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    クロヒルの方はともかくロレマリの方はようやくちょっとそれっぽくなってきたかもしれません。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。

    #クロヒル
    blackHill
    #ロレマリ
    lloremali

    6.B-(side:H) 担任であるベレト親子がよく逗留していたというルミール村で異変が起きた。疫病か呪いか分からないため調査に当たっているマヌエラが席を外していることが多いのに少し寒くなってきたせいかリシテアが体調を崩すことが多く困っている。

    「病気や体質によっては治癒魔法を使わない方が良い場合があって私にはまだそこの判断が……」
    「マリアンヌさんは功を焦らず線引きがきちんと出来ていることを評価した方がいい」

     伏せっているリシテアの部屋から申し訳なさそうな顔をして出てきたマリアンヌをローレンツが庇った。彼女の心に届きやすいよう彼の好きな気障な言葉遣いを控えている。

    「ローレンツなんでお前がここにいるんだ?」
    「君が煎じたおかしな薬を自己判断でリシテアさんに飲ませようとしたら止めるためだ!」
    「扉一枚向こうに病人がいるんだから大きな声を出すなよ……被験体にするならお前みたいに頑丈なやつにするさ」

     彼はクロードをだしにしているがマリアンヌを庇うためにくっ付いてきたことをヒルダは知っている。もしかしたらローレンツ本人は気が付いていないのかもしれない。

    「もー!ローレンツくんのこと分かってるくせに煽らないで!それとクロードくん穴場教えてよ。静かなとこ!」

     そそくさと去ろうとするマリアンヌと腕を組みヒルダは言い争いをしながら歩くクロードとローレンツの後ろをついて行った。ローレンツは一人で歩いていると恐ろしく足が早いのだが今はクロードに歩調を合わせている。旧礼拝堂の地べたに座り込んだクロードを見たローレンツが座りやすそうな瓦礫の上に手巾をさり気なく二枚広げてくれたのでヒルダは礼を言ってマリアンヌと共に手巾の上に座った。

    「もしかしたら次の課題でルミール村へ行くことになるかもしれない。調査の補助でな」
    「だがまだ疫病か呪いか判明していないのだろう?」

     疫病なら病弱なリシテアを出撃させるわけにはいかないと言うのがこの場にいる四人の共通認識だった。
     
    「あの、調査にあたっている皆さんの装備を見れば結論はともかく騎士団が現時点でどう判断しているのかはわかるかもしれません……」
    「なるほど護符か……さすがマリアンヌさんだ。クロード、後で確かめてこい」

     呪いの場合はその対象が人か土地かで対応が変わる。土地が呪われているなら正しい護符を身につけておけば影響を受けずに済む。

    「お前日頃俺のこと雲隠れするなとか散々非難しておいてよくもぬけぬけと……」

     セイロス教会は必ずいつも何かを隠そうとしてきたのだ、という認識が皆の中に芽生えている。英雄の遺産に危険な面があることを十傑の子孫たちにすら告げず長い間隠していたからだ。当事者に伝えないなんてひどい話だ、とヒルダは思う。

    「現状を把握することと礼節を守ることが矛盾するなら前者を優先せねば。リシテアさんの健康がかかっているのだからな」
    「ローレンツ、お前さあ……貴族の誇りだとか責務じゃなくて日頃からそういうところを押し出せよ」

     ヒルダは彼の考えが印象より遥かに柔軟であることに驚いたがローレンツへの礼節を守るためその驚きを表面化しないことにした。

     結局、事態は急変し疫病よりも呪いよりも更におぞましい真実が明らかになった。試しにやってみただけで別にこの村でなくてもよかったのだという。正気を失った村人が我が子を手にかけ自らの家に火を放っている。リシテアが見つけた怪しい者たちは一旦放置しラファエルの提案通り皆でまだ生きている村人を正気狂気は問わず分離して確保することになった。

    「どいてください!消火します!」

     ブリザーが使えるマリアンヌは地獄と化した村中を駆け回っている。火を消しながら怯えて泣き叫ぶ人々の元へ駆け寄り回復魔法をかけてから安全な場所へと逃していた。

     マリアンヌは足が早いから良い修道士になる。

     ベレトの言葉通りだった。正気を失い己に向かって刃物を振り翳してくる村人のことなど気にせず彼女は地獄の中を走り抜けていく。助けを求める怪我人の元へ駆けつけるためだ。彼女が走り回れば走り回るだけ救いがもたらされる。

     マリアンヌの活躍もあり救出可能だった村人は皆救うことが出来た。ジェラルドとベレトから作戦終了の合図が告げられるとマリアンヌはその場にへたり込んでしまった。骨折した怪我人のために持ち歩いている添え木を支えに立ち上がろうとするのだが上手くいかない。肩を貸してやりたいがヒルダも疲労困憊だ。

    「マリアンヌちゃん待ってて!フレンちゃん呼んでくる!」

     救助した村人の治療に当たっているフレンを連れ出し向こうでうずくまっているマリアンヌに治癒魔法をかけてほしいとヒルダが頼むとフレンが唇の前に指をあてた。

    「しーっ!しーっですわよ!ヒルダさん!」

     若草色の瞳がきらきらと輝いている。彼女の視線の先にはマリアンヌとローレンツがいた。彼は疲れて立ち上がれなくなったマリアンヌを抱き上げている。二人の服は泥と血に塗れているがそれでもマリアンヌが身につけている修道着が元は白いのでまるで横抱きにされた花嫁のようだった。二人は何か話しているのだが聞き取れないことが悔しくて仕方がない。いつかマリアンヌの口からきけるだろうか。それは悪夢の終わりを告げるに相応しい本当に美しい光景だった。
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    111strokes111

    DONE翠風の章の時の話なので……。

    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17484168
    この話の番外編です。なおこの話(pixivの方)はトータル八万文字弱のうち半分がロレマリなのでご注意下さい。
    クロヒルweek_day3テーマ「翠風」 学生時代が終われば男も女も大人扱いをされる。クロードにしても三つ編みを切って装いを改めたしヒルダだって装いが改まるのは当たり前だ。五年ぶりに会った女子の同級生たちは皆それぞれに美しくなっている。エドマンド辺境伯にするために彼の手元に引き取られたマリアンヌは例外だが皆胸元が大きく開いた服を着るようになった。フォドラの親たちは娘が大人としての責任を果たせるようになったと判断すれば胸元が大きく開いた服を着ることを許すし結婚すればまた服の胸元は閉じられる。夫の意向なのだろうか。

    「いくらなんでも露骨すぎないか?」
    「まあ分かりやすくてよろしいんじゃないですかね」

     パルミラ兵が国境を通過出来るように準備している家宰のナルデールが打ち合わせにやってきたのでクロードは母国との文化の違いについて聞いてもらおうとしたのだが彼はクロードが書いたホルスト卿への手紙の中身を確認しているので全ては生返事だ。生返事であることに視線で反論していると耳飾りがついていない方の耳を引っ張られた。
    2701

    hk_krhr

    DONEシルイン(+クロヒル)位の小説になりますので、こちらはウィークタグの方は避けます。自分の書いた現パロ設定でシルイン(特に風紀委員してるグリットちゃん)を見たくなったが故に同時生成した産物です。
    グレン氏の話を拾おうと思ったのですがキャパ上拾い損ねてしまい、申し訳ない限りです。
    シルイン好きさんのお肌に合うかわかりませんが、どなたかにでも少しでも楽しんでいただければ幸いです。
    【現パロ】ぐりっとちゃん、恋心自覚の巻。【シルイン】【注意書き】
    1 書いている人の主生息地がクロヒルです。ですが、こちらはシルインがメインです。ただ、そちらも影響してクロヒル要素もそこそこ含んでいます。
    2 クロヒルweekに際してあげた小説の現パロ設定と合わせて書いたシルイン小説になります。(この設定でシルインを唐突に書きたくなったため。)こちらだけでも読める筈ですが、少し設定がわかりにくいかもしれません。
    3 でも謎のこだわりを発揮してしまい長いです。ご注意ください。
    4 その他 青獅子NLをメインに小説書くのはこちらが初なので気になることなどあるかと思います。どうしても気になる際はそっとご指摘いただけますと幸いです。
    5 主な登場人物 シルヴァン イングリット(後半の方が出番多いです。)
    10447

    recommended works

    9660moyunata

    DONEテレビゲームをするだけの現パロ年後クロロレ
    光属性ですご安心ください。
    「ローレンツはゲームとかしないのか?」
    「そんなもの、時間の無駄だろう」
    やっぱりそう言うと思った。庶民の娯楽に現を抜かしてる暇なんてありませんって顔に書いてある。
    「じゃあさ、1回だけ対戦付き合ってくれないか? このゲーム1人でもできるんだけどさ、せっかく買ったんだしちょっとくらい人と遊んでみたいんだよ」
    「仕方がないな、1度だけだぞ」
    ローレンツはせっかくだから、とかそういう言葉に弱い。あいつは俺のことに詳しいなんて言っているが、俺だって負けてない。ローレンツが俺のこと見続けているなら同じだけ俺もローレンツを見ているんだ。
    今始めようとしているゲームはいわゆる格闘ゲームだ。さすがに初心者のローレンツをこてんぱんにするのは気が引けるから、あえて普段使わないキャラクターを選ぶ。それでも俺の方が強いことに変わりはない。手加減しつついい感じの差で勝たせてもらった。
    「......。」
    勝利ポーズを決めている俺のキャラクターをローレンツが無表情で見つめている。よし、かかったな。
    「クロード、もう一戦だ」
    「おっと、1回しか付き合ってくれないんじゃなかったのか?」
    「せっかく買ったのに 1372

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    4.遭遇・下
     犠牲者を一人も出すことなく野営訓練を終えて修道院に戻ることが出来た。ローレンツのほぼ記憶通りではあるが異なる点がある。ベレトが金鹿の学級の担任になったのだ。正式に採用された彼は既に士官学校から学生の資料を貰っている。だがグロンダーズで行われる模擬戦を控えたベレトはここ数日、放課後になると学級の皆に話を聞くため修道院の敷地内を走り回っていた。

     ローレンツはあの時、模造剣を配ろうとしたのは何故なのかとベレトに問われたが予め野盗達に襲われているのを知っていたから、とは言えない。言えば狂人扱いされるだろう。

    「歩兵の足が早すぎたからだ。補給部隊が本体と分断されたら敵に襲われやすくなる」

     食糧がなければ兵たちは戦えない。敵軍を撤退させるため戦端を開く前に物資の集積所を襲って物資を奪ったり焼き払ってしまうのは定石のひとつだ。ローレンツの言葉聞いたベレトは首を縦に振った。

    「それで足止めして予備の武器を渡したのか。装備をどうするかは本当に難しいんだ。あの場合は結果として合っていたな。良い判断をした」
    「ありがとう先生。そう言ってもらえると霧が晴れたような気分になるよ」

    2068

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    9.典儀・上

     情報には出元と行き先がある。それを見極めずに判断を下すと間違いが起きる。前節、カトリーヌがロナート卿の所持品から見つけた大司教レアの暗殺計画に関する密書は様々な波紋を読んだ。真偽の程は定かではないが対応せねばならない。

     謁見の間に呼び出されたベレトから今節の課題を聞いたクロードは教会があの密書をどう判断したのか悟った。今回も彼の記憶と同じく何者かが教会を混乱させる為に作成した偽物であると判断したのだ。そうでなければ士官学校の学生に警備や見回りを担当させないだろう。だがクロードにとっては丁度良かった。賊の狙いが何処であるのか確かめる為という大義名分を得て修道院の敷地内を直接、自由に見て回れる。賊が聖廟の中で何かを探し、奪いに来たがそこでベレスが天帝の剣を手に取り賊を撃退したことをクロードは覚えているのだがだからといって日頃入れない聖廟を直接探る機会を逃したくはなかった。それにロナート卿の叛乱の時と同じくまたクロードたちが当事者になっている。詳しく調査しておいて損はないだろう。

     ガルグ=マクにはフォドラの外からやってきた住人がクロード以外にも存在する。自然と祖先を 2082

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    13.誘拐・上

     フレンが行方不明になった。クロードとローレンツは誘拐犯がイエリッツァであること、彼が死神騎士でありエーデルガルトの手の者であることを既に知っている。ローレンツが知る過去ではディミトリたちがフレンを見つけクロードが知る過去ではベレスとカスパルがフレンを見つけている。

    「ではこの時点でベレト…失礼、言い慣れないもので。ベレス先生は現時点で既に教会に不信感を持ち敵対すると決めていた可能性もあるのか」

     ローレンツの知るベレトは教会と敵対せずディミトリに寄り添っていたらしい。記憶についての話を他の者に聞かれるわけにいかないので近頃のクロードはヒルダにからかわれる位ローレンツの部屋に入り浸っている。彼の部屋に行けばお茶と茶菓子が出るので夜ふかし前に行くと夜食がわりになってちょうど良かった。

    「そうでもなければあの状況で親の仇を守ろうとしないと思うんだよな」
    「だが今、僕たちの学校にいるのはベレト先生だ」

     ベレスは戴冠式に参加していたらしいのでそこで何かあった可能性もある。クロードはどうしてもかつての記憶に囚われてしまう。

    「大手を振って何かを調べる良い機会なのは確 2090

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    17.惨劇・上
     南方教会を完全に無力化されてしまったことや西方教会対策やダスカーの幕引きでの手腕には疑わしいところがあったがルミール村においてまず疫学的な検査から実施されたことからもわかる通りセイロス騎士団は手練れの者たちの集まりだ。ベレトの父ジェラルドまで駆り出されている異変においてクロードやローレンツのような部外者が介入しても迷惑がられるだけだろう。

     クロードにしてもローレンツにしても記憶通りに進んでほしくない出来事は数多ある。ロナート卿の叛乱もコナン塔事件も起きない方がよかったしこの後の大乱も起きて欲しくない。だがこのルミール村の惨劇は起きてほしくなかった案件の筆頭にあげられる。他の案件の当事者には陰謀によって誘導されていたとはいえ意志があった。嵌められていたかもしれないが思惑や打算があった。だがルミール村の者たちは違う。一方的に理性や正気を奪われ実験の対象とされた。そこには稚拙な思惑や打算すら存在しない。事件を起こした側は村人など放っておけばまた増えると考えたらしいが二人にとって直接見聞していないにも関わらず最も後味が悪い事件と言える。
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