃俺のこと雲隠れするなとか散々非難しておいてよくもぬけぬけと……」

     セイロス教会は必ずいつも何かを隠そうとしてきたのだ、という認識が皆の中に芽生えている。英雄の遺産に危険な面があることを十傑の子孫たちにすら告げず長い間隠していたからだ。当事者に伝えないなんてひどい話だ、とヒルダは思う。

    「現状を把握することと礼節を守ることが矛盾するなら前者を優先せねば。リシテアさんの健康がかかっているのだからな」
    「ローレンツ、お前さあ……貴族の誇りだとか責務じゃなくて日頃からそういうところを押し出せよ」

     ヒルダは彼の考えが印象より遥かに柔軟であることに驚いたがローレンツへの礼節を守るためその驚きを表面化しないことにした。

     結局、事態は急変し疫病よりも呪いよりも更におぞましい真実が明らかになった。試しにやってみただけで別にこの村でなくてもよかったのだという。正気を失った村人が我が子を手にかけ自らの家に火を放っている。リシテアが見つけた怪しい者たちは一旦放置しラファエルの提案通り皆でまだ生きている村人を正気狂気は問わず分離して確保することになった。

    「どいてください!消火します!」

     ブリザーが使えるマリアンヌは地獄と化した村中を駆け回っている。火を消しながら怯えて泣き叫ぶ人々の元へ駆け寄り回復魔法をかけてから安全な場所へと逃していた。

     マリアンヌは足が早いから良い修道士になる。

     ベレトの言葉通りだった。正気を失い己に向かって刃物を振り翳してくる村人のことなど気にせず彼女は地獄の中を走り抜けていく。助けを求める怪我人の元へ駆けつけるためだ。彼女が走り回れば走り回るだけ救いがもたらされる。

     マリアンヌの活躍もあり救出可能だった村人は皆救うことが出来た。ジェラルドとベレトから作戦終了の合図が告げられるとマリアンヌはその場にへたり込んでしまった。骨折した怪我人のために持ち歩いている添え木を支えに立ち上がろうとするのだが上手くいかない。肩を貸してやりたいがヒルダも疲労困憊だ。

    「マリアンヌちゃん待ってて!フレンちゃん呼んでくる!」

     救助した村人の治療に当たっているフレンを連れ出し向こうでうずくまっているマリアンヌに治癒魔法をかけてほしいとヒルダが頼むとフレンが唇の前に指をあてた。

    「しーっ!しーっですわよ!ヒルダさん!」

     若草色の瞳がきらきらと輝いている。彼女の視線の先にはマリアンヌとローレンツがいた。彼は疲れて立ち上がれなくなったマリアンヌを抱き上げている。二人の服は泥と血に塗れているがそれでもマリアンヌが身につけている修道着が元は白いのでまるで横抱きにされた花嫁のようだった。二人は何か話しているのだが聞き取れないことが悔しくて仕方がない。いつかマリアンヌの口からきけるだろうか。それは悪夢の終わりを告げるに相応しい本当に美しい光景だった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖😭👏🙏💖👏💞💛💗🙏💜💙💖👏💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    111strokes111

    MAIKINGロレマリに続きようやくクロヒルの方もちょっとそれっぽくなってきたかもしれません。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    7.B(side:L) ローレンツが厩舎の管理をマリアンヌと共に担当していた時に上空警備を担当していたクロードとヒルダが戻ってきた。金鹿の学級で軽業師の真似事が流行ったことがある。ナイフ投げも軽業もレオニーが飛び抜けて上手いのだがクロードも負けていない。下馬の際に左足を鎧から抜き忘れた人の真似、というのがクロードの得意技だ。羽ばたきやペガサスの嗎に混ざってヒルダが楽しそうに笑っている声が聞こえる。

    「また同じことを繰り返して……ヒルダさんも飽きたと言ってやれば良いのに寛容なことだ」
    「最初拝見した時は心臓が止まりそうになりました……」

     それはそうだろう。普通の馬であったとしても肝が冷える光景だがクロードはなんとそれを上空でやっているのだ。何かひとつでも間違いがあれば死にかねない。好きな人に良いところを見せたいと言う気持ちは分からなくもないがレスター諸侯同盟の次期盟主として相応しくない振る舞いなのは言うまでもなかった。
    2092

    111strokes111

    DONEクロヒル&ロレマリの話、ロレマリ後日談の話です。この話はこれでおしまいです。エドマンド辺境伯がらみの捏造が我ながら本当にヒッデェなと思います。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    19.sequel:L&M 紋章を持つ貴族同士の婚姻は動物の品種改良と似ている。好ましい形質が確実に顕になるよう交配していくからだ。逆に好ましくない形質を持つものは間引かれる。マリアンヌの実父は"おこり"を恐れていた。モーリスの紋章を持つ子供はそれはそれは美しく生まれてくるのだという。両親は美しい乳児を愛さずにはいられない。子供は自分の一族にかかった呪いを知らずに育つが子供の成長と時を同じくして呪いはゆっくりと親を侵蝕していく。

     "おこり"、いや"興り"が訪れると最初はぼんやりする時間が増える。言動に異常をきたしてしまえばもう死ぬまで止まらない。人格が崩れ獣性が剥き出しになっていく。人格が崩れ社会的に破綻し最後はヒトの形を保てなくなる。ヒトのまま尊厳を保ち周囲から愛されて生涯を終えたいなら早く死ぬしかない。モーリスの紋章を持つ一族は前線で武器を持たず治療に専念する修道士や消火隊など危険な仕事に従事するようになった。その結果かつて社会から根絶やしにされかけた一族は信頼を回復し地方で領主を務めるまでになった。それでもモーリスの紋章を持つ一族の生存戦略は変わらない。
    5844

    111strokes111

    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    4.C(side:H) マリアンヌの鉄筆をすぐに拾ってやれたことからも分かる通りローレンツは気になることがあるとつい目で追ってしまう癖があるようだ。そして自分が見られていることには無頓着らしい。断りきれずに食事を共にした女子学生はさぞ居心地が悪かっただろう、とヒルダは思う。

    「マリアンヌちゃん、何か困っていることはない?」

     先日、マリアンヌに書庫整理の手伝いをしてもらった結果全て自分で作業をする羽目になったヒルダは本格的に彼女が心配になった。マリアンヌには何か根本的な欠落がある。

    「特にないつもりです……」

     養父であるエドマンド辺境伯はマリアンヌとの関係を良好たしたいと考えているのだろう。こまめに手紙や差し入れが届く。だがローレンツから託された手紙をヒルダが渡した時マリアンヌは戸惑っていた。きっと理由を聞いても教えてくれないのだろう。無駄なことはしないに限る。身内になれない他人が踏み込むべきではない領域があるのだ。そう思ってヒルダがマリアンヌに対して引いていた線を数日前、ローレンツはあっさり越えた。
    2090

    111strokes111

    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    2.C-(side:H) クロードは他人の喉元に入り込むのが上手い。ヒルダ自身も楽をするために他人の喉元に入り込む自覚があるのですぐに分かった。それにしても十代の男子が女子の体調を気遣うなんて珍しい。ディミトリもメルセデス辺りに頼んでいるのだろうか。そんな訳で不本意ながらヒルダは女子学生の意見をまとめクロードに伝える係をやっている。レオニーは臆さないが盟主の嫡子と言うだけで萎縮してしまう学生もいるのだ。

     一度役割を任されてしまえば期待に応えないわけにいかない。だからこそヒルダは期待をかけられることを嫌い責任というものから逃げ回っていたのだがそうなってみるとどうしても気になる同級生がいた。マリアンヌだ。とにかく何も話さずすぐに一人で厩舎へ行ってしまうので噂話だけが流れている。ダフネル家の代わりに五大諸侯に加わったやり手のエドマンド辺境伯は注目度が高い。おそらくヒルダの兄ホルストの次くらいに学生たちから注目されている。マリアンヌは彼のお眼鏡に叶って養女になったとか目ぼしい若者が彼女しかいなかったから仕方なく彼女を養女にしたとかそんな噂だ。クロードの耳にも当然入っている。
    2052

    recommended works

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    4.遭遇・下
     犠牲者を一人も出すことなく野営訓練を終えて修道院に戻ることが出来た。ローレンツのほぼ記憶通りではあるが異なる点がある。ベレトが金鹿の学級の担任になったのだ。正式に採用された彼は既に士官学校から学生の資料を貰っている。だがグロンダーズで行われる模擬戦を控えたベレトはここ数日、放課後になると学級の皆に話を聞くため修道院の敷地内を走り回っていた。

     ローレンツはあの時、模造剣を配ろうとしたのは何故なのかとベレトに問われたが予め野盗達に襲われているのを知っていたから、とは言えない。言えば狂人扱いされるだろう。

    「歩兵の足が早すぎたからだ。補給部隊が本体と分断されたら敵に襲われやすくなる」

     食糧がなければ兵たちは戦えない。敵軍を撤退させるため戦端を開く前に物資の集積所を襲って物資を奪ったり焼き払ってしまうのは定石のひとつだ。ローレンツの言葉聞いたベレトは首を縦に振った。

    「それで足止めして予備の武器を渡したのか。装備をどうするかは本当に難しいんだ。あの場合は結果として合っていたな。良い判断をした」
    「ありがとう先生。そう言ってもらえると霧が晴れたような気分になるよ」

    2068

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    11.末路・上
     クロードは先日、あんなことをしでかしておきながら怯えさせてすまない、とローレンツから逆に謝られてしまった。あれから何度か時間をとって話し合いをしてみたが互いの知る未来にかなり大きな食い違いがあることが分かりその後はおかしな雰囲気にはなっていない。

     細かな違いはあれどクロードの祖父が体調を崩し盟主代理として円卓会議に出席すること、それとマイクランが破裂の槍を盗み出すことは共通していた。

    「俺はマイクランが討ち取られたという話しか知らない」

     クロードの知る過去でもローレンツの知る過去でも級長が不在の可能性があるなら、と言うことで金鹿の学級はコナン塔へ行かなかった。

    「そちらでも箝口令が敷かれていたのか」

     教会は何かを隠している、というのが元からのクロードの主張なので教会の態度に矛盾はない。ベレトから馬の面倒を見るように命じられた二人はそれぞれ別の馬に新しい水や飼い葉を与え体を拭き尻尾の毛に櫛をかけ絡まっている塵を取り除いてやっている。いななきや馬が立てる物音が話し声を隠してくれた。今後の展開が色々と気になるところだが今回も祖父ゴドフロアの具合が悪くなるなら 2156